電力料金値上げの収益構造への影響

関西、九州でも電力値上げ。中小企業経営への影響は?

関西電力や九州電力の家庭用電気料金値上げの幅が決まりそうです。

関電で約9.7%、九電は約6.2%の値上げになるそうです。これは認可の必要な家庭向けの値上げ幅で、企業向けに関しては、関電で約17.2%、九電で約11.9%くらいの値上げになるようです。

この値上げ幅にはかなりのインパクトがあると感じられる中小企業経営者様も多いと思います。

今後の経営計画や戦略策定の際にも、この値上げにおける収益構造への影響を加味したうえで、経営改善を考えていく必要があります。

 

電気料金値上げが自社の収益構造にどれだけ影響がありますか?

電気料金が会社の全費用に占める割合というのは業種業態により異なりますが、全体としては、大きなものではありません。しかしながら、その電気料金が17%上がるとすると利益率にわずかなりとも影響が出てくることになります。利益獲得の難しさを知る経営者様でしたら、そのインパクトはご理解いただけるでしょう。

例えば、下記のような収益構造を考えてみます。

電気料金値上げ前

科目 構成比
売上高 100%
原価 75%
販売管理費 23%
 内(電気料金) 1%
営業利益 2%


この状態で、電気料金が約17%上がった場合にどうなるかというと、

電気料金値上げ後

科目 構成比
売上高 100.00%
原価 75.00%
販売管理費 23.17%
 内(電気料金) 1.17%
営業利益 1.83%


となります。
上記の例では、電気料金の割合が1%としておりますので、このようになりますが、この場合電気料金が17%上がれば、利益を0.17%押し下げてしまいます。

 

中小企業の多くが利益率でいうと、2%やそれ以下というところが多いわけでして、そのような中で、0.17%利益が下がるとすれば、非常に大きなインパクトがあるといえます。
上記の例では0.17と表現すると小さく感じるかもしれませんが、利益が8~9%減少するというとその影響がとても大きいことが実感できることと思います。

収益構造の改善に取り組む

中小企業が今後経営改善を考える場合、現在と近い将来の収益構造を理解したうえで、どのように対策を行うのかを考える必要があります。

電気料金に関しては、簡単に調達先を変えることはできません。値上げがある場合は、調達価格については基本的に変えることができません。

ですので、コスト削減の視点に立つと、「利用方法の最適化」や「そのほかのコストの削減」方法の検討が必要になってきます。そして、さらには収益向上の手段を戦略に織り込んでいくことが必要になるのです。電気料金がコストに占める割合が0.17%上昇した場合、変動費が50%であるとすると、0.35%程度の売り上げ向上を少なくとも織り込まないとコストをカバーできません。もちろん売上げ上昇の目標はもっと大きく持つべきではありますが、一つの費用負担が増えるだけで、これだけの影響が出るわけです。

 

逆にいうと、コスト削減を徹底すること。営業強化策を徹底することで利益率改善・経営改善のきっかけはたくさんあると言えるわけです。

 

経営環境は常に変化します。その変化の中から自社の前向きな経営改善を行う計画や戦略を考えて見ましょう。

当事務所でも経営改善支援を行っておりますので、いつでもご相談くださいね。

 

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