カテゴリー別アーカイブ: コア – 強みや知的資産

中小企業のコアとなる「強み」や経営改善の肝となる可能性のある話題についてまとめます。

価格競争に陥らないために | 中小企業の戦略

家電に見る市況。中小企業への教訓

近日、自宅の引っ越しをいたします。引っ越しに際して、長い間使用していた家電の買い替えをいたします。
今回は大手の家電量販店で購入いたしましたが、いやはやなかなかお金もかかりますね。歳末にちょっと大きな支出です。
お店でじっくり価格を見てやはり驚いたのは、液晶テレビの価格の下落でした。あとブルーレイディスクレコーダーもそうですね。どちらも1,2年まではまだ価格もそれなりでしたが、地デジ切り替えが終わった後でしょうか、急激に値を下げているように見えます。40インチクラスの液晶テレビも現在は非常に値を下げております。私が以前購入していた13インチの液晶テレビの当時の価格と同じか、それより安いくらいの値段で購入できました。これには驚きです。
ブルーレイディスクレコーダーも以前は10万円前後といったところですが、2万円台~3万円で購入できてしまうわけです。

市場にも影響が出ており、液晶の生産縮小など国内メーカーも非常に苦しんでいますね。

翻って、白物家電はまだそれなりの価格で販売されているように見えます。海外メーカーとの競合が少ないからでしょうか。

避けるべき価格競争

ここで起こっているのはやはり価格競争という事になります。
競合が増え、供給過剰になり、想定以上の価格下落が起きているのでしょう。購入する側からすると価格が安くなるのは結構なことではありますが、企業の業績が著しく悪くなる事は回りまわって顧客の生活を悪化させる要因になってしまいます。何事も過剰な状況は避けるべきでしょう。
Continue reading

中小企業の戦略 単純な真似だけでない個性や付加価値を

類似戦略だけではうまくいかない競争

シャープは、GALAPAGOSメディアタブレット2機種の販売を終了するそうです。
独自の電子書籍端末として期待されていた製品ですが、戦略としては失敗だったということでしょうか。

類似と書いていますが、GALAPAGOS自体はそれなりにユニークな製品だったように思います。
電子書籍というこれから市場拡大が見込まれる分野に特化した製品として、電子ブックストアと組み合わせて製品化したのです。それなりに期待もあったように思います。

でも、世間ではiPadがあり、iPhoneやアンドロイドといったスマートフォンが普及。電子書籍はコンテンツ不足でAmazonが世界的には先行しているという状況であり、競争環境は厳しいものがあったように感じます。
GALAPAGOSを「持つ理由」がユーザにとって何なのか。その特別さが取り立ててなかったようにも感じます。
電子書籍も普及はこれからであり、コンテンツ不足も否めません。販売も直販にこだわっていたようですが、新規で消費者の手に届けるには及ばなかったようです。様々な面で現在の競争の主要な存在とはなれませんでした。

一見新しく勢いのある市場であっても、競争環境などを踏まえて考えると参入の難易度が高いという事が多々あると思います。
ですので、参入する際は、自社では「どのような付加価値や強み」を持ってその商品を扱うのかという戦略やビジョンが非常に重要になってきます。もちろんビジョンがあってもそのビジョンそのものの方向性が誤っていては、結果がついてこないことになります。その部分での「読み」も非常に重要でしょう。

たとえば環境関連のビジネスでは

中小企業にとってはGALAPAGOSのような大型の製品を直接扱う機会は少ないでしょう。
では、最近のトレンドの環境関連ではいかがでしょうか。
たとえばLED電球は現在非常に普及が進みつつあります。電球自身は2015年にかけて、普及が急速に進むという予想もあります。非常に多くの数のLED電球が売れることになるでしょう。
では自社でもLEDの販売を始めようとなるとどうなるでしょうか。
もちろん、今の市場の波に乗れば売れる可能性は大いにあるでしょう。
しかし、油断をしていると果てしない価格競争に巻き込まれてしまうという現実もあります。事実LED関連の電球などは価格の下落が激しい商品といえます。
インターネットを使えば価格も簡単に調べられる現在の市場環境の中でいかにして売っていくかという「戦略」と「ビジョン」が大切になると思いませんか?

たとえば、
 ・LED電球の導入によって解決できることはなんでしょうか?
   →それは、どのような人や企業が求めていることでしょうか。
 ・LED電球の導入を躊躇する理由はなんでしょうか。
   →そのような躊躇は誰がしているでしょうか。
   →またその躊躇を解決するために自社では何ができるでしょうか。
 ・LEDの持つ特性を応用できないのか
   →製品自体の付加価値提案ができるポイントがないか。
といった視点で戦略を考えることもできるはずです。
そのうえで、実行する際の営業戦略や営業戦術、その管理方法など、いろいろな課題が出てくることになります。

難しいことを考えなくても売れる可能性のある商品であることは確かです。
しかし、多くの企業が同じように考え、売っている可能性があります。競争環境が激しくなるほど価格競争圧力が強まります。

新製品・新サービス・経営改善。
いずれにしても企業の戦略や仕事のやり方の変化を伴う可能性がありますし、変わるべきという表現でも良いかと思います。
中小企業・零細企業にとって、現行踏襲や下請けだけというところを超えた戦略や営業の工夫が必要になってきています。

大企業だけとか、自社には関係ないと考えず、たとえ、街のお店や零細企業だとしても自身の戦略というものをしっかり持っていただきたいところです。

中小企業の経営改善 - リスクに対する取組みについて

食中毒事件から中小企業のリスク対策について考える

焼肉チェーン店での食中毒事件が連日報道されています。今回の事件では死者も出ており、非常に重大な事態になっております。企業として絶対に避けるべき事態でありますし、お客様の未来、幸せ、信頼のすべてを結果として奪ってしまうことになり、関係者のすべてにとって非常に不幸な出来事でありました。
なぜこのようなことが起こってしまったのか、どうあるべきであったのか、この出来事についての教訓をどのように活かすべきなのか、深い内省と改善に向けた具体的な行動が求められます。

このような事がなぜ起こるのでしょうか?中小企業でも程度の差こそあれ、起こりうる事態です。それは製品の品質の毀損であったり、機密情報の漏洩であったり、違法行為であったり。今回の事件では生命にかかわる事態になったということが非常に大きなことなのです。
中小企業の経営でも同様で、企業の活動には、何らかのリスクが潜んでいるはずです。食品関連の製造業であれば、今回のように衛生管理上のリスク、販売であれば、賞味期限・消費期限・保管上のリスクがあるでしょう。食品でなくても顧客や従業員に対する安全確保上のリスクがあるかもしれませんし、品質保持上のリスクもあるでしょう。
第一歩としては、事業活動上のどこにリスクがあるのか、それはどのようなものかを認識することです。このようなことは従業員個人にまかせきりになってはいけません。企業の取り組むべきリスクから目を背けることになるからです。
Continue reading

中小企業の経営改善 - 個人情報保護における情報取り扱い

個人情報の取り扱いのルールを守ることの大切さ

中小企業の経営においても、個人情報保護の体制を取り、推進していくことが求められてきております。しかしながら、それは簡単なことではなく、「個人情報を大切にせよ」という言葉だけでは実効力がありません。
ソニーの取り扱う個人情報が大量に漏洩した事件においては、子会社にも影響が広がっており、サーバーの古いデータベースに削除されずに残っていた個人情報も漏洩しているようです。本来古いデータベースは使用していないのであれば、データは削除すべきでしょうが、それも行われていなかったということになります。

この事件において、悪いのはあくまで、サーバに進入し、情報を漏洩させた人あるいはグループであるわけですが、企業側においても、もっと厳重な保護ができたのではないか?という視点で考える必要もあります。
Continue reading

中小企業の経営改善 - 個人情報保護・セキュリティ対策

中小企業でもできる個人情報保護・セキュリティ対策

先日のソニーで起きた大量の個人情報の流出事件については、まだまだ影響範囲が特定されておらず被害が大きくなる可能性も残っておりますね。クレジットカード情報が漏れていたとすると、個人に対する金銭的な被害が発生する可能性もあります。それに加えて今後ソニーには訴訟のリスクや賠償の問題、それに対する費用の問題等様々な課題が出てきます。
本来セキュリティを破って個人情報を流出された「何者」かが悪いのでありますが、このような事故が起きてしまうと具体的な責任を負うことになるのは企業側です。理不尽に感じる面もあるかもしれませんが、お客様の個人情報や機密情報を預り、それを利用している以上、しっかりとした安全対策を採るのは企業としての責務でもあります。
これは中小企業の経営にとっても同様です。
中小企業の経営では、大企業との比較において、セキュリティ対策が遅れているといわれています。セキュリティの対策には、管理面・人材面でもある程度の時間・コストがかかるわけで、中小企業の経営にとって重荷になるという側面もあるでしょう。それでも個人情報や機密情報は重要な資産という位置づけで守る体制をとる必要があります。
また大企業から見ると、自社の個人情報・機密情報を守るため、取引先の中小企業の経営において個人情報保護体制が取れているか、機密情報を適切に扱っているかということが、取引を継続する上での条件となる場合があります。取引先が情報を不適切に扱っている場合、そこが、セキュリティ上の「穴」になってしまうからです。

中小企業の経営において、個人情報保護の体制をとることや、セキュリティリスク対策を行うことは可能です。何もコストをかけるばかりではなく、企業の規模や実態に応じて自社に合った対策を行えばよいのです。
Continue reading

中小企業の経営改善における個人情報保護について

中小企業の経営にとっての個人情報保護について改めて考える

先日ソニーのオンラインサービスにおいて約7700万人分の個人情報が流出した可能性があるという事件がありました。これは史上最大規模の個人情報流出であり、個人情報保護の重要さと難しさを考えさせられる出来事でもあります。クレジットカードの情報まで流出していたとすると被害はさらに広がるかもしれません。

これほどの規模の個人情報を中小企業において保持することはあまりないとは思いますが、中小企業の経営においても顧客や取引先、従業員の個人情報を保持することはあるでしょう。このような事件は大企業のものだけではなく中小企業の経営にとっても非常に身近なものなのです。

セキュリティ事故が起こる原因等

今回のソニーの個人情報流出は、ハッカーによるサイバー攻撃により発生したようです。ハッカーによる進入の手口は高度化しているため、企業としても個人情報の扱いには最新の注意が必要です。ハッカーによる進入のような外部の要因だけでなく、社員による機密情報の不正利用、USBメモリやファイル共有ソフトによるウイルス感染・情報流出など、様々な可能性があります。
Continue reading

中小企業の経営改善・経営革新に必要なものとは2

中小企業の経営改善・経営革新を阻害するものとは?

先日中小企業の経営改善・経営革新の話題の中で、組織の不正について書きました。
不正は、「動機」「機会」「正当化」がそろったときに起こるとありました。これを押さえるために、多くの組織が、「機会」を制限する「管理の強化」を行っていると述べました。管理をすること自体が悪いことであるわけではありません。しかしながら、管理が強くなりすぎると弊害も多くなります。
管理を強化すると、ルールが増えるでしょう。ルールが増えれば、それに伴い管理書類や承認の手続きにも時間がかかります。多くの社員が「ルールを守るための時間」に終われ、いつしか「ルールを守るため」の活動が増えてしまいます。極端な話、それが目的になってしまう場合もあるかもしれません。これは本末転倒です。
しかし「自分たちでルールを決めてしっかりとルールに従い業務を行う」事が悪いことでしょうか?どんな企業にもルールがあります。それが悪いでしょうか。
これは難しい問題です。しかしながら企業は答えを出さないといけません。自分たちなりに。何が答えでしょうか。私は一言でいうと「バランス」なのだと思います。

Continue reading

中小企業の経営改善・経営革新に必要なものとは

中小企業の経営改善・経営革新に必要な要素

 まだまだ景況は厳しいものがあります。連日のニュースでも円高の進行や株価の落ち込みなど様々な不安要素が見て取れます。中小企業にとってはさらに厳しさが続いているものと予想できます。経営環境は変化しています。変化に適応できない企業はさらに厳しい状況を迎えることになるでしょう。「変化」が求められるのです。それが経営改善・経営革新活動という言葉であったりイノベーションといったりするわけです。ではその変化に必要なこととは何でしょうか。

「手法」としては以前から紹介していたバランススコアカード(BSC)は良いと考えています。バランススコアカード(BSC)の利点はその考え方自体が良くまとまっており、まさに「バランスが良い」事であります。経営の改善に向けての一連の活動をストーリーとして語ることが可能であり、その管理についての具体的な指標を設定しています。

とはいえ、バランススコアカード(BSC)のような手法を導入したからといって自動的に経営改善・経営革新ができるわけではありません。
全社的に目標に向かって努力するような組織・人のつながりを作ることが前提条件と考えられるでしょう。
Continue reading

中小企業の知的資産経営 経営改善へ、まずは一歩踏み出そう

知的資産経営はどのような中小企業でも実現可能か

 知的資産は、それぞれの企業にとって特有の能力で、それを活用することで新たな価値を生み出せる力です。そしてそれは他社にとって模倣が困難であるような無形の資産のことです。知的資産の開示ガイドラインにはこのような説明がなされております。そして開示の役割を考える前提として、「知的資産経営が実践されていること」と指摘されています。また、知的資産を活用し経営改善を実現していくための様々な管理指標についても参考となるガイドラインが示されています。
Continue reading

中小企業の知的資産経営 知的資産経営報告書を作成する

知的資産経営報告をを作成し、関係者に見える化を実施

 知的資産を特定し、管理方法を決めたら、知的資産経営報告書として見える形にしていくということを考えます。内部的に管理するだけでなく企業経営を取り巻くステークホルダーに見えるようにすることで、中小企業の事業計画に説得力が増しますし、関係者の理解を得ることで更なる経営改善が期待できます。
Continue reading