市場は変化する
シャープの決算発表が行われ、25年3月期の決算では大きな赤字を計上しており、自己資本比率は6%となりました。収益・財務的には非常に厳しい状況ですね。
財務的な対策としては、固定費の削減、減損処理などを行い、「負の試算と財務構造」の改善を進めています。
ここから再生を確実に実現するためには、真の収益力獲得のための取り組みが必要になります。計画では、
- 経営資源の投入の最適化(選択)
- 自前主義脱却
- 実行力強化
を掲げていますが確実な遂行が必要となるでしょう。
そんな中でも今後を考える場合市場の変化を謙虚に認識することが大切になります。
日本の家電メーカーがテレビ事業で苦境に陥ったのは、価格競争が厳しさを増す中、大型投資に踏み切ってしまったことが一因としてあります。日本市場で見ると、すでに地デジ移行が終わり、需要が減ることもわかっていたはずであり、世界市場では競争が一段と激しくなっており、需要が右肩上がりにならないことも見ようと思えば見えたはずです。
このような変化に対する「認識」がなくなれば、意思決定において誤った判断になる可能性が出てきます。
過去ではなく、現在に目を向けると、スマートフォンの普及とともに、タブレット端末もシェアがどんどん上がっています。円安による部品などの値上がりも見え隠れする状況の中、ノートパソコンなどの収益構造の改善は絶対に必要になります。それとともに、タブレット端末の販売競争にも対応する必要があることは目に見えています。
もちろん各社ともそれは認識しているでしょうが、市場には従来の延長線上での機種が出続けているようにも見えますね。
需要構造が変わっていることは目に見えています。そのなかでノートパソコンの販売に対するコンセプトの改善やタブレットに対する戦略というのは非常に重要になります。共食いにならないように魅力ある製品を作るアイデアが必要ですね。
市場や事業環境の変化に対しては中小企業は早め早めに対応する必要があります。
ニュースに流れる大企業の事例は大企業であるからこそゆるされる動きが多くみられます。例えば巨額赤字を計上し、自己資本が6%を切っても経営を続けられるのは、大企業ならではのことであります。
中小企業の場合、このような状況に陥れば手遅れになってしまいます。
ゆえに小さな変化に対して敏感に反応する必要があります。
例えば、
- 自社の売上・利益が減収傾向だ
- 自社の事業承継について考える必要がある
- 自社の事業継続計画(BCP)についてリスク対策と合わせて考える必要がある
などなど、認識しようと思えば認識できることは多くあるはずです。
このような課題については、すぐさま対策を行っていくことで、リスクを非常に小さくできる可能性もあるのです。遅くなればなるほどリスクは高まり、その対策のためのコストも当然高まります。
できるだけ早く認識し、できるだけ早く行動する。
中小企業経営では外部環境の変化を見落とさないように、ということが大切ですね。