巨大な自然災害に中小企業はどのように備えるか
南海トラフの大地震による被害想定は最大で220兆円という試算が出ています。
国家予算をはるかに超える規模の被害想定に驚いてしまいますが、被害を想定して準備をしておくために、この現実から目を背けることはできませんね。
このような自然災害では、建物損壊などの直接被害のみならず、生産の低下やインフラへのダメージ、サプライチェーンの崩壊など様々な問題が発生します。
そのような中で、中小企業の経営をいかに継続するかというのは大きな問題です。
では、このような大きな災害を見越して中小企業にどのような対策が取れるでしょうか。
中小企業は経営資源が乏しいため、大規模な耐震化などの対策は難しいと考えられます。しかしながら、このような耐震化などの対策により被害を大きく減らすことも可能であるため、自社の現状に即した対策を検討する必要があります。
とはいえ、できることには限りがありますので、「自分目線」でできる範囲の対策を考えていく必要がありますね。
重要なのは、
- 人命第一、自分自身・社員・家族、顧客などの安全の確保と震災時の安否確認体制の確保とルール作り
- 重要な業務の定義とその復旧方法の定義
- 最低限の資金繰りの確保
のような対策を検討できます。
安否確認の方法や、最低限の水・食料の確保方法の検討や準備は比較的わかりやすい取り組みだと思いますし取り組みやすいでしょう。
業務の復旧については、すべてをいきなりできるわけではありません。事業を継続するうえで、必要最小限であり、もっとも重要な業務を明確にし、その部分の復旧の優先順位を上げる必要があります。その他の業務は一時的に優先順位を下げ、メリハリを付けることが重要です。
そのうえで、必要な最低限度の資金繰りを想定しておく必要があります。
このような基本的な考え方をベースとして、BCP(事業継続計画)の策定や取り組みを行っていくことが求められます。
ここまで踏まえて、準備を考える場合、単純に現在の業務+震災対応の追加と考えるのではなく、現在の業務を自然災害や伝染病など起こりうるリスクに対応できる強い組織として成長する取り組みととらえるべきであります。震災対応のために時間やお金が追加出かかると考えるよりも、現状の重要業務の効率化や従業員の連絡体制などの意思疎通などによる組織力向上の機会づくりとして、取り組みを進めることで、経営力向上のきっかけとしていく考え方が大切です。これは3Sなどの取り組みと似ている部分があるかもしれません。
業務が複雑であったり、あいまいであったりすれば、いざというときに対応が後手に回ります。業務をシンプルかつ効率化することは災害時のみならず平常時のコストダウンや生産性向上にもつながるでしょう。
経営環境の変化に合わせて対応できる組織的な成長こそが重要と考えましょう。