カテゴリー別アーカイブ: 経営

中小企業の経営、戦略、計画に関する話題をまとめます。

さらに進む人口減少の外部環境

外部環境は常に変化するということを意識する

総務省の発表で、65歳以上の人口が3000万人を超え、人口は28万人ほど減少したそうです。日本の人口のおおよそ1/4は65歳以上ということになり、超高齢化社会の構造にどんどん突き進んでいることがわかりますね。

人口構造の変化というのは会社やお店のけいえいにとっては「外部環境」であります。経営者が努力しても変化を起こすことが困難な要素でありますので、このような変化は起こるものとして対応していくことが何より求められます。

身近なところでは、会社やお店の近くの人口構造も変わるはずです。最初は若者が多かった場所も人口の新陳代謝が少なければゆくゆくは高齢者が多くなるはずです。このような変化に対応できなければ経営が苦しくなる可能性もあるわけです。

お店で考えると、最初は「若者」をターゲットとして開業したとしても環境の変化によっては、そのターゲットに変更を加えないといけない状況になるかもしれません。それはもしかしたら、「若者」の中でも特に一部の層に特化したものとなるかもしれませんし、年齢層を上げた新たなターゲット向けの商品やサービスを展開することかもしれません。いずれにしても変化に対応することが重要です。

高齢化社会というキーワードに目を向けても同様です。

これから確実に高齢者は増えていきます。この社会構造をチャンスと見ることもできるでしょう。しかしながら、「高齢者は比較的資産を多く持っているので、金持ちの高齢者向けのサービス」を考えたとしても、将来にわたってそれが通用するかはわかりません。

現在は高齢者は比較的豊かかもしれませんが、格差が広がった現在の若者が高齢者になった時はどうでしょうか?それは20年ほどの未来にやってくる変化です。事業継続を考えた場合、20年後の変化は当然対応すべき対象となります。

 

社会的に見ても外部環境は常に変わります。ターゲットや戦略の基本的な考え方を固定化するのではなく柔軟に変化を起こせるようにすることが必要です。そのうえで、残すべき価値観は変えないというメリハリが中小企業や店舗での経営改善には重要です。

 

 

 

自社の経営の好循環を生み出すこと

中小企業経営の好循環をつくりだすことを考えよう

アベノミクス効果により円高修正、株高となり、賃上げ回答も相次ぐことで、景気回復の期待が膨らんでいます。輸入商品や電力料金の値上げなど懸念もありますが、全体として景気の明るい側面に「期待」する雰囲気が出てきていますね。

株価回復 → 企業業績回復期待 → 賃上げで所得増 → 消費の増加 → 業績のさらなる回復 → 株価上昇 → ・・・・

という循環により、緩やかにインフレに向かっていくという流れができることが期待されているわけです。これは一時的な対策とは違い、好循環の中での自律的な回復であり非常に好ましい物であります。

しかし、中小企業の経営でこの景気回復の恩恵を実感できるようになることも重要であり、まだまだ、そこまでの実感はわかない経営者様も多いかもしれませんね。

マクロ的なお話は別としても経営を良くするというのは、上記したような好循環をいかに生み出していくのかということがテーマになる取り組みであります。

 

さて、皆様の会社にとっての好循環とはどのような状態でしょうか?

そこを考える必要がありますね。

好循環を生み出すためには、

  • 前向きな取り組み
  • その取り組みによって生じた結果のフィードバック
  • フィードバックをもとに次の取り組み
  • さらにフィードバックを得て・・・・・
  • 最終的に最初の前向きな取り組みの継続に戻る

といった状態を作る必要があります。

つまり、前向きな取り組みとそのフィードバックの連鎖の中で循環するポイントを見定めてその取り組みを経営に組み込んでいくことが求められるわけです。

例えば、

  • 経営ビジョン・目標を定義する
  • その計画をもとに、アクションプランを立て、実行する
  • 実行結果を見直し改善する
  • そして、新たな目標を定義する

という形で新たな目標定義に立ち戻り、循環をしていくわけです。

もちろんここでは、従業員の視点も取り入れ、

  • 経営ビジョン・目標を定義する
  • その計画をもとに、アクションプランを立て、実行する
  • 実行結果を見直し改善する
  • 成果を従業員に配分する
  • そして、新たな目標を定義する
    従業員はさらなる飛躍をめざし意欲的に目標を決定する

という循環を生み出していきます。経営は人が行うことですので、将来に向けたモチベーションを循環の中に組み込むことは重要です。

これは所得増加期待からくる、現在の景気回復期待に近いものがあります。

「頑張れば、所得が増える」という期待を胸に頑張れる環境があるのか?

頑張る目標が定められているのか?

その結果をもとに、次のステップに移る取り組みを行っているか?

このようなことはチェックポイントになりますね。

 

毎年、経営目標が単発で決められており、連続性がない

業績に対するフィードバックや配分がない

将来の自分の飛躍に対する期待感が小さい

 

といった状態があると、循環は生まれにくくなります。

 

経営戦略は一つのストーリーを作る取り組みともいえます。良い循環をつくりだすその仮説を記したストーリーです。

 

そのような視点で、自社の取り組みを見直してみましょう。

 

 

電力料金値上げの収益構造への影響

関西、九州でも電力値上げ。中小企業経営への影響は?

関西電力や九州電力の家庭用電気料金値上げの幅が決まりそうです。

関電で約9.7%、九電は約6.2%の値上げになるそうです。これは認可の必要な家庭向けの値上げ幅で、企業向けに関しては、関電で約17.2%、九電で約11.9%くらいの値上げになるようです。

この値上げ幅にはかなりのインパクトがあると感じられる中小企業経営者様も多いと思います。

今後の経営計画や戦略策定の際にも、この値上げにおける収益構造への影響を加味したうえで、経営改善を考えていく必要があります。

 

電気料金値上げが自社の収益構造にどれだけ影響がありますか?

電気料金が会社の全費用に占める割合というのは業種業態により異なりますが、全体としては、大きなものではありません。しかしながら、その電気料金が17%上がるとすると利益率にわずかなりとも影響が出てくることになります。利益獲得の難しさを知る経営者様でしたら、そのインパクトはご理解いただけるでしょう。

例えば、下記のような収益構造を考えてみます。

電気料金値上げ前

科目 構成比
売上高 100%
原価 75%
販売管理費 23%
 内(電気料金) 1%
営業利益 2%


この状態で、電気料金が約17%上がった場合にどうなるかというと、

電気料金値上げ後

科目 構成比
売上高 100.00%
原価 75.00%
販売管理費 23.17%
 内(電気料金) 1.17%
営業利益 1.83%


となります。
上記の例では、電気料金の割合が1%としておりますので、このようになりますが、この場合電気料金が17%上がれば、利益を0.17%押し下げてしまいます。

 

中小企業の多くが利益率でいうと、2%やそれ以下というところが多いわけでして、そのような中で、0.17%利益が下がるとすれば、非常に大きなインパクトがあるといえます。
上記の例では0.17と表現すると小さく感じるかもしれませんが、利益が8~9%減少するというとその影響がとても大きいことが実感できることと思います。

収益構造の改善に取り組む

中小企業が今後経営改善を考える場合、現在と近い将来の収益構造を理解したうえで、どのように対策を行うのかを考える必要があります。

電気料金に関しては、簡単に調達先を変えることはできません。値上げがある場合は、調達価格については基本的に変えることができません。

ですので、コスト削減の視点に立つと、「利用方法の最適化」や「そのほかのコストの削減」方法の検討が必要になってきます。そして、さらには収益向上の手段を戦略に織り込んでいくことが必要になるのです。電気料金がコストに占める割合が0.17%上昇した場合、変動費が50%であるとすると、0.35%程度の売り上げ向上を少なくとも織り込まないとコストをカバーできません。もちろん売上げ上昇の目標はもっと大きく持つべきではありますが、一つの費用負担が増えるだけで、これだけの影響が出るわけです。

 

逆にいうと、コスト削減を徹底すること。営業強化策を徹底することで利益率改善・経営改善のきっかけはたくさんあると言えるわけです。

 

経営環境は常に変化します。その変化の中から自社の前向きな経営改善を行う計画や戦略を考えて見ましょう。

当事務所でも経営改善支援を行っておりますので、いつでもご相談くださいね。

 

中小企業にも賃上げの雰囲気が出てきた?

賃金引上げの意欲を持てる経営を目指そう

財務省の発表する法人企業景気予測調査というのがあるのですが、その最新の調査(2013年1~3月期)で中小企業の利益配分先について、「従業員への還元」「新規雇用の拡大」といった項目の割合が増えているという結果が出てきています。

円安・株高といった状況で景気回復への期待感が高まる中、中小企業の経営に少し明るい兆しが出ているのかもしれません。

新規雇用や従業員給与の上昇ができるというのはそれに見合う受注が増えてきつつあるということでもありますし、裏付けとなる売上が獲得できる見込みが出てきているということでもあります。

 

当然のことですが、従業員給与も新規雇用も会社にとって費用負担が発生するものであります。賃上げには、それの裏付けとなる原資としての「利益増加」が必ず必要になります。

従業員のモチベーション面からもそのような傾向や意欲が出てきているのは非常に素晴らしいことだと思います。

 

中小企業の経営改善・経営力向上という観点から見ますと、景気といった外部環境の変動にかかわらず、従業員の給与や、会社の利益を獲得するための戦略や経営計画の策定とその管理が求められます。

外部環境に左右される要素意外に、自社でコントロールする範囲を少しでも広げていくことが経営力につながるのです。

売上が上がらないとき、「景気が悪いから業績が上がらない」と思ったりしていませんか?外部環境の悪化を業績悪化のせいにしていると不況であるという経営者の心にある考えにとりつかれてしまいます。

景気が悪くても利益を絶対に出す。景気拡大期にはさらなる飛躍を目指す戦略を策定するといった形で、常に経営を強くする戦略とその計画へ落とし込める組織力を付けることが求められています。

 

統計上は従業員給与の増加意欲が出てきているという結果になりましたが、自社の状況を振り返ってみていかがでしょうか?

利益の獲得というものは適切な戦略策定で可能性をつくりだせるものです。

業種や業態にもよりますが、日本全体としては、少し明るい兆しが出ています。この機会に自社の経営改善について改めて見直してみましょう。

当事務所でも貴社の経営改善を支援いたします。

 

 

見えないものは改善できない

認識することが経営改善には重要

日本オリンピック委員会(JOC)のアンケートで、約1割の選手が暴力行為を含むパワハラ・セクハラを受けたことがあると答えたそうです。

最近よくニュースになっているので気になっていた人もいるかもしれませんね。

翻って、少し前の記事では、31の各競技団体に聞き取り調査した時は、「暴力はない」と回答されていたようです。

何か食い違っていますね。31団体というのはJOC加盟の全団体ではないと思いますので、暴力を受けたのは、聞き取りが行われた31団体以外の団体の人なのか?ということが気になってしまいます。

当ブログは中小企業・零細企業の経営改善をテーマにしていますので、協議における暴力の有無や是非についての議論はしませんが、この事例でも大切な教訓が潜んでいると感じています。

 

改善というのは問題を認識することから始まります。

「あ、これは問題だ」とにんしきできるから、それをどのようにすれば解決するのかということを考えることができるのです。

自身の保身などのために、「暴力はない」と報告した団体は自分自身で組織を改善できるでしょうか?

同様に中小企業の経営においても問題に目を向けるということがきわめて重要になります。

 

問題とは経営者様にとって嫌な情報であることが多いでしょう。

本当は「見たくない」と感じているのです。

見たくないという意識で、現実を「否認」すれば課題を認識することができなくなってしまいます。その時点でその問題は解決不可能になります。認識していないのであるから当然ですね。

 

問題をみたくないのであれば、逆説的に考えてしっかり問題を認識し、それを解決し、問題が今後発生しないように改善する方が良いのです。問題を無視するか、解決して問題を本当の意味でなくしてしまうのかの違いです。

 

組織においては、問題を認識することで、自分の地位や権利が危うくなる場合があります。そのための保身の策として問題先送りや否認が起こるわけですが、もしそのような事があるのであれば、それ自体が「大問題」であると認識したほうが良いでしょう。

 

頭では分かっていてもいざそれを実行しようとするといかがでしょうか?

難しいかもしれませんね。

 

でも「問題」や「課題」といった情報は中小企業・零細企業の経営改善にとって「宝の山」です。改善のチャンスがそれだけあるわけですから。課題を解決できればまわりまわって、最終的な財務の改善にもつながる可能性があります。問題を悪ととらえるのではなく、あるべき姿からの「距離」であると理解すれば、問題を認識することに価値を見出せるようになるでしょう。人のせいにすることなく改善情報としてとらえることで、前向きなサイクルをつくりだすことができます。

 

問題は見えなければ・見ようとしなければ認識されず解決もされません。

目をそむけず問題を探し回るくらいの意識を持ってみましょう。

自社の経営改善の「3本の矢」を考えて見ましょう

中小企業の経営改善は複数の視点で進める

アベノミクスなどという言葉が最近のはやりで、今年の流行語大賞になるのではないか、と感じたりもしますが、最近の円安・株高傾向には目を見張るものがあります。

とはいえ、中小企業の景況改善にはまだまだ時間がかかるわけで、実体経済への良い影響が早く出てほしいと願うところです。

 

アベノミクスでは、基本方針として「3本の矢」ということが掲げられています。「金融緩和」「財政政策」「成長戦略」を推進する中で、デフレ脱却を目指していくということになるわけです。

 

考え方として、デフレ脱却だからといって、金融緩和だけしていても日本の経済は良くならず、金融・財政・民間での取り組みが効果的に組み合わさって初めて成長にかじを切れるということでしょう。

3本が良いかという議論は別として、中小企業の経営改善・経営力向上を考える際にこのような複数の視点での取り組みを推進していくというのは重要な考え方であると感じます。

売り上げや利益を改善するために一つの取り組みだけを行っていても短期的に効果がでることはあってもなかなか継続しないということもあるでしょう。

大切なことは、良いサイクルを創るということです。

 

例えば、

・コスト削減を行い収益構造を改善し、財務的な余力を創る

・削減コストをベースに営業強化を図り、損益分岐点を一気に突き抜ける

・獲得した利益を還元、再投資し、成長戦略を実現する

と、少し大きな話ではありますが、売り上げを伸ばしたいということを考えても上記のような複数の取り組みや視点での戦略を考えることができるわけです。

 

経営の諸要素(商品・サービス、顧客、従業員、業務プロセス)といったものは有機的に関連しています。どれか一つだけ取り上げて、いきなり変化を起こそうにも他の要素との関連で簡単に変化を起こせない場合があります。自社の現状を理解したうえで、重点的な視点や指標を明確化し、それに対するアクションを定義するという考え方は非常に重要です。

 

そのような考え方の中で「自社の3本の矢」を考えてみるというのは非常に面白い取り組みであると思います。

 

・売上を向上させるための自社の3本の矢は?

・資金繰りを安定させるための3本の矢は?

 

いろいろな取り組みが考えられますね。

 

経営改善の3本の矢、見つけてみませんか?

中小企業が経営力・収益力による信用を付けるには

経営者の連帯保証が緩和された場合、何で信用をつくるか

中小企業・零細企業が借入する際には、経営者自身が連帯保証人になる場合が多々あります。その連帯保証について、経営者個人の全財産が没収されるような事を防ぐルール作りが進められるそうです。

 

個人的にはこのこと自体は賛成と考えています。

本来株式会社などは法人格が与えられており、出資の範囲での有限責任が原則です。その原則をはるかに超える責任が個人に課せられる可能性を考えた場合、起業や事業承継に躊躇するケースは多々あるでしょう。

 

もちろん単に有限責任を文字通りの意味で優先するという意味ではありません。事業を継続する以上、モラルも求められますし、借りた金は返すのが大前提であります。何らかの形で「保障」や「信用」ができないのであれば、お金が借りられないというのもまた現実だと思います。

 

多くの場合、「保障」を完全に行うことは困難です。事業には成功もあれば失敗もあります。ですので、「信用」をいかに醸成していくかが課題となると考えております。

 

中小企業・零細企業が、経営における信用を得るためにはどうすればよいか。

当然それは、

  • 収益力をつけ、会社の収益構造を改善する
  • 中長期的に会社の利益を確保できる経営力を付けそれを証明できる
  • 毎期適切なキャッシュフローを得て、借りた金はしっかり返す

など当然と言えば当然の取り組みが求められます。

しかし考えて見ると、金融円滑化法が有効であったここ数年で、多くの企業がリスケを申請したのですが、実際は経営改善計画もしっかりと作れず再生できていない企業も多いわけです。このような状況で、個人保証のルールを緩めるということだけしてしまうと、貸し手に一方的に不利になってしまいかねません。その結果として、「貸し渋り」の傾向が出てきてしまうと本末転倒です。

 

中小企業・零細企業も一つの会社であれば、貸し手である銀行も一つの会社であり、お互いの信用の中で、発展していくのが理想であり、原則と考えます。

 

個人保証のルールを見直し、経営者の再起できる可能性を残すことは大切な考え方です。それとともに、個人保証がなくてもしっかりと資金調達できるようになるためにはどういう経営をすればいいのかという根本に立ち返って経営改善をすることも同時に求められると考えます。

 

そのように考えると、中小企業・零細企業においても

中長期的な経営計画、経営戦略の策定

計画を実現する行動計画策定とその管理

継続的な経営改善

といったことが求められてきます。

 

是非とも基本に戻って改善の一歩を踏み出していただきたいと願います。

見ること・見られることの意義

アメリカの大手企業で、社員の行動をセンサーでモニターして経営改善に活かしているという事例があります。生産性の高いスタッフは結束が強いチームに属しており、同僚と頻繁に会話しているらしいのです。

なかなか興味深い取り組みですね。

この事例では、

  • 会社が細かな点まで社員の動きを見ている(やり方についての是非は別として)
  • コミュニケーションの高さが生産性の改善に寄与する

ということが挙げられます。

前者は会社が社員の動きに注目し、それを経営改善に活用しているという点で重要です。その結果として、コミュニケーション機会が増え生産性が上がる結果が出ているわけで、自社の生産性向上の一つの視点になりそうですね。

 

気を付けるべきポイントとして、

  • 社員の束縛や監視ではない
    モニタリング情報を社員の叱責に使えば逆効果になる
  • 見ることが目的ではなく、その先に何らかの改善を行うことが重要

といった点があります。

前者は、当然のことであり、社員の監視になってしまえば、委縮したり不満につながります。また叱責材料に活用されてしまえば余計に不満が募ります。問題の解決は必要ですが、社員の信頼を否定するレベルの監視は逆効果です。

後者は、モニタリングそのものが目的ではないことは当然のことです。生産性向上のための改善点を探し、情報を活かすことが大切です。その取り組みを行っていれば、前者で指摘した「監視」という印象は自然となくなっていくでしょう。

 

やり方の是非は別として、これも見える化の一つのやり方かもしれません。仮説をもって、その取り組みを見えるようにして、改善を繰り返すということがとても大切であり、中小企業の経営でも非常に重要です。

見られる社員側にとっても、

  • 自分の行動や結果をみられていること
    そして、そのことが前向きな形で最終的にフィードバックされ、改善に活かされること

が実現できれば、モチベーションにもマイナスの影響はないでしょう。

適度な緊張感を持つことができる可能性もありますね。

 

経営改善のやり方として、私も「見える化」を重視しております。これは中小零細企業の経営改善でも十分にできる内容であり、とても大切な要素が詰まっています。

 

いろいろな事例を参考にしつつ、自社に活かせる部分がないか考えて見ましょう。

経営改善のための相談も気軽にしてくださいね。

税制の変化と経営改善

新しい税制への変化

新政権になり、円安・株高傾向になっておりますね。その中で、来年度には消費増税も控えています。税関係の話題も何かと増えているので、注視が必要であります。例えば、給与増加により法人減税を行うような制度は、経営・雇用の両面で効果が出る可能性があります。しかし、そのような減税の恩恵を受けられるように経営を改善するということが何より大切になってきます。

中小企業にかかわる税制改正は?

いくつか出てきている税制改正に関する情報としては、

  • 給与の支払総額の増加分に見合う一定割合を法人税額から差し引く案
  • 設備投資の増加分について前倒し償却や税額控除
  • 研究開発費の一部を差し引く減税の拡大
  • 交際費の損金算入引上げ
  • 祖父母から孫への教育資金を非課税に

といった案が出てきています。

給与などは最近の非正規雇用の増大傾向などからも減少が続いていますが、給与増へのモチベーションが上がる可能性もあり、期待できますね。

投資に対する減税や研究開発費に対する減税は自社の強みの強化に活かせますし、交際費も営業活動の一環として重要な位置づけでしょう。

もし、実現した際にはうまく活用したいですね。

 

中小企業が減税策の恩恵を享受するために

これらの減税策は、単に減らすということではなく、当然ながら、それぞれに条件があります。給与を増額するにしても投資をするにしても資金を使う必要があり、減税は、支出した金額以下の金額しか行われないのは当然です。つまり、会社のキャッシュは減税分を差し引いても減ることになります。当たり前と言えば当たり前ですが、このような減税の恩恵を受けるためには、

  • 将来のあるべき姿の定義とそれを実現する戦略
  • 戦略的な投資
  • 成果を還元する

という経営上の「良いサイクル」を生み出す必要があります。つまり経営力です。

赤字続きの企業にとって、これらの施策は無縁のものです。そのままではいけませんね。

ビジョンを定義し、それを実現するために行動し、還元する。このサイクルをいかに作るのか?そして、そのサイクルを作るために今何が課題なのかを明確にできるでしょうか?

 

経営戦略や経営課題を「見える」ようにし、改善行動を実現することが重要です。

当事務所でも小さな会社の戦略・経営の「見える化」を支援していますので、気軽に経営相談くださいね。

無料小冊子も是非ご活用ください

 

ITシステム開発の難しさ - 中小企業・開発ベンダーの視点での課題

ITベンダーから見た、システム開発プロジェクトの留意点は?

前回「ITシステム開発の難しさ - 中小企業・利用者側の視点での課題」で、顧客側が、ITシステムを導入する場合に留意しておいた方がよい事項をいくつか述べました。

しかしながら、ITのプロジェクトは、利用者と提供者であるITベンダーとの協働のなかで成功に導いていくものであります。そして、提供者としてのIT会社の責任は極めて重いものがあります。

特許庁のITシステムのプロジェクトの失敗のようなことが繰り返されないための営業とプロジェクト管理が求められますね。

 

IT企業がシステム開発にて留意すべき点は、たくさんありますが、

  • 納期、金額などが妥当であるか
  • 業務知識、スキル、技術など顧客要望に応える体制が取れるか
  • 顧客要件を明確にできているか
  • プロジェクト範囲の明確化と、変更時のルールの取り決めができるか
  • 顧客と協力してプロジェクトを推進できる関係が作れているか

などなど挙げだすときりがないですね。

まずは、そもそものの納期や金額などに無理がないかどうか。受注を取ることが優先され、無茶な条件でも受けてしまうという状況が発生するとプロジェクトの失敗の確率は極めて高くなります。顧客に迷惑をかけるばかりでなく自社の経営にも打撃を与える行為であり、本来は避けるべきであります。が、往々にして、無理に取りに行くということが行われているでしょう。

無理な条件を可能な条件にするためには、自社のスキルのアップや低コストでの開発体制の構築などを行った上で、利益をしっかり確保できる力を付けたうえで、提案できるようになりたいところです。このようなプロジェクト管理能力は、会社の強みそのものになってきますので、ぜひとも目を向けたいところです。

業務知識、スキル、体制などすべてプロジェクト遂行能力にかかわってきます。結局自社の能力以上のプロジェクトは失敗してしまいます。目先の売上の怖さがシステム関連のプロジェクトには存在しています。

無理な状況のまま受注を取ってしまうより、しっかりした提案で代替案を提示したうえで、できる提案を行うというのであれば問題ないですね。これも経営力の一つです。

 

改めて顧客側から見ると、納期や予算の水準が非現実的なものになっていないかどうかは検証が必要です。そのあたりがしっかり管理できていないと「目先の売上」に目がくらんだ企業に契約が取られてしまうかもしれません。それでは後に高い代償を支払うことになりかねませんね。

 

システム開発には特有の難しさがあります。

失敗の可能性やリスクを認識しつつ対応できるようにする考え方が大切です。

 

提供される側もする側も経営力が試されます。

経営力、組織力、プロジェクト管理など、お悩みはいつでも経営相談指定くださいね。