ITシステム開発の難しさ - 中小企業・開発ベンダーの視点での課題

ITベンダーから見た、システム開発プロジェクトの留意点は?

前回「ITシステム開発の難しさ - 中小企業・利用者側の視点での課題」で、顧客側が、ITシステムを導入する場合に留意しておいた方がよい事項をいくつか述べました。

しかしながら、ITのプロジェクトは、利用者と提供者であるITベンダーとの協働のなかで成功に導いていくものであります。そして、提供者としてのIT会社の責任は極めて重いものがあります。

特許庁のITシステムのプロジェクトの失敗のようなことが繰り返されないための営業とプロジェクト管理が求められますね。

 

IT企業がシステム開発にて留意すべき点は、たくさんありますが、

  • 納期、金額などが妥当であるか
  • 業務知識、スキル、技術など顧客要望に応える体制が取れるか
  • 顧客要件を明確にできているか
  • プロジェクト範囲の明確化と、変更時のルールの取り決めができるか
  • 顧客と協力してプロジェクトを推進できる関係が作れているか

などなど挙げだすときりがないですね。

まずは、そもそものの納期や金額などに無理がないかどうか。受注を取ることが優先され、無茶な条件でも受けてしまうという状況が発生するとプロジェクトの失敗の確率は極めて高くなります。顧客に迷惑をかけるばかりでなく自社の経営にも打撃を与える行為であり、本来は避けるべきであります。が、往々にして、無理に取りに行くということが行われているでしょう。

無理な条件を可能な条件にするためには、自社のスキルのアップや低コストでの開発体制の構築などを行った上で、利益をしっかり確保できる力を付けたうえで、提案できるようになりたいところです。このようなプロジェクト管理能力は、会社の強みそのものになってきますので、ぜひとも目を向けたいところです。

業務知識、スキル、体制などすべてプロジェクト遂行能力にかかわってきます。結局自社の能力以上のプロジェクトは失敗してしまいます。目先の売上の怖さがシステム関連のプロジェクトには存在しています。

無理な状況のまま受注を取ってしまうより、しっかりした提案で代替案を提示したうえで、できる提案を行うというのであれば問題ないですね。これも経営力の一つです。

 

改めて顧客側から見ると、納期や予算の水準が非現実的なものになっていないかどうかは検証が必要です。そのあたりがしっかり管理できていないと「目先の売上」に目がくらんだ企業に契約が取られてしまうかもしれません。それでは後に高い代償を支払うことになりかねませんね。

 

システム開発には特有の難しさがあります。

失敗の可能性やリスクを認識しつつ対応できるようにする考え方が大切です。

 

提供される側もする側も経営力が試されます。

経営力、組織力、プロジェクト管理など、お悩みはいつでも経営相談指定くださいね。

 

ITシステム開発の難しさ - 中小企業・利用者側の視点での課題

特許庁の次期基幹システム開発の失敗からの教訓は?

中小企業・零細企業にとってもIT活用は必須となっている現状ではありますが、システム開発や導入には特有の難しさがあるのも事実です。

少し前の話ですが、特許庁が次期基幹システムの刷新を行うプロジェクトの失敗が公表されていました。

開発に投じた金額は50億円超であり、非常に巨額です。

これほどまでの巨費を投じたにもかかわらずなぜ失敗したのでしょうか?

そして、これは、中小企業においてITを導入する際にも念頭に置いておかないといけないことであります。規模の大小はありますが、同様のことは小さなシステムにおいても起こりうるものです。

 

そもそもなぜこのような失敗が起きたのでしょうか?原因を見て見ますと、

  • システムの発注先が特許庁の業務に精通していない
  • 技術評価が低いが低コストのベンダーを選定した
  • プロジェクト開始後に方針や設計が二転三転した
  • 特許庁の担当者も二転三転した

などいろいろな要因があるようです。

受注したベンダー側の問題ももちろんあるでしょうが、今回は、利用者(顧客)側の抱える問題について述べます。

一点目の、発注先の選定についてですが、選定において、顧客要望に応えられるベンダーを選定することは大切なポイントです。もちろんその評価は難しい物であります。今回のように技術評価が低くても選択するというケースはもちろんあるでしょう。このあたりのバランスと評価をどうするかというのは利用者側の責任において決めないといけません。

後付けで、ベンダー側にノウハウがないということをいうことはできます。しかし、例えば、今回のケースのように「特許庁の業務」に精通している人が、世の中にどれだけいるでしょうか?はっきり言って、特許庁や特許そのものの業務に精通しているベンダー自体少ないと考えるべきです。一般的な販売や生産、WEBなどのシステムとはその点も違っています。ベンダー側に経験がないということも十分にあり得るわけです。

そういうケースにおいて、では、経験がないからどのようにコミュニケーションを取ったり、情報を整理すれば、ベンダーにわかりやすく伝わるのか?ということを顧客側がフォローしていくことも必要であります。お金を払えばあとは、相手がやってくれるというのではなく、プロジェクトを共同でどのようにすれば成功に導けるのか?という視点です。

業務に精通していないのであれば、その穴は顧客も一部埋めるようにフォローしていかないといけません。(もちろん受注側の相当の努力が前提ですが)

 

2つ目の設計などが二転三転するケースですが、これも大問題です。そもそも何を作るのか、作りたいのかという要求は顧客側が整理できないといけません。プロジェクトが始まってから内容がひっくり返るのであれば、失敗は確定してしまいます。もちろん走りながら調整する部分があるのは当然ですが、程度というものがあります。

システム発注する前に「要求定義」をしっかり行っていくことが必要なのですが、中小企業におけるシステム開発についても非常に重要です。

 

3つ目として、担当者がコロコロ変わるという点も問題です。

プロジェクトの中心となるメンバーはおいそれと変えるべきではありません。これも失敗のもとであります。そして、プロジェクト責任者に十分な権限があるかどうかも要チェックです。

例えば今回のケースにおいては、当初はシステムの全面刷新が目標として掲げられていました。全面刷新なので、当然現行業務にも変化が起こるはずです。となると、プロジェクト責任者には、「現行業務を変更するための最終的な権限」が付与されていなければいけません。変える権限がないのに全面刷新など不可能です。そういった点も注意が必要ですね。

 

いくつか指摘しましたが、システム開発は簡単ではないということを念頭に置いておく必要があります。

顧客側もそれなりの知識やコミュニケーション力、体制が必要であります。その体制がなければ、社外の専門家やコンサルタントに協力を依頼するということも必要です。

 

小さなシステムであっても、契約後に内容が二転三転したりすれば、あとになってびっくりするような追加請求がきたりしてしまいかねません。最初にケチりすぎず適切な投資の思考も必要ですね。

 

決断と行動ができる中小企業経営

新しい政権の誕生に見る中小企業経営

2012年の師走に行われた衆議院総選挙。大差で自民党が勝利し、政権与党であった民主党が野党に転落しましたね。

短期的には、政権交代後は円安の進行と株価の回復基調が続いています。輸出企業などにとっては良い材料であります。もちろん円安により輸入産業や、原油や原材料の調達コストは上がりますので、今後も注視が必要です。

また来年度は金融円滑化法の終了もあります。いかに影響を小さくしつつソフトランディングを行うのかというのは政治もそうですし、中小企業経営者様にとっての課題でもあります。

 

さて、民主党は大きく議席を減らしました。大敗ですね。なぜそうなったのか?

これを考えていく中で経営でも教訓になることはないのでしょうか?

決められない政治

なぜ民主党は負けたのか?

民主党政権時の特徴は、とにかく決められなかったという点があげられるのではないでしょうか?そのことが実績としての印象であり、有権者の心が完全に離れてしまったということが第一にあげられるでしょう。

では、なぜ決められなかったのでしょうか?
「決められなった」と単純に言いますが、今回の場合は、文字通りの意味で、「決められなかった」ということと、「決めたのに、従わなかった」などいろいろなごたごたがありましたね。この原因の一つは、集まった人たちの中での意思統一ができていなかったこと、同じベクトルで行動できなかったことがあげられるのではないでしょうか。

では、なぜ同じベクトルで行動できないのでしょうか?
これは、国にとっての大義が「自分にとっての大義」に置き換わっていることが一つにはあげられると思います。つまり「自分」が大事なのです。正確にいうと議員は有権者からの投票で選ばれているわけですから、支持してくれた人の利害に反することはやりにくい、という面もあるでしょう。また自身の利益や保身のために、痛みの伴う決断ができなかったという側面もあるはずです。

ではなぜ、自身の保身や自分の考えに縛られてしまうのでしょうか?
まず国民や国がどうなるのか?が先ではなく、次の選挙で勝てるかどうかが先にきていないでしょうか?勝てないことはやらない、やりたくない、説明したくないし、説明せずに勝ちたい、少なくとも自分が政治家である間はしたくない。という根源的な前提がなかったでしょうか?

 

このような考え方は民主だけでなく、政治家すべてにいえるのかもしれません。今回はそれが極端に出てしまった、という印象です。

 

中小企業経営改善に活かす

今回のケースでは、

・決められない
・グループでベクトルが統一できない
・自身の利益が優先される
・自身の保身が優先される

という思考の流れで書きました。これは経営にも教訓になることがあるはずです。

  • 自分の現在の立場や仕事のやり方に固執してしまっていないか?
  • 目先の利益や売り上げに目を取られ長期的視点に欠けていないか?
  • 自分の業務が優先され、顧客にとっての利益が後に回っていないか?
  • そのような「自分の現状」を守るあまり、組織としてのベクトルが合わせられないということはないか?
  • その結果として、決められない、決めてもできないという状況が発生していないか?

なにかと批判ばかりしてしまう政治の世界ですが、経営という視点で見てみるとこれは「改善」のための宝の山とも見えてきます。

 

現状を見直してみましょう。新年にあたりさらなる飛躍をめざし経営改善を行っていきましょう。

戦略策定や経営改善などお困りごとがあれば是非ご相談くださいね。

 

顧客との物理的距離を克服できますか?

経営に必要なものは?と問われるといろいろな考え方が出てきますが、その中の一つには「売上」や「利益」が必ず出てきますね。では、売上や利益をどのように獲得するのか?と言いますと、究極的には、「商品・サービス」をつくって、「顧客」に提供することでしか得られません。  このように突き詰めていくと、経営の根底には、「モノ(商品)」と「人(顧客)」しかないのです。それを支える前提として組織をはじめとした経営資源がある。どれも大切ですね。

その中の一つである「顧客」を獲得する、維持するためには何ができるのか?営業戦略の肝になってきます。いかに顧客を獲得していくのか?を考えることが戦略の視点になってくるわけです。

最近は、Amazonや楽天をはじめとしたインターネットでの販売サービスが力を付けています。そのような中で、小売りやコンビニが何に力を入れているか?その一つが「宅配」であったりします。地域のお店が届けてくれる安心感もあるでしょうね。この宅配をすることによって、お客様にとっての利便性が上がっています。では、その利便性とは突き詰めていくとなんなのか?

それは、「時間」と「距離」であるわけです。通販や宅配は、お店に行く時間がなかったり、お店まで遠くてなかなか行けない人にとってとりわけ便利なサービスです。とくにお店が近くにないなら近くまで事業者側から向かうというのは一つのアイデアですね。

これはBtoCの例ですが、事業者間でのBtoBでも「距離」の価値が重要になる場合があります。「いつでも連絡が取れる」「レスポンスが良い」「定期的な営業フォローがある」などがそうです。同じ条件であれば、より身近に「感じる」会社を選択したくなるのが人情というものです。もちろんそれに伴った品質や提案は必要なのですが。  逆に「距離」は近いばかりでなく「遠い場所」というのも選択肢になる場合があります。たとえば震災など自然災害を想定した場合にリスク分散のために仕入先を複数地域に分散するなどが良い例です。コストとのバランスもありますが、「遠いからだめ」という固定観念を捨てて、今の現状に価値を見出してみる努力が新しい可能性を開いてくれます。

顧客との距離にどのような価値を定義できますか?

中小企業の人事給与体系 – 賃金カーブをどうするか

定年延長にともない、賃金カーブ見直しか?

経団連の「経営労働政策委員会報告」では、改正高年齢者雇用安定法の成立に対応して、労働者の賃金のカーブを見直す必要があると報告しているようです。

人件費は、企業のコストとして最も大きなものであるため、労使ともに関心が強いのではないでしょうか。

高齢社会を迎えるに当たり、定年延長の流れは今後も進んでいくものと考えられます。

その中で、定年延長を行うことで、単純に費用の総額だけが増える状態になれば、経営は立ちいかなくなってしまいます。

そのような状況での議論ではありますが、労働者側からすると、賃金抑制につながるのではないかと反対が出てくることは容易に想像できます。

 

人事給与制度や処遇も戦略的に

中小企業においても、人事給与制度や社員評価は大きな課題です。ざっくりとした給与体系だけでは、人材の流出につながりません。

  • 納得感と達成感のある人事給与制度
  • 自身と会社の成長につながる評価制度
  • 将来への安心と夢を持てること
  • 会社のビジョン・戦略と社員の行動のベクトルが一致すること
  • 法令を遵守

などの条件を満たして、人材を活かしていく経営を行う必要があります。

給与体系を賃金カーブとして単純に定義することなく、業績と給与の関連性を戦略的に持たせていくことを検討したいですね。

 

ビジョンを持つこと、戦略的に考えること

大切なことは、単純に給与を下げるとかあげるとかいう議論をしていると会社の業績は落ちてしまうということです。

会社の業績を上げるビジョンと戦略があったうえで、労働者に何をやってもらう必要があるのか?そしてそれをどのように評価して処遇に反映していくのか?その因果関係を明確にすることが必要です。

人事制度も戦略的に考えるということですね。

このような視点で、「人」を活かす経営を行えないと、人事労務が経営にとって「リスク」となってしまいます。

 

働く喜びがあり、笑顔があふれる未来へ

社員が安心して働け、仕事に喜びがあるためには、会社がビジョンを少しずつ実現していける必要があります。どちらか片方だけの議論をしていても経営は良くならないものであります。

「そうはいっても景気が悪いし、売り上げを上げることが先決だ」

という考え方も理解できないことはないですが、売り上げを上げるために行動するのもまた「人」であります。片方だけが存在できるものではないということを経営者と社員の双方が理解できる組織づくりが肝要です。

 

経営戦略と人事戦略。すべてが経営と顧客と社員のためにあるものであります。

人を活かすための経営支援を行っております。気軽にご相談ください。

資金効率の追求で中小企業の経営改善の視点

CCCって何?

CCCという経営指標があります。キャッシュ・コンバージョン・サイクルの頭文字ですが、仕入れから現金回収までのサイクルの長さを表す指標です。 現金回収までの長さですので、当然短い方が効率が良いということになります。

中小企業の経営においては、資金繰り対策というのは非常に大きなテーマですが、資金繰りを改善する取り組みの中には、現金回収までのサイクルを短くしていくという取り組みが必要になってきますね。

具体的にどのような数値になるかと言いますと、

 売掛金の回転日数

 在庫の回転日数

の合計から

 買掛金の回転日数

を引いて算出します。

数字で例を挙げると、

売上: 100 原価: 50

在庫: 10 売掛金: 12

買掛金: 5

としますと、

在庫回転日数は、10÷50×365=73日

売掛金回転日数は、12÷100×365=43.8日

買掛金回転日数は、5÷50×365=36.5

CCC = 73 + 43.8 - 36.5 = 80.3日

となります。

この場合、仕入をして、在庫になり、売上を計上(売掛金)になって現金として回収されるまで80日ちょっとかかるわけです。こう考えると少し長い気がしてきますね。

これを短くすると、当然現金が入って来る期間が短くなるので資金繰りは楽になります。

 

それでは、どうすればよいか?CCCを10日短くするにはどうすればよいか?と頭をひねることに経営改善の種があります。

・仕入れ過ぎの無駄がないか?

・売掛金の回収がしっかりできているか?

・販売計画をしっかり立てて、営業を進められているか?

などを見直すことはとても良いことです。

単に、仕入れ過ぎるな、と号令をかけるのではなく、CCCのような指標で、現状を「見える化」すると経営上の管理も非常にわかりやすくなりますね。

 

個人情報を匿名で売買可能になる? 今後の規制緩和

個人情報の規制緩和により新たなビジネスが生まれるか?

今後の規制緩和策の案が出てきたようですが、その中で、個人情報を一定のルールで匿名化したうえで、売買を可能にするような規制緩和案が出ているようです。

例えば病院の患者情報や流通のPOS情報などの利用が考えられているようです(もちろん匿名化する前提です)。

もともと経団連などから要望が出ていた部分もあるようですが、新たなビジネスの創出が期待されるものと思います。

また、現在の個人情報保護法は厳しすぎ過剰反応がまだまだ続いているように思いますので、「適正」な利用を促進するように緩和されるのは望ましいことであると感じます。

中小企業の個人情報取り扱いは課題が多い?

とはいえ中小零細企業においては、個人情報の取り扱いにまだまだ課題があるかもしれません。
個人情報保護の方針や、情報を守る業務プロセス、及びプロセスの維持改善が求められるわけですが、多くの企業でそれほど意識されていないのではないでしょうか?

そもそも個人情報の利用目的を明確にしているか(戦略)
個人情報を大切な資産として扱っているか(リスク管理)
そして、個人情報の活用と保護についてのプロセスを管理し、改善できているか?

このように見ていくと、普段の経営活動の中に自然と取り込むこともできるはずです。

プライバシーマークを取るというのも良いかもしれません。
しかし、その前に情報の活用と保護について考えて経営改善する姿勢が必要ですね。

中小企業経営改善 - 効率化を抽象論にしない

『効率化』を具体化していく

選挙も近くなってきていますが、新聞やニュースを見ていると、「~は抽象的で、具体性に欠く」というような論調が見受けられます。

確かにそういう側面はあります。
例えば数字目標がなかったり、いつまでに何をするかが全く語られなかったりといった状況においては、「抽象」と言われるのはわからないでもないですね。

では、「効率化をする」という目標についてはどうでしょうか?
例えば政治では現在社会保障についての関心が高まっていますが、「サービスの効率化」で給付を最適化していくという話が出たりしています。
これを「抽象的」と指摘する声もあるわけです。同意する人も多いかもしれませんね。

『効率化』という題目は抽象的か?

経営においても、業務の「効率化」を謳う場合があります。
それに対して、効率化だけでは「抽象論」だという反対意見が出ることも多いでしょう。
しかし、「効率化」という目標が抽象的かどうかというのは、それほど単純なものではありません。

『効率化』という目標が抽象論に終わるかどうかはそのあとの行動によって決まります。
効率化を目指す中で、
1.現状を把握し、非効率な部分の検討を行う
2.非効率な部分についての理想とのギャップを洗い出し解決策を検討する
3.期限を切って、効率化策を実行する
4.実行した結果について反省を行い、さらなる改善を続ける
ということを行わないといけません。

このような取り組みを行うために「効率化」するという意思を示すのであれば、これは抽象論でもなんでもありません。

効率化しますというお題目に対して「抽象論だ!」と切り捨てて、「何もしない」のであれば、それこそ何も生まれない価値のない議論で終わってしまいます。

「効率化する」というのは組織や従業員や経営者の「意思」であります。
この意思を否定してしまえば、そこからは何も生まれません。
効率化とか適正化とか営業強化というのは単なる言葉であり、それに意味を与えるのは経営者の仕事であります。

「~は抽象論だ!」という否定は、言ってしまうとそれが経営者の「意思」として従業員は認識してしまうはずです。

「~は机上の理論だ!」というのも同じで、机上だけで批判しているから変な意味になってしまうわけです。
机上の理論を実行し、意味を創造することも経営者としての重要な仕事です。

最初から細かな数字まで出せることはありませんし、未来の予測を正確に行うこともできません。

まずは「意思を示し」その中で具体的なアクションや目標に落とし込んでいくステップが必要で、そのための経営者としての後押しがとても大切になります。

経営戦略や経営力向上のステップとはそのようなものであります。
言葉をどのように定義するのか?どのような方向に向かうのか。それは経営者が決められることであり、決めても良いのです。
抽象論や、机上の理論が「やらないための理由づけ」になってしまっていないか考えてみましょう。

有給消化率・取得率の現状と経営改善

有給取得率の現状からみる経営

オンライン旅行会社 ExpediaIncの発表した「世界22ヶ国 有給休暇・国際比較調査2012」では日本の有給休暇消化率は、世界最低の38%であるとのことです。また17%が有給支給日数が0日であるとも公表されています。

厚生労働省が発表する統計上でも有給消化率は業種によるばらつきもありますが、50%前後であり、低い水準であります。

また有給未消化の理由も1位が「経済的余裕がない」、2位が「同僚から否定的な見方をされる」と出ており、経営上の問題も見えてきます。

有給が取れる経営、人を活かす経営

有給休暇の取得率が低い業種は、建設業や、運輸、小売り、宿泊・飲食などです(他の業種も低目ではありますが)。これらの業種は、厚生労働省が発表した3年以内の離職率も高めであります。

有給が取得できないから離職率が上がるというよりかは、

有給が取得できない経営環境の下では離職率が上がる

と考えられる可能性があります。

「経済的に余裕がない」「同僚から否定的にみられる」といった経営環境・職場で長く続けるというのは非常につらいでしょう。

ここに、経営改善の種があると考えられるわけです。

「離職率」や「有給消化率」は計測可能な指標であり、これを改善することは立派な経営改善です。もちろんこれらの取り組みの中で「売上・利益が上がり」「コストが削減」できることが必要です。

 

有給消化率が低い原因を分析・改善しましょう

有給消化率が低い原因を改善していくことは経営の効率化にもつながります。

  • 仕事が俗人化して休みが取れない状態になっていないか?
  • 多すぎる社内業務のため、残業がかさみ、有給どころではない
  • スケジュール管理ができず、仕事に忙殺されている
  • 仕事の無理・ムラ・無駄により効率が相対的に低い
  • 組織の雰囲気・意識に「人」を大切にする風土がない
  • 残業している姿こそ「がんばっている」と経営者思っている

これらのことはすべて改善が可能なはずです。

これは有給消化率のだけの問題ではなく、「離職率」や「事業継続」の観点からも関連がありますし、業務効率化による「コストの低減」の取り組みの中で改善できることでもあります。

 

売上・利益の上がる事業の強みに集中できる環境で、有給休暇も取れる仕事場なら社員も働きやすいのではないでしょうか?

従業員はやめたらすぐに新しい人を入れればよいと考えている間は、経営の改善はできません。

 

当たり前のことが当たり前にできる組織に成長することが何よりの経営改善ですね。

 

政治を考えると経営改善の種が見える

日本をよくしたいという意識と中小企業経営をよくしたいという意識

日本の政治は閉塞感が漂っています。もうすぐ選挙が行われる気配も見え隠れしてきておりますが、だれに投票をするかはよくよく考えないといけませんね。有権者としての責任です。

日本の政治や政治家に対しては、何かと批判が多く聞かれます。

決められないことや、ばらまき政策、増税など多くの問題があります。

国の国債発行残高は1000兆円に迫ってきています。

国の状況をバランスシートにしてみると完全に債務超過状態。

ここまで来ると会社経営では完全に破たんですね。

にもかかわらず破綻は実際には起こらないわけで、その点は企業経営と異なる部分です。

資金の調達ができる間は破綻は避けられるわけですね。企業も資金が回れば破綻しません。

問題は山積みですが、国の現状を批判的に見るのと同様に経営に目を向けると改善の種が見えるのではないでしょうか?

 

政治批判の視点で経営を考えて見る

例えば、「決められない」ということを見ても、一般の会社経営でもなかなか決められないということが起こります。

  • リスク対応を先延ばしにする
  • 「机上の理論だ!」という理屈を盾に何もしないという選択をしてしまう
  • 現状踏襲をついついしてしまう
  • 責任回避の意識
  • 都合の悪い情報から目を背ける
  • 既得権を手放せない

など、すべて会社でもあり得ることであります。

また、「ばらまき」などという点もありますね。

  • 資金繰りが管理できているか
  • 投資対効果、費用対効果を検討したうえで行動できているか
  •  無駄の徹底的な削減ができているか

という視点で見た時に改善することが見えてこないでしょうか?

経済状況を見ると、デフレが続く中で、企業としては付加価値を高めつつ新たな需要を想像する視点が必要になります。

 

経営改善を行う第一歩

様々な視点で経営改善の種を探してみて、課題が見えてきたとします。それをいかに改善するのか、がとても大切です。

単に「改善しないといけないなー」という程度の意識では、しばらくすると現行踏襲の意識が強まって、結局何も変わらないということになりかねません。

経営改善や改革を行う際には、

  • 経営者が「変化」について強い意欲・意識をもつ
  • 改善方向性も含め、将来のビジョン・目指す方向を明確に持つ
  • 戦略的に改善のストーリーをつくる
  • 何をいつまでに改善するのか計画を立て、しっかり管理する

ということが必要になります。

これは経営の基本ですね。

何事についても改善のためには経営の基本に立ち返る必要があるのです。

奇をてらったテクニックがあるわけではありません。

逆にいうと基本に立ち返ることが大切であるということはどのような小さな会社においても経営改善できる可能性はあるということでもあります。

手遅れになる前に、変化を起こす強い意識を持ちたいですね。

 

経営改善・コスト削減・戦略策定などいつでもご相談ください。