中小企業の事業継続と雇用の維持
アベノミクスによって、景気の持ち直しも感じられることが増えていますが、個人の所得が増えないと最終的な景気回復にはつながりません。
直近の雇用環境としては、
- 完全失業率が3%台に改善
- 夏の賞与が増加したことにより、給与総額は増加
- ただし所定内給与は減少傾向が続いている
- 今後の正規雇用増加策の一つとして「限定正社員」の推進が打ち出されている
といったことが挙げられます。
失業率が低下したことはまずは良いことですね。その中で企業も業績を回復してきており、賞与も増額されています。しかしながら所定内給与が増えていないため、所得改善については今後の課題になるでしょう。また全体としては給与は増えているかもしれませんが、中小企業への影響はまだ少ないため、この点も注視しないといけませんね。
中小企業経営に目を向けると、人件費の増加は経営に重くのしかかってくることは現実としてあります。しかしながら、物価も上昇していくなかで、所得が増えないという状況が続いていくことは従業員の精神をすり減らしてしまうことにもなります。何とかこれを乗り越える方法を考えないといけませんね。
単純に考えても、従業員給与の原資となるものは企業の収益であります。まずは、企業収益を伸ばす必要があるということを経営者及び従業員の間での共通認識として共有することが必要です。次に収益増加策として、「付加価値の向上」「営業の強化」の取り組みを強化し、実際に管理していく必要があります。効果が出るのは時間がかかるかもしれませんが、すぐにでも対策を進める必要があります。
気を付けないといけないのは、
- 収益改善が景気頼みになってはいけない
- コスト削減の名目で簡単に人件費に手を付けてはいけない
ということが挙げられます。
景気頼みの経営では中小企業の経営改善効果はなかなか波及してきません。世間一般の動向を超える努力の先にさらなる収益増加があるということは認識が必要です。またコスト削減については調達や運用の改善・効率化が本筋であって、人件費に簡単に手を付けるべきではありません。
人件費の最適化についても手順というものがあります。人員削減や給与削減は「経営危機」のメッセージを発信することになり間違えると非常に危険です。
いずれにしても中小企業が雇用環境を改善するには、企業収益との両輪をそろえて考える必要があります。この視点が抜けてしまうととても危険ですね。
収益構造改善の課題などご相談ください。