カテゴリー別アーカイブ: 販売

中小企業のマーケティングの話題で、販売や販売戦略についての話題を扱います。

中小企業の販売戦略 価格設定や売り方

単なる割引ではなく、利益の出る価格設定

中小企業にとっては、集客と既存客のリピート化ということは非常に大きな課題であり、集客のために時として値下げをせざるを得ないということがあるかもしれません。それで利益が出ればよいですが、必ずしも利益が出ないこともあります。

集客のために、
 ・特価品の広告を出して客を呼ぶ
 ・季節ごとにセールを実施し、値下げをする
ということは良く行われるわけですが、これが定常化すると値下げのタイミングだけ来店する客ばかりになってしまいかねません。

同じ値下げでも、
 ・2着目半額
などを行った場合はどうでしょうか?紳士服屋さんなどでよくおこなわれていますね。

この場合は、2着目は半額という大きな値下げをしていることになるので、利益を圧迫するという計算になるかもしれませんが、「1着目が売れている」という前提で考えると
 ・従業員が顧客に商品を売るための時間(人件費)
 ・店舗の固定費
については、1着だけした売れなかった場合も2着売れた場合も同様です。つまり2着目が売れた場合は、その値段の原価を引いた残りの値段がまるまる利益となるとも考えられるのです。
お店側も在庫リスクを抱えるよりも買ってくれる人に売ってどんどん商品を回転させるということで利益をしっかり稼げます。

(例)
 20,000円の商品 原価は3,000円
 1つ売るのにかかる人件費が7,000円、テナント料などの固定費が6,000円とすると、利益は4,000円です。
 ここで、1つ購入したお客様が2つ目を半額で追加購入した場合はどうなるでしょうか?
 人件費は1つ売っても2つ売っても変わらないし、固定費も同様と考えると、2つ目の金額10,000円から
 原価を引いた7,000円がまるまる利益となります。

という風に考えられるのです。
もちろん、個別にこのように考えても総額でそもそも目標の売上や集客ができていない場合は、赤字になってしまいますので、うまくいかない場合もあります。ここは気を付けないといけないのですが、その場合でも一人のお客様に追加購入していただき客単価を上げることは非常に重要です。

これを一律25%OFFなどにしていた場合、1着だけ買って帰るひとが増える可能性があります。そうなると利益そのものが圧迫されるということになりかねません。

現状の集客状況や客単価を考えて、どのような方策を取れば、利益を確保できるのか?またはどのような価格政策をとると客単価を上げられるのか?という点で改善点を考えて見ましょう。

単純な値下げにならないプラスアルファの知恵はとても大切です。
そのためにも、現状の客数や固定費、人件費などの情報を整理してみることは重要な取り組みです。

どのように考えればよいかわからないという場合は、気軽にご相談ください。小さな会社でもできる取り組みをお手伝いいたします。

ノンアルコール飲料競争、市場の機会 | 中小企業の経営改善

新たな機会の創出

ビール飲料などについては、市場の縮小が続いているようですが、非ビールである、チューハイやノンアルコールビールの市場は増えている傾向があるようです。
最近はノンアルコールビールが人気のようで、アサヒもノンアルコールビールに再参入し、シェア拡大を狙っているというような話題も出てきています。

一つの商品カテゴリーが永遠に拡大していくということはありません。
時の流れとともに、
 市場が縮小する
 市場が飽和し、横ばいになる
などの状況はいつか訪れるものです。

その中でいかに新しい活路を見出すか、ということは中小企業の経営においても非常に参考になるところです。

ノンアルコールビールにおいては、
 法規制の強化
という側面と
 消費者の健康志向
という側面から、新たな機会として認識されたという部分があるでしょう。市場の変化に消費者の支持も集まったというところです。
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値下げ競争を避けるため 中小企業の経営戦略

中小企業は値下げ競争に陥らない対策を

当たり前の話ではありますが、「価格」の競争はできる限り避ける方が良いでしょう。特に中小企業において価格で選ばれる状態というのは苦しいところであります。

牛丼各社が値下げをしきりにしておりますが、最近では、値下げをしても他社が追従しないという状況が生まれています。
 ・原材料の値上げ傾向が続き、値下げ余力がない
 ・顧客が同じ値下げキャンペーンに飽きてきている
というようなことが考えられますが、単純な価格競争を続けることは大企業であっても難しいことの表れでしょう。
今後原材料価格が低下してさらなる値下げ余地が出てくる可能性もありますが、価格競争に陥らない独自のベネフィットの作りこみが経営戦略上重要になってきています。これは中小企業においても同様の課題であります。

売りたいものの値下げをしないための対策を検討することは中小企業の経営改善においても非常に重要な戦略となります。
 ・価格の比較に陥らない他のベネフィットを強調する
 ・値下げをする場合もお客様にプラスアルファの提案で、客単価の維持・向上を検討する
 ・プレミア感を演出するさらなる強みと品質を追求する
といった対策は是非とも考える必要があります。

もちろん値下げにかかわらず、業務の効率化と原価低減努力は利益に直結する対策ですので並行して検討する必要があるでしょう。
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価格競争に陥らないために | 中小企業の戦略

家電に見る市況。中小企業への教訓

近日、自宅の引っ越しをいたします。引っ越しに際して、長い間使用していた家電の買い替えをいたします。
今回は大手の家電量販店で購入いたしましたが、いやはやなかなかお金もかかりますね。歳末にちょっと大きな支出です。
お店でじっくり価格を見てやはり驚いたのは、液晶テレビの価格の下落でした。あとブルーレイディスクレコーダーもそうですね。どちらも1,2年まではまだ価格もそれなりでしたが、地デジ切り替えが終わった後でしょうか、急激に値を下げているように見えます。40インチクラスの液晶テレビも現在は非常に値を下げております。私が以前購入していた13インチの液晶テレビの当時の価格と同じか、それより安いくらいの値段で購入できました。これには驚きです。
ブルーレイディスクレコーダーも以前は10万円前後といったところですが、2万円台~3万円で購入できてしまうわけです。

市場にも影響が出ており、液晶の生産縮小など国内メーカーも非常に苦しんでいますね。

翻って、白物家電はまだそれなりの価格で販売されているように見えます。海外メーカーとの競合が少ないからでしょうか。

避けるべき価格競争

ここで起こっているのはやはり価格競争という事になります。
競合が増え、供給過剰になり、想定以上の価格下落が起きているのでしょう。購入する側からすると価格が安くなるのは結構なことではありますが、企業の業績が著しく悪くなる事は回りまわって顧客の生活を悪化させる要因になってしまいます。何事も過剰な状況は避けるべきでしょう。
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インストア・マーチャンダイジング(ISM) | 客単価と客数の構成要素

インストア・マーチャンダイジング(ISM)の考え方で経営改善

インストア・マーチャンダイジング(ISM)のお話で、売上=客単価×客数というお話をして、客単価と客数の構成要素について説明しました。
それらの構成要素について少し詳しく説明します。
インストア・マーチャンダイジング(ISM)というと、店舗経営における指標と考えてしまいますが、これらの「考え方」そのものはBtoBビジネスやネットショップビジネスにおいても応用できると思います。実態に合わせた構成要素というものに分解して検討することが大切です。中小企業の経営改善においても是非とも検討したい視点です。

【客単価の構成要素】
1.動線長
 動線長とは、文字通りですが、お客様が店舗内で動く長さ(距離)の事です。基本的にこれが長くなると、店舗内のいろいろな場所を回って頂いているという事になりますので、長い方が良いという事になります。ただ、だからといって、お客様を長く「歩かせる」ことが目的ではありません。店舗内のあちこちに「行きたくなる」仕掛けづくりが必要になります。店舗内のあちこちを回ってもらうためには、そのような店舗づくりや効果的な「マグネット」といわれる要所を設けることが必要になります。

2.立寄率
 それぞれの売り場にどれだけ多く立ち寄ってもらえるかということです。お客様が計画購買だけで購買する場合は、立ち寄り率はおのずと小さくなってしまいます。いかに、非計画の購買をしていただくかというポイントになってきます。そのために、陳列方法やPOP等の工夫をしていくことになります。
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インストア・マーチャンダイジング(ISM)を検討する

売上を上げたい。多くのお店や企業がそう思っています。経営目標においても「売り上げ○○円」とか「○○%向上」という目標を掲げている会社が多いでしょう。
でも、いざ、売り上げ増を実現しようとすると難しい。当たり前のことですが、「売り上げが下がっているから、売り上げを上げろ」というのは、ほとんど意味のない作文で終わってしまいます。

なんでもそうですが、売り上げを上げるとか、複雑なシステムや機能を開発するとか、顧客満足を向上させるというようなことを実現するには、その目標を達成するためのステップや構成要素に分解して考えてみるとわかりやすいものです。

売上を構成する要素とはなんでしょうか。
もっとも単純に考えると以下のようになります。
 売上 = 客単価 × 客数
売上を伸ばすには、客単価か客数を伸ばす必要があるということです。単純ですね。
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中小企業の戦略 単純な真似だけでない個性や付加価値を

類似戦略だけではうまくいかない競争

シャープは、GALAPAGOSメディアタブレット2機種の販売を終了するそうです。
独自の電子書籍端末として期待されていた製品ですが、戦略としては失敗だったということでしょうか。

類似と書いていますが、GALAPAGOS自体はそれなりにユニークな製品だったように思います。
電子書籍というこれから市場拡大が見込まれる分野に特化した製品として、電子ブックストアと組み合わせて製品化したのです。それなりに期待もあったように思います。

でも、世間ではiPadがあり、iPhoneやアンドロイドといったスマートフォンが普及。電子書籍はコンテンツ不足でAmazonが世界的には先行しているという状況であり、競争環境は厳しいものがあったように感じます。
GALAPAGOSを「持つ理由」がユーザにとって何なのか。その特別さが取り立ててなかったようにも感じます。
電子書籍も普及はこれからであり、コンテンツ不足も否めません。販売も直販にこだわっていたようですが、新規で消費者の手に届けるには及ばなかったようです。様々な面で現在の競争の主要な存在とはなれませんでした。

一見新しく勢いのある市場であっても、競争環境などを踏まえて考えると参入の難易度が高いという事が多々あると思います。
ですので、参入する際は、自社では「どのような付加価値や強み」を持ってその商品を扱うのかという戦略やビジョンが非常に重要になってきます。もちろんビジョンがあってもそのビジョンそのものの方向性が誤っていては、結果がついてこないことになります。その部分での「読み」も非常に重要でしょう。

たとえば環境関連のビジネスでは

中小企業にとってはGALAPAGOSのような大型の製品を直接扱う機会は少ないでしょう。
では、最近のトレンドの環境関連ではいかがでしょうか。
たとえばLED電球は現在非常に普及が進みつつあります。電球自身は2015年にかけて、普及が急速に進むという予想もあります。非常に多くの数のLED電球が売れることになるでしょう。
では自社でもLEDの販売を始めようとなるとどうなるでしょうか。
もちろん、今の市場の波に乗れば売れる可能性は大いにあるでしょう。
しかし、油断をしていると果てしない価格競争に巻き込まれてしまうという現実もあります。事実LED関連の電球などは価格の下落が激しい商品といえます。
インターネットを使えば価格も簡単に調べられる現在の市場環境の中でいかにして売っていくかという「戦略」と「ビジョン」が大切になると思いませんか?

たとえば、
 ・LED電球の導入によって解決できることはなんでしょうか?
   →それは、どのような人や企業が求めていることでしょうか。
 ・LED電球の導入を躊躇する理由はなんでしょうか。
   →そのような躊躇は誰がしているでしょうか。
   →またその躊躇を解決するために自社では何ができるでしょうか。
 ・LEDの持つ特性を応用できないのか
   →製品自体の付加価値提案ができるポイントがないか。
といった視点で戦略を考えることもできるはずです。
そのうえで、実行する際の営業戦略や営業戦術、その管理方法など、いろいろな課題が出てくることになります。

難しいことを考えなくても売れる可能性のある商品であることは確かです。
しかし、多くの企業が同じように考え、売っている可能性があります。競争環境が激しくなるほど価格競争圧力が強まります。

新製品・新サービス・経営改善。
いずれにしても企業の戦略や仕事のやり方の変化を伴う可能性がありますし、変わるべきという表現でも良いかと思います。
中小企業・零細企業にとって、現行踏襲や下請けだけというところを超えた戦略や営業の工夫が必要になってきています。

大企業だけとか、自社には関係ないと考えず、たとえ、街のお店や零細企業だとしても自身の戦略というものをしっかり持っていただきたいところです。

中小企業の営業活動 | できる営業で売り上げアップ

中小企業の営業力向上

営業は、企業の売り上げを生むもっとも重要な活動の一つです。
営業の重要性は、様々な本やセミナーでもネタになっています。関心も高いしそれだけ重要ということです。

良い営業とはなんでしょうか?
1.営業にとって「良い」結果とは、売り上げが上がることです。
2.さらに良い結果は、お客様が喜んでくれて、リピーターになってくれることです。
3.そして、その上に良いことは、お客様が別のお客様を紹介してくれることです。

営業員の人は日々営業目標やノルマに追われ、必死に働いていますが、時として、1.の目先の売り上げだけに固執してしまう場合があります。それが短期的には数字になりやすいからです。2や3の結果まで考慮すると比較的時間もかかるでしょう。時間をかけてもリピートしてくれるか、紹介してくれるかはわかりません。

以前も、リピーターを作ることが大切であることは述べています。新規顧客を新たに開拓するより、既存顧客をリピート客にする方がコストも安く、効果があると一般的に言われているからです。ですので、お客様満足の追求とお客様にファンになってもらうという取り組みが重要になってきます。
そして、その取り組みを追究することで、3の可能性も高まってきます。

多くの営業の人の体験を伺っていると、できる営業の人は以下のような特徴を持っている気がします。

・お客の話を聞くこと。つまり、セールストークで営業側が話すのではなく、お客様に話をしてもらう。さらには話をしたくなってもらうような、展開をする。
・お客に製品やサービスをあまりプッシュしない。
・値引きもしない。

というような特徴です。
猛烈営業の風土がある会社では不思議に感じるかもしれませんが、売って、そしてリピーターになってもらいさらに紹介までしてもらうというのは相当な信頼関係を構築しないとできないことです。

つまり、セールス一辺倒での営業ではなかなか先が続かないのです。できる営業の人は、「売ろう売ろうとしない」ということをよく言います。これは偶然ではないはずです。

「売ろうとしない」で売るには、お客様に「欲しい」と思ってもらう必要があります。
「値引きしない」ためには、お客様に価格以外での明確な選択理由を提供できる必要があります。

それを踏まえて、

・自社では、お客様に興味を持って話してもらう営業方法についてのスキルがあるか
・そのスキルは、社員間で共有されているか?また共有のための仕組みがあるか
・価格以外の訴求ポイントについて明確に整理できているか
・それらのポイントと営業目標について、「見える化」できているか

というチェックをしてみる。
このチェックが全てOKでないとすると、改善のポイントがどこかにある可能性が高くなります。
悪いことではなく、「改善のチャンス」があるのです。
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中小企業の「売れる」の仕組みづくり

いかに売っていくのか、どうすれば買いたくなるのか

中小企業・零細企業・個人事業の経営者様にとって、いかに「売れる」ようにするか、日々悩み続けておられますね。
様々な経営者の人のお話を伺っていると、その人ごとに「やりたい」という大きな気持ちを持っておられます。これはとても素晴らしいことです。
しかしながら、その気持ちと裏腹に、なかなか成果が出ない場合もあるのです。素晴らしいサービス・商品があっても必ずしも売れるとは限らない。ビジネスの難しい点です。

マーケティングの仮説のなかで「AIDMA」の法則というのがあります。
・Attention(注意)
・Interest(関心)
・Desire(欲求)
・Memory(記憶)
・Action(行動)
の頭文字をつなげたもので、消費者の購買に至るまでの心理プロセスの仮説です。
消費者は、サービスや商品にまず「気づき」「興味を持って」「欲しくなって」「記憶して」「購入する」のです。

事業者の側から考えてみると、まずお客様に「気づいてもらい(A)」、「興味を持って、欲しくなってもらい(I・D・M)」、「買ってもらう(A)」ために、いかにマーケティングの取り組みを行っていくのかということになります。
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中小企業の販売戦略におけるITの活用

中小企業のIT活用でさらなる販売機会の獲得を

 現在ではほとんどの企業で何らかの形でITの利用をされているかと思います。しかしながら、企業によっては活用が限定的であったり、ホームページも持っていなかったりする場合もあるかもしれません。インターネットの普及により、電子商取引も比較的簡単に行えるようになり、多くの企業が時間的・地理的制約を超えて取引を実現しています。前回の記事では、業績を伸ばしている企業は、遠隔地も含めて取引先を拡大している傾向があることを書きましたが、ITの活用は、顧客との地理的な隔たりを取り払ってくれる可能性があります。
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