厚生労働省による4000社への立ち入り
「ブラック企業」という言葉が最近ではよく使われています。この言葉は労働法やそのほかの法律に抵触、あるいは法律の精神を無視したグレーゾーンで意図的に従業員を働かせるような企業のことで、一言でいうと、労働者側から見て、入社を勧められない企業ということになります。
厚生労働省がそのような疑いのある企業に立ち入るというニュースが出ておりましたが、社会問題にもなっている人材管理・雇用管理の在り方を改めて考えさせられます。
中小企業も注意!ブラック企業と思われていないか
中小企業も「ブラック企業」と呼ばれるようになると経営上様々な悪影響が出てきます。単純に考えても優秀な人材も含めた離職率が上昇し、新たな人材の雇用が難しくなるということがあるでしょう。そして結果として企業収益が悪化し、さらに優秀な人材がやめていくという悪循環に陥る可能性があります。また苦しんだ従業員の訴えなどによるリスク、労基署の立ち入りなどプラス面は全くといってよいほどありません。
会社の基本的な原則として、かかわる人々(顧客、パートナー、従業員やその家族)が良い意味で「うれしい」と思えることが必要であり、その結果として収益が伸びていく必要があります。
ブラック企業と呼ばれるのは、その基本的な部分が抜け落ちていることになります。
こんなことが起きていませんか?ブラック企業予備軍チェック
ブラック企業と呼ばれる可能性がないか、自身で把握し経営改善を進める必要があります。
自社の経営が以下のような状況に陥っていないかチェックしてみましょう。
- 長時間労働が常態化している
- 残業代が未払い、サービス残業が存在している
- 有給休暇など法律で認められた労働者の権利を制限している
- 労働者の離職率が高い
- 上層部の意識が低く、従業員を支配している
- 社員やパート・アルバイトは「替えが効く」と思っている
- 従業員は「コスト」だという意識がある
- ノルマ管理が従業員を追い詰めている(ノルマ管理の誤った運用)
- 給与・賞与が低い。それを当たり前と思っている
- 労働法や関連法律を「自社の都合が良いように解釈」する傾向がある
これらの条件に少しでもあてはまれば経営改善の必要があります。上記の条件は経営者や管理者が「自己採点」でOKとしただけでは意味がありません。従業員側は上記のように思っていれば、経営状況や会社の風土として非常に良くない状態に陥っていると判断したほうが良いでしょう。
ただし、ここでブラック企業といっているのは曖昧な意見や個人の感情で断ずるようなレベルではないく、「適法かどうか」「一般的な水準から逸脱していないか」という視点も必要です。ブラック企業というのは言葉が先行しており、現在のところ明確な線引きがないわけですので、過剰反応をすべきではないということは一言付け加えておきます。
従業員はコストではない
従業員がやめてもすぐに他の人を雇えば替えが効くという意識であったり、従業員に支払う給与を低く抑えようという意識は、経営上危険です。
会社のコスト削減を考える際も、収益が相当程度悪化してから社員の給与カットや人員削減に簡単に手を出す会社があります。このような考え方は本末転倒であり、企業収益の悪化だけを引き起こすケースが多いのです。(もちろん状況によっては必要なケースもあります)。
従業員が安心して働け、適切な給与を支払える状況というのは中小企業の収益構造改善を実現するために必要な要素の一つです。決してコストと認識することなく、従業員の力でさらに多くの収益を上げる方法に頭をひねるべきなのです。考え方が真逆になってしまわないように注意が必要です。
ブラック企業にならない努力は経営力向上・収益向上の取り組みです
突き詰めていくと適切な労働環境を実現するための取り組みは企業の収益や経営力を向上させる取り組みと密接に関連していくものであり、ぜひとも取り組んでいただきたい問題です。
コスト削減も考え方を誤ってはいけません。考え方を間違わず取り組めば利益の源泉にもなるでしょう。
是非経営改善のきっかけとして取り組みを進めてください。
コスト削減の基本的な考え方として、当事務所では無料で小冊子を提供しております。
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