中小企業の経営改善・経営革新に重要な付加価値

付加価値を高めることが大切

付加価値とは、企業の生産やサービスにおいて原材料となるものに何らかの新たな加工やサービス付加を行い作り出された価値のことです。中小企業の経営改善・経営革新にとって、付加価値の向上は非常に重要です。中小企業白書の統計等においても利益率が向上している企業の特徴として高付加価値を追求している姿勢が見えてきます。単純な価格競争に陥ってしまうと他社や海外企業との競争になり、企業体力も減っていくでしょう。もともと資本力の小さな中小企業にとっては致命的になりかねません。できうる限り競争を避けるための方策が必要になり、それが差別化戦略や付加価値戦略と考えることができるでしょう。付加価値の大きさは中小企業の生産性や競争力を見る指標と考えることができます。
では付加価値とはどのように計るものでしょうか。付加価値額のような金額は決算の書類には出てきません。何らかの計算が必要になります。
中小企業新事業活動促進法では、「経営の相当程度の向上」を求めており、それを計る指標として付加価値額の伸びを計算することになっています。その際の計算方法は以下のようになっています。

 付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
 一人当たりの付加価値額 = 付加価値額 ÷ 従業員数

付加価値を上げることが企業の競争力になります。付加価値額を増やすためには、新たな価値を付加して最終的な営業利益を付加するということになりますね。細かく考えると、より低価格の原材料で、より少ない営業費用で売上を伸ばすことで営業利益を増やすことができるでしょう。また適切な投資を行うことで収益を上げることも重要です。付加価値額の計算の中には減価償却費が含まれますが、これは企業の投資活動と見ることができます。もちろん投資はするだけでなく、それによって、売上が伸びるように効果的に行う必要があります。また人件費が付加価値の中に含まれますが、「人」の能力そのものが企業にとっての価値と考え、人に対する教育や能力向上につとめ、更なる売上増進の取組みを行うことも中小企業の経営改善・経営革新には重要です。
こうしてみると付加価値は、中小企業にとって「売るものそのもの」「設備・装備」「人の価値」のそれぞれについて、競争力や魅力をアップしていく活動であると考えることができ、それぞれが関連していますね。顧客に対して価値を提供するために効果的に投資を行い、人を育てる。そのような視点で経営を考えることも必要になるでしょう。

中小企業実態基本調査より計算した中小企業の業種ごとの付加価値額は以下の通りです。自社と比較し、更に付加価値を伸ばす経営を行うためにどうすればよいかを考えていきましょう。

従業員一人当たりの付加価値額(平成19年度決算の統計より)

業種 付加価値額(万円)
全業種 444
建設業 446
製造業 531
情報通信業 496
運輸業 458
卸売業 531
小売業 277
不動産業 667
飲食・宿泊業 228
サービス業 406


小売業や飲食・宿泊業については付加価値額が低くなっていますがパートの比率等が多いと考えられるため、業種間での単純な比較はできません。自社の従業員の構成の実態等ともあわせて検討していく必要があるでしょうね。
付加価値の分析したその先の経営改善・経営革新が大切です。中小企業診断士はそのような活動のお手伝いができます。気楽にご相談ください。

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