労働者派遣法改正に見る雇用環境改善の難しさ
以前から懸案となっていました、製造業派遣の是非について、「原則禁止」の記載がなくなる方向のようです。
また、登録型派遣の原則禁止についても削除される方向であり、以前から持ち上がっていた大きな改正はなくなるようです。
製造業に関わらず派遣を含めた雇用環境の問題は非常に難しい側面があります。
2011年9月分の完全失業率は改善していますが4.1%で、15~24歳では7.2%と若い人ほど高い水準にあります。
いろいろな要素を考えて改善ポイントを探っていかないといけません。
前提として社会のあるべき姿は
・雇用が創出される社会と中小企業を含めた企業の経営力
・将来に希望がある環境(社会福祉や税の公平性など)
の筋道をつけル必要があります。これは政治を含めた大きな枠組みとして改善も求められます。行政の対応部分等は外部環境であるため一企業での改善は困難な部分もありますが、このような前提に立ったうえで個々の企業は経営改善をする必要があります。
中小企業や零細企業においても雇用は非常に重要です。
1.長期的に社員を育てられる教育体制
2.法令遵守と就業規則・人事制度の整備
3.熟年労働者のスキル継承
4.戦力になる重要な人材の確保
等、様々な取り組み事項があります。それぞれ大げさに見える部分もあるかもしれませんが、工夫次第で、低コストで取り組みを始められます。そして人を育てることは長期的にみると、企業の競争力や収益力の源泉になりえます。
社内的には、教育体制や人の能力を活かす仕組み造り。経営戦略と人材戦略の整合性を取るなど、如何に自社の目標を達成するために人の力を活かしていくかという取り組みが求められます。
そして、法令順守や社員の適正な評価、就業環境を整えること。
高齢者のスキル継承と日本人の持つ大切な技能の向上。
継続的な教育や経営努力による業績達成により自社の経営力と魅力を作り出し、戦力となる人材の確保をするというストーリーが描くことが必要です。どのようなストーリーかは会社によって異なる部分ですが、長期的に見て、経営者や労働者にとって魅力ある事業を作り上げる一つの手段であると思います。
あるべき形の上に、障害となる部分が法により規制なり決まりをつくるなりされるのが筋であると感じます。
景気が悪化した際に失業率が上がるのはある意味当然です。空前の不景気の前に、派遣という事業を攻め立てても仕方がないと感じています。極端な状況(空前の不況)の現象面だけをとらえて、極端な規制をかけても労働者にとっても経営者にとっても良いことではありません。特に中小企業の経営者は自身の多くの資産もなげうって経営をしています。倒産=自身の破産の可能性も高いのです。法のガチガチの規制により雇用の流動性がなくなればなくなるほど、小さな企業にとっては負担が大きくなり、雇用を抑制させるという逆効果が出る可能性もあります。また雇用の流動性を良しとしない「極端」な規制は新たな仕事に就くことや新たな環境で働くというチャンスも小さくしてしまう可能性があります。中長期的に見て労働者にとっても良い環境ではないと感じます。
法による保護は必要です。しかしながら、それ以前の問題として、日本の中小企業をはじめとした企業の経営力向上が最も重要です。雇用環境、企業業績、起業意欲、そして税収面などから見ても多くの企業が元気になる事が問題の中長期的な解決につながるはずです。
そのうえで、中小企業の経営力向上の一つの視点として「人」の視点は外せません。
バランススコアカード(BSC)的な見方をしても学習と成長の視点という形で人の視点が出てきます。そして、自社の「顧客」の視点という形でも「人」の視点が出てきます。起業を取り巻く「人」に対する改善を継続的に行うことで経営力の向上を図れます。
逆に、空前の不況の際に、断腸の思いで雇用整理を行わなければいけない事もあるかもしれません。
そのような状況においても現段階で、しっかりした就業規則を作ることや社員との対話を活性化させるなどの方策をとることで少しでも痛みを減少させることができるでしょう。
「人」を視点にした経営力向上。中小企業・零細企業の経営改善のきっかけにしてみませんか?経営相談はいつでも承ります。