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有給消化率・取得率の現状と経営改善

有給取得率の現状からみる経営

オンライン旅行会社 ExpediaIncの発表した「世界22ヶ国 有給休暇・国際比較調査2012」では日本の有給休暇消化率は、世界最低の38%であるとのことです。また17%が有給支給日数が0日であるとも公表されています。

厚生労働省が発表する統計上でも有給消化率は業種によるばらつきもありますが、50%前後であり、低い水準であります。

また有給未消化の理由も1位が「経済的余裕がない」、2位が「同僚から否定的な見方をされる」と出ており、経営上の問題も見えてきます。

有給が取れる経営、人を活かす経営

有給休暇の取得率が低い業種は、建設業や、運輸、小売り、宿泊・飲食などです(他の業種も低目ではありますが)。これらの業種は、厚生労働省が発表した3年以内の離職率も高めであります。

有給が取得できないから離職率が上がるというよりかは、

有給が取得できない経営環境の下では離職率が上がる

と考えられる可能性があります。

「経済的に余裕がない」「同僚から否定的にみられる」といった経営環境・職場で長く続けるというのは非常につらいでしょう。

ここに、経営改善の種があると考えられるわけです。

「離職率」や「有給消化率」は計測可能な指標であり、これを改善することは立派な経営改善です。もちろんこれらの取り組みの中で「売上・利益が上がり」「コストが削減」できることが必要です。

 

有給消化率が低い原因を分析・改善しましょう

有給消化率が低い原因を改善していくことは経営の効率化にもつながります。

  • 仕事が俗人化して休みが取れない状態になっていないか?
  • 多すぎる社内業務のため、残業がかさみ、有給どころではない
  • スケジュール管理ができず、仕事に忙殺されている
  • 仕事の無理・ムラ・無駄により効率が相対的に低い
  • 組織の雰囲気・意識に「人」を大切にする風土がない
  • 残業している姿こそ「がんばっている」と経営者思っている

これらのことはすべて改善が可能なはずです。

これは有給消化率のだけの問題ではなく、「離職率」や「事業継続」の観点からも関連がありますし、業務効率化による「コストの低減」の取り組みの中で改善できることでもあります。

 

売上・利益の上がる事業の強みに集中できる環境で、有給休暇も取れる仕事場なら社員も働きやすいのではないでしょうか?

従業員はやめたらすぐに新しい人を入れればよいと考えている間は、経営の改善はできません。

 

当たり前のことが当たり前にできる組織に成長することが何よりの経営改善ですね。

 

正社員比率とパートの活用、人件費の抑制。中小企業の人材戦略

人件費のバランス、パート比率を戦略的に考えましょう

イトーヨーカ堂が正社員を半減してパート比率を90%にするそうです。現在のパート比率は77%程度であるのを90%程度に高めるそうで、それにより人件費も削減するそうです。

もともと大手のスーパーなどはパート比率が高いのですが、それを一歩進めた感じですね。デフレの状況が続く中、人員構成を戦略的に見直した結果なのでしょう。

中小企業にとっても、「人件費」を経営上のコストの中でも大きな割合を占めています。

もしこの人件費が売上げと利益に貢献していないなら。。。

今回のイトーヨーカ堂の場合は、パート比率を高め、人件費を抑制するとともに、パートを弾力的に活用し、店長としても抜擢する方向での人材活用を考えているようですね。上手くいくかどうかは別として、人材活用を戦略的に考え現在の組織を変えていくことは必要な取り組みです。

その場合でも、単純に人件費削減ありきでものを考えてしまっては危険です。人件費削減(もしくは人員削減)は慎重さを要します。不用意なコストカットにより

  • 優秀な人材の流出
  • 社員のモチベーションやモラルの低下
  •  違法な就業環境
  • 本業への悪影響(コスト削減以上に売り上げが減る)

という事態に陥ってしまうと本末転倒です。

 

また人材活用という面では、

  • 徹底的な人材の能力向上や、独自性、付加価値の追求をするか
  • 徹底的な標準化により低コスト化と効率化を推進するか

など基本的な考え方によりパート比率や人件費コストのありかたも考え方が変わってくるはずです。正社員比率を減らせばよいということにはなりません。

そうなると企業としての戦略や理念、ビジョンがどうなのかということも関連してくるわけです。

 

単純なコスト削減として、人件費に手を出さないことというのはとても重要な視点です。

とはいえ、現在の経営環境の中ではコスト削減の取り組みは必須です。

ですので、費用対効果を見極めた人材活用をするとともに、業務の効率化もやはり進めないといけませんね。

その他に、社会保険料の最適化手法などで総人件費を中長期的に抑制していく方法など人材活用を進めながらもコストを削減する方法はあります。

CONSULTING OFFICE 3Sでは、経営上の固定費や業務上のコスト削減など即効性のある削減方法や業務改善による「コスト削減力」を中小企業に付けていただく支援をしております。

コスト削減に聖域を設けず、取り組みを行いましょう。経営相談・お問い合わせもいつでもお受けいたしております。

製造業派遣「原則禁止」削除 | 中小企業の雇用・経営の環境

労働者派遣法改正に見る雇用環境改善の難しさ

以前から懸案となっていました、製造業派遣の是非について、「原則禁止」の記載がなくなる方向のようです。
また、登録型派遣の原則禁止についても削除される方向であり、以前から持ち上がっていた大きな改正はなくなるようです。

製造業に関わらず派遣を含めた雇用環境の問題は非常に難しい側面があります。
2011年9月分の完全失業率は改善していますが4.1%で、15~24歳では7.2%と若い人ほど高い水準にあります。
いろいろな要素を考えて改善ポイントを探っていかないといけません。
前提として社会のあるべき姿は
 ・雇用が創出される社会と中小企業を含めた企業の経営力
 ・将来に希望がある環境(社会福祉や税の公平性など)
の筋道をつけル必要があります。これは政治を含めた大きな枠組みとして改善も求められます。行政の対応部分等は外部環境であるため一企業での改善は困難な部分もありますが、このような前提に立ったうえで個々の企業は経営改善をする必要があります。
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中小起業の経営 リーダーシップ・全社一丸経営に必要な視点、組織文化、組織風土

中小企業が一丸となって経営をするためには

2011年8月29日。新しい民主党代表が野田さんに決まりました。
政権交代し、民主党政治になってからいろいろ問題が発生し、リーダーシップの欠如した現状に嫌気がさしている人もいるでしょう。
しかし、改めてトップに立った野田さんには頑張っていただきたいと思います。何はともあれ現在は野田さんが首相になるわけです。その中で日本が少しでも良くならないといけない。日本人全てが日本を良くする義務を立場が違えで負っている。そういう視点も必要です。

なぜそんなことを書くかといいますと、良く「あの人のリーダーシップがないから」とか「何も決まらない」とかそういうことは政治だけでなく、経営においても往々にあります。そして最終的に現行踏襲から抜け出せないという結果になる。あるいは、あいまいで総花的な結論や計画策定に至り、それ以降忘れ去られるというようなことになったりするわけです。あるいは、何も決まらないことが批判の種になり、組織風土組織文化が乱れるということも起こります。

こういうことがなぜ起こるのか。

私の経験上、そういうことが起こるのは、「ノット アグリー、バット コミットメント」という考えが抜け落ちているからだと思っています。少なくともそういう要因が一定の影響を与えているように思います。
ノット アグリー(同意できない)、バット コミットメント(しかし、実行・約束する)。これは、議論をしっかりと行うなかで、自分は同意できないが、しかし、決まったことについては、しっかり実行する。ということです。ある意味当たり前です。

働いていて、日々の仕事の中で全ての出来事や決まりごとが自分の同意できることばかりではないはずです。しかし、決まった以上はそれに協力する。それが義務であり、民主主義の基本であると思います。「同意できないならやらなくていい」がまかり通るのであれば、税金も払わなくていいし、買い物する際も高いと思えば、お金を払わなければいいのです。法律で決まっても、同意できなければ守らなければいいのです。このように書けばわかるはずです。そんなことは許されないと。

何もかも自分の思い通りなどということはあり得ません。自由は制限され、責任も伴います。そのような中で集団で何かを行う際には、まずじっくりと話し合い、いろいろな意見を忌憚なく出し合って、その中で一定の決断をすることになります。決断が行われたら、組織はそれに従い行動するのです。一人が従えないから協力しないという態度をとり、それが許されるのであれば、組織は遠からず崩壊するでしょう。これが日本の政治に起こっていることであって、企業においても往々に見られる光景です。私はそのように感じています。

良く「声のでかい人の意見が通る」なんていうことを言ったりします。これがまかり通っている組織においては、組織のコミュニケーション力が低下していたり、決まったことに従わない、決まったことが形骸化しているというようなことが起こっています。これが問題なのです。

ノットアグリー、バットコミットメント。これは、何かを決断した場合に、同意できる人もいれば、そうでない人もいることを前提としています。それは当たり前のことです。しかし同意できない側の人の意見が十分に聞き入れられる機会がない場合、不満は鬱積して、行動に表れてしまいます。それが、組織行動にとっての阻害要因になる場合があるのです。また不満を強権的な思考や権力によって抑え込むような行為もコミュニケーションの阻害要因になります。ワンマンには魅力もありますが、当然ながら弊害もあります。弊害に対する取り組みを怠れば、長期的には悪い芽が育ち始めます。

逆に、同意できないから従わなくても良い。これは許されないことです。意見も不満も反対意見も歓迎されますが、決定事項を無視することは良いことではないという意識付けは大切な取り組みです。
(当然のことながら、コンプライアンスに反する行為について同意せず、協力しないという行動は例外です。組織が一丸となってコンプライアンス違反をするなどということがあれば、その企業は崩壊するでしょう。上記の議論は当然のことながら、コンプライアンスの範囲内でのことです。)

中小企業・零細企業の経営の現場で以下のようなことができているかチェックしてみてください。
・企業では、何かの変化を起こす取り組みや、意思決定が行われているか。
・その際、従業員や関係者に周知徹底して議論をする場が設けられ得ているか。
・何らかの意思決定をする際に、議論に参加する人しない人が極端に分かれていないか。
・決まったことは全社員で一丸となり行動できているか。
・その取り組みの中で問題が発生した場合も忌憚なく議論ができる風土があるか。
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