値下げは計画的に

値下げで利益が下がるような計画になっていませんか?

吉野家では牛丼並盛を380円から280円と約26%も値下げしました。その結果として、2013年5月は昨年対比で15.9%ほど売り上げが伸びたそうです。客数が131%になったことが寄与しております。また客単価については昨年対比で88.5%ですので12%ほどの減少で食い止めたことが大きいでしょう。

このように値下げの戦略を行うためには、しっかりした計画をもとに、値下げ分以上の集客と客単価減少を食い止める工夫が必要となります。

例えば吉野家の場合でいうと、

・26%の値下げは牛丼並盛のみで、大盛り・特盛の値下げ幅は小さい
・客数の増加とともに、トッピング(卵など)やそのほかのメニューの販売可能性が増える

などのポイントを合わせると客単価の減少の幅を抑える要素はあるわけです。

値下げというものは安易にするものではなく、周到に戦略を準備する必要があります。今回の吉野家のケースでは短期的には成功したといえますね。

 

さて、表題では、値下げで利益が下がるような計画になっていないか?と書いておりますが、実際値下げを行うと値下げした以上の顧客数増加を実現しないといけません。

例えば、値下げにより客単価が10%下がったとします。値下げ前と同様の売上を実現するためには約11%の客数増加が必要です。(既存売上100% ÷ 客単価90%)。

客単価が20%下がる場合は、25%の客数増加が必要になります。10%値引きして、10%客数を伸ばすというような単純計算では、一気に赤字になってしまいます。しかもこれは売上ベースでの計算であり、原価も加味して、利益を確保し伸ばすためには、かなりの客数増加が必要です。原価率が高い業種において安易な値下げをしてしまうと致命傷になりかねないほどのインパクトが出てきます。

 

業種・業態や原価率の状況により必要な売上額や客数はかなり変わります。そのような部分も含めて十分に計画を進めないと収益構造が悪化してしまいますので注意が必要です。

 

値下げという取り組み自体は販売戦略・価格戦略において重要な一手ではありますが、無計画な値下げは非常に怖いものだという認識を持っていただきたいと思います。

価格戦略面でお悩みなどある場合も気軽に相談してくださいね。

 

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