値下げの是非・判断

中小企業の値下げの戦略

集客をしたい。そう考えた場合に一番わかりやすい方法が「値下げ」ですね。

私は値下げを単純に行うことには注意を要すると思っています。それは、値下げの効果と目標をしっかり設定せずに、単に目の前の状況に対してもっと集客したいという考えだけで値下げを考えている場合が多いからです。

値下げをしたら、当然利益は圧縮されます。圧縮された利益率以上の集客ができなければ利益率は確実に下がります。

値下げを行う際には、

  • 値下げを行うことで集客が増える
  • 値下げを行い、逆に客単価を上げられる
  • 値下げ以上に原価を低減できる

という条件を満たす必要があります。条件は一つもしくは組み合わせて効果が出ていく必要があるということです。

 

吉野家の牛丼が280円に。効果は?

吉野家が長らく380円だった牛丼並盛を280円に値下げすると発表しました。280円というのは他社並みですが、考えて見るとものすごく安いですね。私も食べに行こうと思いますが、380→280円では、27%程度の値下げです。利益は大丈夫でしょうか?

米国産の牛肉の輸入が緩和されますので、原価率は少し改善すると思います。

しかし、これだけで、原価が大幅に改善するかと言えばそうではないと予想しています。

では、他に仕掛けを作らないと収益が悪化することは目に見えています。どう考えるでしょうか?

吉野家のケースでは、280円になることで集客増はほぼ確実に見込めますし、原価もある程度低減できるめどが立っていますね。

その他にもいくつかの点で、収益をアップさせる要素を持っているので、収益全体の底上げの可能性は十分にあります。効果のほどは現段階では分かりませんが、やりようによってはプラスになるでしょうね。

もちろん懸念もあります。

集客が値下げ率ほどにできないリスクも当然ありますし、現在進行中の円安の影響で原材料の原価も上がるかもしれません。そして電気料金アップなどの店舗運営コスト向上の懸念もあります。

 

中小の小売店などでも同様に値下げをする場合には、単純に集客するだけでなく、どこで儲けるのかという戦略が必要です。多くの会社やお店ではその視点が抜けています。

 

戦略的な視点を持ちましょう。これは経営的に大切な視点です。

 

戦略や経営改善のご相談も是非してくださいね。

マクドナルドの経営状況と中小企業・小さなお店の経営

外食産業の苦戦と経営改善

マクドナルドの売上・利益が減少傾向で苦戦が続いているというニュースを最近はたびたび見るように思います。既存店売り上げも対前年比で減少状態が続いているようです。

財務的にはかなり安定している企業ではありますが、営業に力がなくなってきている印象が出てきている感はいなめませんね。

 

マクドナルド不振の理由としてよく指摘されているのが「客単価の減少」です。社長もそのことは認識しており、客単価向上策をあれこれ考えてはいるようですが、顧客数が増えていても安いメニューばかり売れる状態が続いているようです。

客単価の減少は飲食店や小売店にとっては非常に大きな課題になります。

価格を下げる場合は、顧客数の増加と原価の低減による効果が値下げ以上に発揮されなければ減収・減益になってしまいます。

集客のための値下げをする場合は、本当に買っていただきたい商品というものが別に存在していないと客単価が下がります。小さなお店の販促を考える場合もその視点が欠かせません。

 

マクドナルドで考えて見ると、ここ最近は客数は増えているにも関わらず単価が下がっているということで、低価格メニューばかりが売れていることが見て取れます。逆にいうと、高価格のメニューを購入する「理由」がお客様にとっては少なくなっているという風な見方もできますね。

 

以前は、低価格メニューとともに、話題性のある商品を投入して客単価を上げるというパターンで収益が上がっていましたが、最近はその「話題性」も少なくなっているように見受けられます。それどころか、店舗カウンターでメニューをなくしたり、60秒サービスを始めるなど、顧客のメリット面でそれほどのインパクトがない施策が続いていたように感じます。

 

中小企業や小さなお店を経営している場合も、このような視点は重要です。

何で集客し、何で利益を取るか。お客様の満足がその結果として増加するか。

そういった視点で仮説を立てて戦略に落とし込むことが欠かせません。値下げも決して悪いものではありません。ただ、値下げをしたら売り上げが伸びると単純に考えているのであれば、それはとても危険です。

 

 

自社の経営の好循環を生み出すこと

中小企業経営の好循環をつくりだすことを考えよう

アベノミクス効果により円高修正、株高となり、賃上げ回答も相次ぐことで、景気回復の期待が膨らんでいます。輸入商品や電力料金の値上げなど懸念もありますが、全体として景気の明るい側面に「期待」する雰囲気が出てきていますね。

株価回復 → 企業業績回復期待 → 賃上げで所得増 → 消費の増加 → 業績のさらなる回復 → 株価上昇 → ・・・・

という循環により、緩やかにインフレに向かっていくという流れができることが期待されているわけです。これは一時的な対策とは違い、好循環の中での自律的な回復であり非常に好ましい物であります。

しかし、中小企業の経営でこの景気回復の恩恵を実感できるようになることも重要であり、まだまだ、そこまでの実感はわかない経営者様も多いかもしれませんね。

マクロ的なお話は別としても経営を良くするというのは、上記したような好循環をいかに生み出していくのかということがテーマになる取り組みであります。

 

さて、皆様の会社にとっての好循環とはどのような状態でしょうか?

そこを考える必要がありますね。

好循環を生み出すためには、

  • 前向きな取り組み
  • その取り組みによって生じた結果のフィードバック
  • フィードバックをもとに次の取り組み
  • さらにフィードバックを得て・・・・・
  • 最終的に最初の前向きな取り組みの継続に戻る

といった状態を作る必要があります。

つまり、前向きな取り組みとそのフィードバックの連鎖の中で循環するポイントを見定めてその取り組みを経営に組み込んでいくことが求められるわけです。

例えば、

  • 経営ビジョン・目標を定義する
  • その計画をもとに、アクションプランを立て、実行する
  • 実行結果を見直し改善する
  • そして、新たな目標を定義する

という形で新たな目標定義に立ち戻り、循環をしていくわけです。

もちろんここでは、従業員の視点も取り入れ、

  • 経営ビジョン・目標を定義する
  • その計画をもとに、アクションプランを立て、実行する
  • 実行結果を見直し改善する
  • 成果を従業員に配分する
  • そして、新たな目標を定義する
    従業員はさらなる飛躍をめざし意欲的に目標を決定する

という循環を生み出していきます。経営は人が行うことですので、将来に向けたモチベーションを循環の中に組み込むことは重要です。

これは所得増加期待からくる、現在の景気回復期待に近いものがあります。

「頑張れば、所得が増える」という期待を胸に頑張れる環境があるのか?

頑張る目標が定められているのか?

その結果をもとに、次のステップに移る取り組みを行っているか?

このようなことはチェックポイントになりますね。

 

毎年、経営目標が単発で決められており、連続性がない

業績に対するフィードバックや配分がない

将来の自分の飛躍に対する期待感が小さい

 

といった状態があると、循環は生まれにくくなります。

 

経営戦略は一つのストーリーを作る取り組みともいえます。良い循環をつくりだすその仮説を記したストーリーです。

 

そのような視点で、自社の取り組みを見直してみましょう。

 

 

中期経営戦略立案とその実現に向けた取り組みをしよう

中期経営計画を立てていますか?

経営計画・経営戦略は業種業態にかかわらず経営改善のためにも必要ですね。3年などの未来のことなどわからないよと言われる経営者様も多いとは思いますが、未来はわかるものではなく、こうありたいという将来像に向かっていくものであります。計画を立てて現実とのギャップを埋めていく努力こそが重要なのです。

そんななかパナソニックが中期経営計画を発表していました。大きなニュースにもなっていたので注目された人も多かったと思います。

  • 全事業での赤字脱却
  • 2016年度に営業利益3500億円以上
  • 3年間での累計フリーキャッシュフローは6000億円以上

といった目標が掲げられています。中期目標としては拡張ではなく利益体質の企業に生まれ変わるという目標を掲げています。フリーキャッシュフローを大きくするとのことですので、当面は大きな投資は控えることになりそうですね。

上記の営業利益の水準は利益率で5%程度を想定しているそうです。逆算すると売上高は7兆円ですね。

現状の利益率は最新の2012年度第3四半期のもので、平均2.2%くらいですので、結構難しい内容でもあります。

しかしながら、このような目標ができることで、現状とのギャップが把握できます。利益率で3%前後の差をどのように埋めるのか。これはコスト削減であり、ターゲットの絞り込みであり、不採算事業からの撤退であります。ギャップがわかることで、意思決定もしやすくなるというメリットもあるでしょう。

実際はパナソニックの再生はいばらの道です。デジタル家電は価格競争が激しく、BtoB分野もまだ未知数です。

とはいえ、BtoBの比率を引き上げるということなどはあながち間違ってはいないと思います。それとともに、本来の得意分野であるはずのBtoCの立て直しも必要ですね。利益率という意味では、ハードの売り切りだけでなく、その後の消費者とのつながりをどのように作るのかも検討が必要でしょう。

 

翻って中小企業の経営を考えると、同様に中期経営計画を考えることは重要です。財務的な目標とそこから浮かび上がってくる課題を認識しているでしょうか?

決算や税務処理としての会計に重点を置いていると、そのような視点が欠けてしまいます。

中長期的な見通しとこうなりたいという姿を描いてみましょう。

 

経営計画や戦略を自社で作るのは難しいなと感じたら、いつでもご相談ください

遠方の経営者様はWEBを活用した経営相談も承っておりますのでご連絡くださいね

 

電力料金値上げの収益構造への影響

関西、九州でも電力値上げ。中小企業経営への影響は?

関西電力や九州電力の家庭用電気料金値上げの幅が決まりそうです。

関電で約9.7%、九電は約6.2%の値上げになるそうです。これは認可の必要な家庭向けの値上げ幅で、企業向けに関しては、関電で約17.2%、九電で約11.9%くらいの値上げになるようです。

この値上げ幅にはかなりのインパクトがあると感じられる中小企業経営者様も多いと思います。

今後の経営計画や戦略策定の際にも、この値上げにおける収益構造への影響を加味したうえで、経営改善を考えていく必要があります。

 

電気料金値上げが自社の収益構造にどれだけ影響がありますか?

電気料金が会社の全費用に占める割合というのは業種業態により異なりますが、全体としては、大きなものではありません。しかしながら、その電気料金が17%上がるとすると利益率にわずかなりとも影響が出てくることになります。利益獲得の難しさを知る経営者様でしたら、そのインパクトはご理解いただけるでしょう。

例えば、下記のような収益構造を考えてみます。

電気料金値上げ前

科目 構成比
売上高 100%
原価 75%
販売管理費 23%
 内(電気料金) 1%
営業利益 2%


この状態で、電気料金が約17%上がった場合にどうなるかというと、

電気料金値上げ後

科目 構成比
売上高 100.00%
原価 75.00%
販売管理費 23.17%
 内(電気料金) 1.17%
営業利益 1.83%


となります。
上記の例では、電気料金の割合が1%としておりますので、このようになりますが、この場合電気料金が17%上がれば、利益を0.17%押し下げてしまいます。

 

中小企業の多くが利益率でいうと、2%やそれ以下というところが多いわけでして、そのような中で、0.17%利益が下がるとすれば、非常に大きなインパクトがあるといえます。
上記の例では0.17と表現すると小さく感じるかもしれませんが、利益が8~9%減少するというとその影響がとても大きいことが実感できることと思います。

収益構造の改善に取り組む

中小企業が今後経営改善を考える場合、現在と近い将来の収益構造を理解したうえで、どのように対策を行うのかを考える必要があります。

電気料金に関しては、簡単に調達先を変えることはできません。値上げがある場合は、調達価格については基本的に変えることができません。

ですので、コスト削減の視点に立つと、「利用方法の最適化」や「そのほかのコストの削減」方法の検討が必要になってきます。そして、さらには収益向上の手段を戦略に織り込んでいくことが必要になるのです。電気料金がコストに占める割合が0.17%上昇した場合、変動費が50%であるとすると、0.35%程度の売り上げ向上を少なくとも織り込まないとコストをカバーできません。もちろん売上げ上昇の目標はもっと大きく持つべきではありますが、一つの費用負担が増えるだけで、これだけの影響が出るわけです。

 

逆にいうと、コスト削減を徹底すること。営業強化策を徹底することで利益率改善・経営改善のきっかけはたくさんあると言えるわけです。

 

経営環境は常に変化します。その変化の中から自社の前向きな経営改善を行う計画や戦略を考えて見ましょう。

当事務所でも経営改善支援を行っておりますので、いつでもご相談くださいね。

 

中小企業にも賃上げの雰囲気が出てきた?

賃金引上げの意欲を持てる経営を目指そう

財務省の発表する法人企業景気予測調査というのがあるのですが、その最新の調査(2013年1~3月期)で中小企業の利益配分先について、「従業員への還元」「新規雇用の拡大」といった項目の割合が増えているという結果が出てきています。

円安・株高といった状況で景気回復への期待感が高まる中、中小企業の経営に少し明るい兆しが出ているのかもしれません。

新規雇用や従業員給与の上昇ができるというのはそれに見合う受注が増えてきつつあるということでもありますし、裏付けとなる売上が獲得できる見込みが出てきているということでもあります。

 

当然のことですが、従業員給与も新規雇用も会社にとって費用負担が発生するものであります。賃上げには、それの裏付けとなる原資としての「利益増加」が必ず必要になります。

従業員のモチベーション面からもそのような傾向や意欲が出てきているのは非常に素晴らしいことだと思います。

 

中小企業の経営改善・経営力向上という観点から見ますと、景気といった外部環境の変動にかかわらず、従業員の給与や、会社の利益を獲得するための戦略や経営計画の策定とその管理が求められます。

外部環境に左右される要素意外に、自社でコントロールする範囲を少しでも広げていくことが経営力につながるのです。

売上が上がらないとき、「景気が悪いから業績が上がらない」と思ったりしていませんか?外部環境の悪化を業績悪化のせいにしていると不況であるという経営者の心にある考えにとりつかれてしまいます。

景気が悪くても利益を絶対に出す。景気拡大期にはさらなる飛躍を目指す戦略を策定するといった形で、常に経営を強くする戦略とその計画へ落とし込める組織力を付けることが求められています。

 

統計上は従業員給与の増加意欲が出てきているという結果になりましたが、自社の状況を振り返ってみていかがでしょうか?

利益の獲得というものは適切な戦略策定で可能性をつくりだせるものです。

業種や業態にもよりますが、日本全体としては、少し明るい兆しが出ています。この機会に自社の経営改善について改めて見直してみましょう。

当事務所でも貴社の経営改善を支援いたします。

 

 

見えないものは改善できない

認識することが経営改善には重要

日本オリンピック委員会(JOC)のアンケートで、約1割の選手が暴力行為を含むパワハラ・セクハラを受けたことがあると答えたそうです。

最近よくニュースになっているので気になっていた人もいるかもしれませんね。

翻って、少し前の記事では、31の各競技団体に聞き取り調査した時は、「暴力はない」と回答されていたようです。

何か食い違っていますね。31団体というのはJOC加盟の全団体ではないと思いますので、暴力を受けたのは、聞き取りが行われた31団体以外の団体の人なのか?ということが気になってしまいます。

当ブログは中小企業・零細企業の経営改善をテーマにしていますので、協議における暴力の有無や是非についての議論はしませんが、この事例でも大切な教訓が潜んでいると感じています。

 

改善というのは問題を認識することから始まります。

「あ、これは問題だ」とにんしきできるから、それをどのようにすれば解決するのかということを考えることができるのです。

自身の保身などのために、「暴力はない」と報告した団体は自分自身で組織を改善できるでしょうか?

同様に中小企業の経営においても問題に目を向けるということがきわめて重要になります。

 

問題とは経営者様にとって嫌な情報であることが多いでしょう。

本当は「見たくない」と感じているのです。

見たくないという意識で、現実を「否認」すれば課題を認識することができなくなってしまいます。その時点でその問題は解決不可能になります。認識していないのであるから当然ですね。

 

問題をみたくないのであれば、逆説的に考えてしっかり問題を認識し、それを解決し、問題が今後発生しないように改善する方が良いのです。問題を無視するか、解決して問題を本当の意味でなくしてしまうのかの違いです。

 

組織においては、問題を認識することで、自分の地位や権利が危うくなる場合があります。そのための保身の策として問題先送りや否認が起こるわけですが、もしそのような事があるのであれば、それ自体が「大問題」であると認識したほうが良いでしょう。

 

頭では分かっていてもいざそれを実行しようとするといかがでしょうか?

難しいかもしれませんね。

 

でも「問題」や「課題」といった情報は中小企業・零細企業の経営改善にとって「宝の山」です。改善のチャンスがそれだけあるわけですから。課題を解決できればまわりまわって、最終的な財務の改善にもつながる可能性があります。問題を悪ととらえるのではなく、あるべき姿からの「距離」であると理解すれば、問題を認識することに価値を見出せるようになるでしょう。人のせいにすることなく改善情報としてとらえることで、前向きなサイクルをつくりだすことができます。

 

問題は見えなければ・見ようとしなければ認識されず解決もされません。

目をそむけず問題を探し回るくらいの意識を持ってみましょう。

自社の経営改善の「3本の矢」を考えて見ましょう

中小企業の経営改善は複数の視点で進める

アベノミクスなどという言葉が最近のはやりで、今年の流行語大賞になるのではないか、と感じたりもしますが、最近の円安・株高傾向には目を見張るものがあります。

とはいえ、中小企業の景況改善にはまだまだ時間がかかるわけで、実体経済への良い影響が早く出てほしいと願うところです。

 

アベノミクスでは、基本方針として「3本の矢」ということが掲げられています。「金融緩和」「財政政策」「成長戦略」を推進する中で、デフレ脱却を目指していくということになるわけです。

 

考え方として、デフレ脱却だからといって、金融緩和だけしていても日本の経済は良くならず、金融・財政・民間での取り組みが効果的に組み合わさって初めて成長にかじを切れるということでしょう。

3本が良いかという議論は別として、中小企業の経営改善・経営力向上を考える際にこのような複数の視点での取り組みを推進していくというのは重要な考え方であると感じます。

売り上げや利益を改善するために一つの取り組みだけを行っていても短期的に効果がでることはあってもなかなか継続しないということもあるでしょう。

大切なことは、良いサイクルを創るということです。

 

例えば、

・コスト削減を行い収益構造を改善し、財務的な余力を創る

・削減コストをベースに営業強化を図り、損益分岐点を一気に突き抜ける

・獲得した利益を還元、再投資し、成長戦略を実現する

と、少し大きな話ではありますが、売り上げを伸ばしたいということを考えても上記のような複数の取り組みや視点での戦略を考えることができるわけです。

 

経営の諸要素(商品・サービス、顧客、従業員、業務プロセス)といったものは有機的に関連しています。どれか一つだけ取り上げて、いきなり変化を起こそうにも他の要素との関連で簡単に変化を起こせない場合があります。自社の現状を理解したうえで、重点的な視点や指標を明確化し、それに対するアクションを定義するという考え方は非常に重要です。

 

そのような考え方の中で「自社の3本の矢」を考えてみるというのは非常に面白い取り組みであると思います。

 

・売上を向上させるための自社の3本の矢は?

・資金繰りを安定させるための3本の矢は?

 

いろいろな取り組みが考えられますね。

 

経営改善の3本の矢、見つけてみませんか?

中小企業が経営力・収益力による信用を付けるには

経営者の連帯保証が緩和された場合、何で信用をつくるか

中小企業・零細企業が借入する際には、経営者自身が連帯保証人になる場合が多々あります。その連帯保証について、経営者個人の全財産が没収されるような事を防ぐルール作りが進められるそうです。

 

個人的にはこのこと自体は賛成と考えています。

本来株式会社などは法人格が与えられており、出資の範囲での有限責任が原則です。その原則をはるかに超える責任が個人に課せられる可能性を考えた場合、起業や事業承継に躊躇するケースは多々あるでしょう。

 

もちろん単に有限責任を文字通りの意味で優先するという意味ではありません。事業を継続する以上、モラルも求められますし、借りた金は返すのが大前提であります。何らかの形で「保障」や「信用」ができないのであれば、お金が借りられないというのもまた現実だと思います。

 

多くの場合、「保障」を完全に行うことは困難です。事業には成功もあれば失敗もあります。ですので、「信用」をいかに醸成していくかが課題となると考えております。

 

中小企業・零細企業が、経営における信用を得るためにはどうすればよいか。

当然それは、

  • 収益力をつけ、会社の収益構造を改善する
  • 中長期的に会社の利益を確保できる経営力を付けそれを証明できる
  • 毎期適切なキャッシュフローを得て、借りた金はしっかり返す

など当然と言えば当然の取り組みが求められます。

しかし考えて見ると、金融円滑化法が有効であったここ数年で、多くの企業がリスケを申請したのですが、実際は経営改善計画もしっかりと作れず再生できていない企業も多いわけです。このような状況で、個人保証のルールを緩めるということだけしてしまうと、貸し手に一方的に不利になってしまいかねません。その結果として、「貸し渋り」の傾向が出てきてしまうと本末転倒です。

 

中小企業・零細企業も一つの会社であれば、貸し手である銀行も一つの会社であり、お互いの信用の中で、発展していくのが理想であり、原則と考えます。

 

個人保証のルールを見直し、経営者の再起できる可能性を残すことは大切な考え方です。それとともに、個人保証がなくてもしっかりと資金調達できるようになるためにはどういう経営をすればいいのかという根本に立ち返って経営改善をすることも同時に求められると考えます。

 

そのように考えると、中小企業・零細企業においても

中長期的な経営計画、経営戦略の策定

計画を実現する行動計画策定とその管理

継続的な経営改善

といったことが求められてきます。

 

是非とも基本に戻って改善の一歩を踏み出していただきたいと願います。

大地震と中小企業経営の継続

巨大な自然災害に中小企業はどのように備えるか

南海トラフの大地震による被害想定は最大で220兆円という試算が出ています。

国家予算をはるかに超える規模の被害想定に驚いてしまいますが、被害を想定して準備をしておくために、この現実から目を背けることはできませんね。

このような自然災害では、建物損壊などの直接被害のみならず、生産の低下やインフラへのダメージ、サプライチェーンの崩壊など様々な問題が発生します。

そのような中で、中小企業の経営をいかに継続するかというのは大きな問題です。

では、このような大きな災害を見越して中小企業にどのような対策が取れるでしょうか。

中小企業は経営資源が乏しいため、大規模な耐震化などの対策は難しいと考えられます。しかしながら、このような耐震化などの対策により被害を大きく減らすことも可能であるため、自社の現状に即した対策を検討する必要があります。

とはいえ、できることには限りがありますので、「自分目線」でできる範囲の対策を考えていく必要がありますね。

 

重要なのは、

  • 人命第一、自分自身・社員・家族、顧客などの安全の確保と震災時の安否確認体制の確保とルール作り
  • 重要な業務の定義とその復旧方法の定義
  • 最低限の資金繰りの確保

のような対策を検討できます。

安否確認の方法や、最低限の水・食料の確保方法の検討や準備は比較的わかりやすい取り組みだと思いますし取り組みやすいでしょう。

業務の復旧については、すべてをいきなりできるわけではありません。事業を継続するうえで、必要最小限であり、もっとも重要な業務を明確にし、その部分の復旧の優先順位を上げる必要があります。その他の業務は一時的に優先順位を下げ、メリハリを付けることが重要です。

そのうえで、必要な最低限度の資金繰りを想定しておく必要があります。

このような基本的な考え方をベースとして、BCP(事業継続計画)の策定や取り組みを行っていくことが求められます。

ここまで踏まえて、準備を考える場合、単純に現在の業務+震災対応の追加と考えるのではなく、現在の業務を自然災害や伝染病など起こりうるリスクに対応できる強い組織として成長する取り組みととらえるべきであります。震災対応のために時間やお金が追加出かかると考えるよりも、現状の重要業務の効率化や従業員の連絡体制などの意思疎通などによる組織力向上の機会づくりとして、取り組みを進めることで、経営力向上のきっかけとしていく考え方が大切です。これは3Sなどの取り組みと似ている部分があるかもしれません。

業務が複雑であったり、あいまいであったりすれば、いざというときに対応が後手に回ります。業務をシンプルかつ効率化することは災害時のみならず平常時のコストダウンや生産性向上にもつながるでしょう。

経営環境の変化に合わせて対応できる組織的な成長こそが重要と考えましょう。