カテゴリー別アーカイブ: 財務

中小企業の財務に関する話題をまとめます

役員報酬の損金参入拡大?

役員報酬の損金算入が拡大されるかも

アベノミクスの成長戦略として、企業の投資意欲の向上が掲げられています。そのための税制を改正が議論されておりますが、

  • 投資の減価償却の一括計上
  • 役員報酬の損金算入範囲の拡大

などが上がっております。

投資意欲や経営者のやる気を起こすための良い政策かもしれませんね。

役員報酬については、現行では固定給部分しか損金算入できないのが原則ですが、利益に連動した報酬も損金算入が可能になるかもしれません。

個人的には、これらの施策は賛成だと思っています。

中小企業でも戦略を考える場合は、実際の業務や報酬や投資と業績の間に因果関係を定義し管理していくことが必要です。役員報酬や投資の結果としてのキャッシュの流出が税金に素直に反映されると、税金の動きが感覚的にも理解しやすくなるからです。

将来の業績は現段階で決定できません。役員報酬について利益と連動させる部分を増やせば、企業の資金繰り面の管理でもよりわかりやすくなるのではと考えています。

 

あくまで本業の儲けを伸ばすのが前提

とはいえ、減税の効果を享受するためにはそもそも本業での利益をしっかり出していけることが大前提となります。役員報酬を業績と連動させる場合も、役員は報酬を結果として増やすために財務的な目標を達成するための行動が必要になります。

それを戦略に落とし込み、実行と管理ができるかどうかが経営改善・経営力向上のカギとなりますね。

いくら業績連動といっても自社で戦略的に活動を管理できなければ、業績が伸びたとしても「たまたま」ということにしかなりません。これではせっかくの税制改正もあまり効果が出ないでしょう。

 

税制改正という後押しを背景として、自社の業績と戦略の因果関係を明確にし、活動管理することが中小企業の本業でのもうけを強化するために必要になります。

 

是非経営力向上のためにその部分を検討していただきたいと思います。

当事務所でもそのような取り組みを支援しております。無料小冊子などもご活用くださいね。

 

円滑化法適用企業の倒産が増加?真の収益構造改善を

金融円滑化法の適用を受けた企業の倒産が増加傾向

金融円滑化法が終了し改めて中小企業の資金繰りが課題となっておりますが、今年に入ってから金融円滑化法の適用を受けた企業の倒産がやはり増加傾向にあるようです。資金繰りを一時的に改善しても会社自体の収益構造の立て直しができなければ、事業継続は難しくなります。資金繰り改善のための資金調達はあくまで時間を買っているという認識のもと、収益改善の取り組みを強力に進めないといけませんね。

円滑化法の適用を受けていない中小企業でも事業継続は重要なテーマです。そのための収益構造・財務構造を作り上げていく必要があります。

 

倒産企業はどんな状態なのかを知り、改善に活かそう

倒産企業というのは、以下のような特徴があります。

  • 多くの場合減収傾向で赤字体質
  • 有利子負債の比率がとても高い
  • 総資産も減少傾向がみられる
  • 自己資本比率が低く、債務超過も多い
  • 当座比率が低く資金繰りが苦しい

当たり前と言えば当たり前ですが、経営状況が悪いと上記のような傾向が表れてきます。自社の現状も踏まえて、改善ポイントが見えてきませんか?

最終的には、中小企業の経営改善においては、本業の業績を向上させ、経常利益率を伸ばし、自己資本比率を高めていくことが必要になってきます。それが超えるべき山の高さになるのです。そのために何をするのか?ということ定義するのが戦略であります。

このように考えていくと収益構造・財務構造を改善するために必要な取り組みというのは実はシンプルです。資金繰りを管理しつつ、しっかりとした戦略を立てていきましょう!

 

当事務所では小さな会社の経営力向上・経営改善のための戦略策定支援を行っておりますが、自社で経営分析や改善を行えるようになっていただくための無料のサービスもホームページにて提供しております。

以下のページ(当事務所HP)も参照して是非経営改善を進めてください。

CONSULTING OFFICE 3S HP

→ 経営自己診断のページ

→ 無料小冊子お申込みのページ

→ 経営相談のページ

 

 

 

中小企業の経営における資金繰りの大切さ

中小企業・零細企業だけでなく、個人商店などの事業を継続するために絶対必要なこと。
それは「お金が回る」ことです。
収入があり、支払いが滞りなくできる。

この状態さえ作ることができれば、事業は破綻したりはしません。
事業が赤字でも資金繰りさえしっかりしていれば事業は継続できます。
黒字でも資金繰りの管理に失敗すれば、事業は継続できず倒産となってしまいます。

当たり前と言えば当たり前ではありますが、実際の経営上でここの部分はしっかり理解して経営が行えているかというとそうでない場合があります。
売上は頑張ってあげているけど、資金繰りがいつも厳しいと感じることはありませんか?

 

資金繰りが苦しいということで、相談に来られても、その時点でジリ貧になっていて、手の施しようがないという場合もあったりします。

経営における資金繰りについて、わかっていないという状態が出てきているというのは、つまり資金繰りというのが「わかりにくい」からだと思います。

なぜわかりにくいかというと、帳簿上(損益計算書や貸借対照表など)からは資金繰りが把握できない場合があるからです。帳簿上の利益とお金の出入りが一致していないからこそ「黒字倒産」などという状況がうまれるわけです。

またその程度の状況であれば、まだましなのですが、資金繰りの管理をおろそかにしているうちに、経営が負のスパイラル(たとえば、売上減少→資金繰り悪化→借入増加→さらなる資金繰り悪化)に陥ってしまい、泥沼化してしまう状態が非常に問題だったりします。

ですので、経営状況にほんの少しでも陰りが見えてきた場合には手を打つ必要があります。

「あと数か月我慢すれば、景況は良くなるだろう」という楽観的な思考による現状放置は非常に危険です。

手の打ち方がわからないという場合は迷わず相談を、ということになります。

  • 資金繰りについて、不安がある。
  • 資金繰りというけど詳しいことはよくわからない
  • これから起業・創業予定だが、会計のことに疎い

など、少しでも該当すれば、迷わずご相談ください。

資金繰りは経営において非常に重要です。疎かにせずに、よくよく理解して事業を発展させていきましょう。

当事務所のホームページのコラムでも資金繰りについて書いております。これからも情報を追加していきますので、参考にしてください。

 

中小企業の計画立案や計数管理と見える化

中小企業の計画立案と計数管理は見える化の第一歩

中小企業や零細企業、店舗などの経営を見る際には、計画立案や、計数管理ができているかということは一つの視点になります。
ではなぜ、それが重要なのか?
頭の中でわかっていたら良いのではないか?と感じる人も多いと思います。実際それでできている人もいるのは事実です。うまくいっているのであれば、その事実自体には文句はないわけです。

しかし、人が増えてきたり、関係者が増えてきたり、業務が増えてくる中で、そのような計画や計数が合った方が「より良い」という状況になってきます。経営者の皆様の能力がいかに高くとも、おのずと限界があります。数年先まで完全に見通せるわけでもなく、場合によっては、数か月先の資金繰りも正確に抑えられないかもしれません。

計数で経営を見たり、計画を立てたりする意味は、
 ・立てた目標に対して、何をするべきなのかを明確にし、その進捗を管理するため。
 ・予期せぬ事態や異常が発生した際に素早く察知するため。
などの意味があります。

前者は多くの場合強調されるポイントです。経営計画や事業計画本などでもよく指摘されるでしょう。
私個人としては、後者の意味も非常に重要であると感じています。

何か問題が発生した際の「気づき」は非常に重要です。多くの経営者にとって、悪い情報はあまりうれしいものではありません。できれば目を背けたい。しかしながら、本当に目を背けてしまうと、経営はどうなるでしょう。現実の否認は経営者が絶対に避けるべきことです。
何らかの事象についての「気づき」の仕掛けは製造業などでの見える化の取り組みでもよく行われているでしょう。

たとえて言うと、人間には「痛み」という感覚があります。痛いのは嫌です。痛みなどという感覚はなければいいのに、と子供の頃などにはよく思ったものですが、痛みはないと困りますね。痛みが発生するような状況になって何も感じないのは生命の危険となります。

経営においても同様ですね。
痛み(たとえば、売り上げの未達や赤字)は目を背けて放置していると、悪化し、もしかしたら倒産の危険が生じます。

法律上「法人」として、権利能力を認める存在を作れるようになっていますし、店舗も同様に一つの存在ですが、人間のように「痛い」と言ったりしません。「困ってる」とも言いません。

ですので、その気づきは経営者自身が行う必要があるのです。
経営計画や、計数上の通常の値というのは人間の体でいうと、健康な状態を示すものです。そこにぶれが生じた場合、何らかの痛みを生じている可能性が出てきます。気づきを得られるかどうか。「見える化」するポイントでもあります。

計画やその計数化というのはそのような感覚を知るためのチェックポイントとして「活用」できるのです。
計画を書いただけで、使っていないという場合もあります。これも危険です。

計画を立てるのに意味はない。。。と思わずにその本来の意味を見つめてみませんか。
そのためには、
 ・自社の財務情報の分析の仕方
 ・経営計画を立て、アクションプランまで落とし込むこと
 ・現状の業務フローの定義(場合によってはあるべき姿へ変える経営改善のきっかけになるかもしれません)
  業務の見える化
といった、様々な取り組みの可能性があります。

中小企業の財務分析 | 経営力向上、経営改善の視点で見る

中小企業の財務分析と業界指標との比較、経営力向上・経営改善のため財務から見てみる

中小企業庁の発表資料で、中小企業の実態基本調査が発表されています。
以前、このブログでも各種業界の平均指標や指標の意味について記事にしておりましたが、2010年度調査分(2009年の決算分)の調査資料も発表されております。
改めて、自社の経営指標と比較してみるのも良いでしょう。

もともと経理畑であったり、財務的なお話に興味がない場合、経営者や起業を目指す人にとって、財務というのはとっつきにくいものではあります。
しかし、財務的な情報というのは自社の今までの業務・事業上の取り組みのの結果を数値で表したものといえ、非常に重要な情報を多く含んでいます。「原価が高くなっている」「人件費や広告宣伝費が重くなっている」「売り上げが低下傾向だ」そのような情報を数値で正確に表すことができます。
そのくらいの情報は頭に入っているという方も多いかもしれませんが、正確な数値をもとにいろいろな視点から分析してみると、経営力向上・経営改善の知恵がわいてくるものです。

改めて、財務分析のための指標の種類について以下にどのようなものがあるか示します。

・安全性
 企業の支払能力という面での安全性を測る指標です。資本構成のバランスを見て、どのくらいの支払能力が
 あるのかということを計ることができます。流動比率や当座比率、固定比率、固定長期適合率などが
 代表的な指標です。
・収益性
 企業の収益力を見る指標です。これはわかりやすい指標で、売上高総利益率や売上高営業利益率、売上高経常利益率、
 ROA(総資本利益率)、ROE(株主資本利益率)などで見ます。黒字でできるだけそれを高めていく。中小企業の課題ですね。
・効率性
 資本をどれだけ効率的に利用し、売り上げを上げているかという視点での指標です。各種回転率などが代表的指標です。
 総資本回転率、売上債権回転率、棚卸資産回転率などが代表的な指標です。
 回転率で1年の日数(365日)を割ると、回転期間を求められます。こちらを見る場合も多いです。
・生産性
 自社の生産性を見る指標です。少子化の進む日本や海外との競争にさらされている現在の経営環境の中に会って、
 この生産性をいかにあげていくかというのは中小企業・零細企業にとって大きなテーマでしょう。
 投入した、人・物・金でどれだけの収益を上げたかという視点の指標となります。
 一人当たりの売上高、一人当たりの付加価値額、付加価値にしめる人件費の割合(労働分配率)などがあります。

その他にも、複数期間で売り上げの伸びを見れば、成長性を図ることもできます。
財務の情報は1期間で見るだけでなく、複数期間継続してその推移をみるということも大切です。

CONSULTING OFFICE 3Sのサイトで、中小企業の実態基本調査から計算した、各種指標をダウンロードできるようにしています。自社の経営指標との比較などに利用してみてください。

中小企業の経営改善 計数感覚って大切です

中小企業の経営改善のための取り組みは様々あります。
しっかりしたビジョンを持つこと、しっかりした計画・目標を立て、それに向かって全社員で行動すること。適切な投資、教育、顧客へのアプローチ などなど。
そして、中小企業の経営者様においては、リーダーシップや意欲なども求められますね。
加えて大切な力としては、「計数感覚」ということもあると思います。

先ほどニュースで見たのですが、格安クーポンを売りにした、クーポンサイトで被害を被ったという訴えが起こったようです。美容室さんが訴えられているようでして、1万3200円分のサービスを2900円にするクーポンを新店の出店に伴い1500枚も発行していたそうです。
通常の7割引き(クーポンサイトへの支払いを控除すると、8割~9割引きになるかもしれません)の価格で1500名分のサービスを提供するわけです。
普通に考えたら、採算割れもいいところでしょう。しかも美容室というサービスの特質上、一度に多くの人に対してサービスを提供できませんし、予約にも限度があるでしょう。

しかしながら、現実にこのクーポンが発売されており、お店も赤字になったわけです。
ビジネス上、クーポンサイト側に落ち度があったのかどうかは不明な部分がありますが、どちらにせよ、お店側も事前に採算がどうなるかというシミュレーションを慎重に行っておくべきであったかもしれません。
このようなサイトで発売されるものですから、事前にある程度の原価や諸経費についての計算はできるはずですし、自店で受け入れられるお客様の人数もある程度想定できるはずです。この部分についての感覚を持たないままにクーポンサイトの営業のいいなりになってクーポンを販売することは非常に危険です。

もちろん、このようなことについて、お店側にのみ責任があるとは考えておりません。クーポンサイト側には、多くの実績情報などが集まっているはずで、お店ごとに、「これ以上のクーポンは経営上危険だ」という判断を行えた可能性はあると考えております。法律上の判断は別として、道義上は懸念を覚えずにはおれません。
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費用の分析で中小企業の経営改善・経営革新に活かす

自社の費用の構成がどのようになっているか

財務諸表より財務分析を行い様々な利益率や効率性、損益分岐点といった情報を得ることができます。それを経営改善・経営革新に活かしていくためにはそれぞれの指標の結果に対して更に細かな分析を進め、なぜそのようになっているのかを理解することが大切です。結果についてその元になっている要因との因果関係を理解できれば次はどのように改善していけばよいかも理解できるでしょう。利益は収益から費用を引いたものと考えられます。利益を伸ばすには収益を伸ばすことと費用を抑える必要があります。現在の費用については、決算の情報より費用の構成を分析することで他社と比較して多くなっている費用を特定できるかもしれません。もちろん決算情報だけで全てが分かるわけではありませんが、重要な情報であることは事実です。

費用構成を見る場合は、当期の費用の中でそれぞれの費用科目が占める割合を見ることと、経年で、各費用の増減を見ると良いでしょう。他社や業界との比較で自社がどうかということも分析には必要です。
費用は事業活動で必ず必要になるものです。それぞれの費用が売上に貢献しているのであれば、それは今後も必要になるでしょう。削減すべきは収益への効果がない費用です。同じ費用の水準でもより効果のある使い方ができるようにしたいものです。そういった判断をするためにも費用の構成を深く分析することが大切になってきます。
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中小企業の経営改善・経営革新に重要な付加価値

付加価値を高めることが大切

付加価値とは、企業の生産やサービスにおいて原材料となるものに何らかの新たな加工やサービス付加を行い作り出された価値のことです。中小企業の経営改善・経営革新にとって、付加価値の向上は非常に重要です。中小企業白書の統計等においても利益率が向上している企業の特徴として高付加価値を追求している姿勢が見えてきます。単純な価格競争に陥ってしまうと他社や海外企業との競争になり、企業体力も減っていくでしょう。もともと資本力の小さな中小企業にとっては致命的になりかねません。できうる限り競争を避けるための方策が必要になり、それが差別化戦略や付加価値戦略と考えることができるでしょう。付加価値の大きさは中小企業の生産性や競争力を見る指標と考えることができます。
では付加価値とはどのように計るものでしょうか。付加価値額のような金額は決算の書類には出てきません。何らかの計算が必要になります。
中小企業新事業活動促進法では、「経営の相当程度の向上」を求めており、それを計る指標として付加価値額の伸びを計算することになっています。その際の計算方法は以下のようになっています。

 付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
 一人当たりの付加価値額 = 付加価値額 ÷ 従業員数
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固定資産で見た中小企業の安全性と経営改善・経営革新

固定資産をどのように賄うか

機械・装置や土地といった固定資産は、長期的に活用し資金を回収していく資産です。ですのでそのような固定資産は短期の借入金などで賄うものではなく、基本的に自己資本によって賄われることが理想です。しかしながら、中小企業では自己資本が過小な傾向が見られ、調達も困難である場合が多いですね。実際は借入により賄うケースも多いでしょう。借入金に依存しすぎると、中小企業の安全性に問題が出てきます。そのような状況を計る指標が固定比率と固定長期適合率です。自社の現状に即した適切な水準に財務の水準を維持することも経営改善・経営革新には重要です。

固定比率
 固定比率(%) = 固定資産 ÷ 自己資本 × 100

固定長期適合率
 固定長期適合率(%) = 固定資産 ÷ (自己資本 + 固定負債) × 100
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中小企業の流動比率分析 短期の安全性を高めて経営改善

中小企業の短期の返済能力の分析

中小企業の事業活動の中では短期的に買掛金としての負債を持ったり、運転資金として短期の借入を行ったりする場合があります。それらの流動負債は、短期での返済が必要でありますので、その返済の原資が必要となります。それが現金や売掛金といった流動資産になります。その流動資産と流動負債の比率を分析する指標として流動比率や当座比率というものがあります。そのような指標で自社を分析し経営改善・経営革新に活かしていきましょう。
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