ITベンダーから見た、システム開発プロジェクトの留意点は?
前回「ITシステム開発の難しさ - 中小企業・利用者側の視点での課題」で、顧客側が、ITシステムを導入する場合に留意しておいた方がよい事項をいくつか述べました。
しかしながら、ITのプロジェクトは、利用者と提供者であるITベンダーとの協働のなかで成功に導いていくものであります。そして、提供者としてのIT会社の責任は極めて重いものがあります。
特許庁のITシステムのプロジェクトの失敗のようなことが繰り返されないための営業とプロジェクト管理が求められますね。
IT企業がシステム開発にて留意すべき点は、たくさんありますが、
- 納期、金額などが妥当であるか
- 業務知識、スキル、技術など顧客要望に応える体制が取れるか
- 顧客要件を明確にできているか
- プロジェクト範囲の明確化と、変更時のルールの取り決めができるか
- 顧客と協力してプロジェクトを推進できる関係が作れているか
などなど挙げだすときりがないですね。
まずは、そもそものの納期や金額などに無理がないかどうか。受注を取ることが優先され、無茶な条件でも受けてしまうという状況が発生するとプロジェクトの失敗の確率は極めて高くなります。顧客に迷惑をかけるばかりでなく自社の経営にも打撃を与える行為であり、本来は避けるべきであります。が、往々にして、無理に取りに行くということが行われているでしょう。
無理な条件を可能な条件にするためには、自社のスキルのアップや低コストでの開発体制の構築などを行った上で、利益をしっかり確保できる力を付けたうえで、提案できるようになりたいところです。このようなプロジェクト管理能力は、会社の強みそのものになってきますので、ぜひとも目を向けたいところです。
業務知識、スキル、体制などすべてプロジェクト遂行能力にかかわってきます。結局自社の能力以上のプロジェクトは失敗してしまいます。目先の売上の怖さがシステム関連のプロジェクトには存在しています。
無理な状況のまま受注を取ってしまうより、しっかりした提案で代替案を提示したうえで、できる提案を行うというのであれば問題ないですね。これも経営力の一つです。
改めて顧客側から見ると、納期や予算の水準が非現実的なものになっていないかどうかは検証が必要です。そのあたりがしっかり管理できていないと「目先の売上」に目がくらんだ企業に契約が取られてしまうかもしれません。それでは後に高い代償を支払うことになりかねませんね。
システム開発には特有の難しさがあります。
失敗の可能性やリスクを認識しつつ対応できるようにする考え方が大切です。
提供される側もする側も経営力が試されます。
経営力、組織力、プロジェクト管理など、お悩みはいつでも経営相談指定くださいね。