カテゴリー別アーカイブ: 経営

中小企業の経営、戦略、計画に関する話題をまとめます。

中小企業・零細企業の売れる仕組み・好循環は自ら作り出す

売れるから元気が良いのか、元気が良いから売れるのか

卵が先かニワトリが先か。なんだか難しい問題ですが、このようなある種のジレンマのような考え方に陥ってしまうことが良くあります。中小企業・零細企業の経営でもこのようなことがあります。
売れている企業は人気もあり、従業員の元気もある。外から見るとそのように見えますね。「景気さえ回復すればなんとかなる・お客さえくればなんとかなる」そんな言葉も聞こえてきます。経営状態が下降局面にあるときほど、ついつい自社ではなく外部の要因に悪い要因を探してしまいがちになります。それは現実の一面ではありますが、外部に要因を求めてしまうと、自社の努力を放棄してしまうような考え方が定着してしまいかねません。たとえば、「売り上げが伸びたら、もっと頑張る」のような思考です。これは極端な表現ではありますが、本来逆ですね。「もっと頑張って売り上げを伸ばす」という考え方が必要になります。

企業の経営は経営者・従業員が自ら創り出すものだという側面があります。
そして、起業やお店とお客様はともにWin-Winの関係になることが求められます。それが「売れる仕組み」となるわけですが、あくまで、それは企業が創り出し、提供していくものです。顧客から「先」を求めるような考え方は改める方が良いでしょう。

今の現状をいかに改善していくか、経営力を向上していくか。それを考える際に、外部の環境が変わることを待つ態度は改める必要があります。
まず自社を変えることがから始めるという気概が必要になります。
「売れるから元気」ではなく「元気を出して売りに行く」ということです。

サービス業や、営業であれば、身だしなみ・言葉づかい、礼儀などから始めることもできます。特別なことではありません。
営業のためのツールを準備したり、自社のサービス・製品の強みを明確にし、営業に活かすことを考えたり、営業の効率化を図ったり。できることはたくさんあるでしょう。
その取り組みを地道に始めること。自社から率先して変化を作り出すことが顧客の支持を得る第一歩です。
「こうしたい」「こうなりたい」という想いがあるでしょうか?自社の理念があるでしょうか?
閉塞感が漂っているときは改めて本来のあるべき姿を見つめなおし、できることから少しずつ変化を生み出していくことが大切です。

自ら積み重ねた取り組みの中で、売り上げが伸び、顧客の満足度が向上すれば、従業員もさらにやる気を出すでしょう。この状態になると、良い意味での循環が生まれます。そしてこのような好循環は自らが創り出していくものなのです。

ついつい悲観的に考えてしまう時は、外部の専門家に相談するのも良いことです。第三者的な視点は時として必要になるものです。
経営上の課題や改善の取り組みなど、様々な経営相談を承ります。是非気楽にご連絡ください。

倫理観と理念と矜持と。中小企業の経営に大切なことです

東海テレビの放送事故。中小企業の経営への教訓は

2011年8月4日付のニュースで、東海テレビの放送においてお米プレゼント当選者発表の表示に不適切な表現が含まれていたというものがありましたね。注目されている人も多いことでしょう。
とても悲しいニュースですし、怒りを感じる人もいらっしゃることでしょう。
なぜこのようなことが起きてしまったのか。

テレビ局のホームページの謝罪文を読んでいていくつか気になる点がありました。
 ・仮のテロップとはいえ、不適切な表現を「使用した」ことに問題があり。。。
 ・担当者の「認識不足」
 ・番組プロデューサー・・・「管理体制の甘さ」があったこと
 ・社内の「綱紀粛正」を図るとともに「コンプライアンス意識」を徹底させました。
という表現は個人的にとても気になりました。「」は私がつけております。

皆さんはどのように感じられたでしょうか。僕はなんというか、あまりいい意味ではなく違和感を感じています。
今回の事故について、まるで、手続き上の問題だけを反省しているように見えてしまうのです。
問題は、どちらかというと、企業理念や企業倫理に属するものに感じられます。

社員がそのようなことを「考えて」しまうのは、理念が浸透していないからではないかなと思います。
社員が働く上でのよりどころとなる価値観がまともに機能していないわけです。
東海テレビのホームページのトップのリンクには、コンプライアンスについてのリンクはありましたが、企業理念についてのリンクは見受けられませんでした。

皆さんはどのように考えられるでしょうか。

中小企業にとっても、「理念」は非常に重要です。それは企業が行動をする際のよりどころとなるからです。
ですので、企業の経営を見る際は、その「理念」に注目することが多いのです。
理念は作るだけではなく、浸透させる必要もあります。これは根気のいる取り組みですが、やらなければ、単なる作文で終わってしまいます。

今回の事故は悪意をもって行われたのではないのかもしれません。しかしこのような問題は生まれついての性質の問題ではなく後天的な教育などで十分回避できた可能性も考えられます。
もちろん、理念だけの問題ではなく、プロセスや管理上の改善点もあるでしょう。その他の問題もあるでしょう。でも、何より理念が第一と考えるべきであると思うのです。経営の良い点も、悪い点もまずはその理念から出発して考えるのです。

自社に理念があるでしょうか?
それを表明し、浸透させる取り組みを続けているでしょうか?
社員とその理念について語りあうことはあるでしょうか。

それを踏まえて、何か「変える」必要はないでしょうか。
教訓を活かしてみましょう。

中小企業の経営改善 儲けの仕組みづくり

中小企業の経営改善の視点としての人材と売れる仕組み

日経新聞の記事で大卒求人統計が載っていました。それによりますと、千人以上の大企業の求人倍率は0.57倍、それに対して中小企業では2.16倍もあったそうです。いかに、大卒者が大企業を志向しているかがわかる統計ですね。
中小企業の経営にとって、人材は非常に重要な業績向上の礎です。バランススコアカード(BSC)的には、財務業績と顧客に対する目標を達成するために、社内の業務プロセスと人材の改善に着手する取り組みの一つとして、優秀な人材の確保と教育がポイントになると考えられます。

そして、その人材や業務プロセスの改善の戦略を形作る中で、企業としての「売れる仕組み」の仮説が見えてくると思います。

同じ日経の記事で、「最高益更新」企業のケースが載っていました。ヤオコーにおいてはパートを有効活用して、提案型売り場を作っているそうです。これも良いケースですね。このような改善を現場主導で行っているのです。
また、イオンでは、専門店に力を入れる取り組みの中で、社内資格取得者を増やそうとしているそうです。
これは一例ですが、自社の中でどのような部分で利益を出すのか、それに対する取り組みをどうするのかを考え、戦略として取り組んでいる良いケースでしょうね。

このような取り組みを大企業だけのものとして、あきらめていないでしょうか?
中小企業だからこそ、できることやらないといけないことというものがあると考えます。
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中小企業の事業継続計画(BCP)とリスク対策

いよいよ夏も本番となってきました。
気温もぐんぐん上がって真夏日が続き、電力使用量も上がっているようです。
この夏の気温がどうなるかはまだわかりませんが、節電対策はいよいよ重要になってきます。

自然災害や、伝染病、エネルギー不足などは中小企業にとっては大きな「リスク」と考えられます。
リスクは避けられるのであれば、避けたいものですが、全てがそのようにうまくいくわけではありません。

リスク対策を考えるうえで、大切なことは、
 ・リスクが何であるか「認識する」こと。
 ・そのリスクについてリスク戦略を練る
となります。
リスクの認識というのは非常に重要で、リスクの存在を認めることができなければ、対策も取りようがありません。
頭が痛い問題ですが、リスクと正面から向き合うという姿勢は中小企業の経営にとってとても大切な考え方です。

さて、リスク戦略ですが、基本的な対策としては以下のようなものがあります。
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中小企業のBCP(事業継続計画)のサイクルについて

この夏、関東のみならず、全国的に節電の要請が出ておりますね。
私は関西にて中小企業診断士として活動しております。大阪を含め多くの自治体が節電の要請を受けています。
節電自体は悪いことではないですが、中小企業にとっては非常に困難を伴うこともあるでしょう。特に大阪には東大阪を中心に工場の集積している地帯もあります。電力不足は事業継続においても非常に大きな影響があります。

BCP(事業継続計画)という言葉も新聞でよく目にするようになりました。市場にとって関心の深い事柄なのでしょうね。中小企業にとっても同様に、いざという時に、事業の継続を行えるように対策を施すことは大きな意味があります。特に企業体力的にもできるだけ短期間に事業の再開を行えるようにすることはむしろ中小企業のほうが重要であるかもしれませんね。

さて、電力不足・地震等を含め、中小企業の経営にとって経営の継続に影響を及ぼすような事象は多く存在します。経営リスクですね。中小企業の経営のリスクを認識し、事業の継続をスムーズに行えるようにしていく一連の活動がBCP(事業継続計画)です。その大まかな考え方は下記の通りでしょう。
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中小企業のBCP(事業継続計画)で経営改善

BCP(事業継続計画)でもPDCAは重要

少し前はインフルエンザのような流行病、最近では大地震や津波といった自然災害が中小企業の経営に影を落としています。このような事象は中小企業に大きな打撃を与え、事業の継続を困難なものにしてしまう可能性があり、事前の準備が非常に重要になります。また、取引先との信頼関係を考えた場合も、BCP(事業継続計画)を策定しているか策定していないかでは、策定しているほうが信頼を得やすいことでしょう。
中小企業がBCP(事業継続計画)を策定することは重要な課題ですが、何から手を付けていいかわからないとか、費用が増えてしまうというような懸念もあるでしょう。しかしながら、何もしないことがベストとはいえません。このような取組みにおいては、中小企業の経営改善という視点と絡めて取り組むことが良いと考えます。また自社の現状に見合った取組みを行っていくことも重要です。お金があれば、楽ですが、お金をかけずにできる取組みもあります。できる範囲で改善していきましょう。

取組みの基本となる流れは、他の取組みと同様「PDCA」のサイクルを回すということになります。これは経営改善における基本的な考え方と同様です。自社でPDCAサイクルが回せていないな、という企業様においては、そこからが経営改善の種になります。是非取り組んでみましょう。

中小企業庁のBCP(事業継続計画)の考え方としては、このPDCAサイクルを以下のように表現しているようです。
 ・事業の理解 → BCPの準備・策定 → BCP文化の定着 → BCPのテスト、維持・更新
言葉は異なりますが、PDCA同様、計画~実行~チェック・見直しという一連のサイクルを回していることが分かります。
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改めて、中小企業の事業継続計画(BCP)について

事業継続計画(BCP)で経営改善を

中小企業の経営改善を考える際に、改めて事業継続計画(BCP)が注目されていますね。東北関東大震災で中小企業も多く被災しました。直接の被災をしていなくても被災した起業と取引をしていた企業もあるでしょう。取引の減少、工場の稼動停止等が起こり、雇用の維持も困難になっている場合もあります。原材料の確保ができない企業も多くあります。
このような事態になってもいち早く事業を再開する企業もあるのが事実です。災害や伝染病の発生や意図しない大きなトラブルなどが起きた際に、しっかりとした行動を取れる企業は顧客や地域からの信頼も得られるでしょう。
日経新聞の記事で、「震災時の危機管理、6割の企業が「うまくいった」」と回答したとありました。このような企業は災害対策マニュアルの作成や、日頃からの訓練を行っていました。逆にうまくいかなかった企業は、想定以上の災害で対策が後手に回ってしまったことや、事業継続計画(BCP)が未整備であったことが理由としてあがっています。

ここでの教訓は何でしょうか?多くの中小企業の経営においても学ぶべきことはあるはずですし、復興を目指す日本にとっても考えるべきことはあるでしょう。
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中小企業の経営改善 - リスクに対する取組みについて

食中毒事件から中小企業のリスク対策について考える

焼肉チェーン店での食中毒事件が連日報道されています。今回の事件では死者も出ており、非常に重大な事態になっております。企業として絶対に避けるべき事態でありますし、お客様の未来、幸せ、信頼のすべてを結果として奪ってしまうことになり、関係者のすべてにとって非常に不幸な出来事でありました。
なぜこのようなことが起こってしまったのか、どうあるべきであったのか、この出来事についての教訓をどのように活かすべきなのか、深い内省と改善に向けた具体的な行動が求められます。

このような事がなぜ起こるのでしょうか?中小企業でも程度の差こそあれ、起こりうる事態です。それは製品の品質の毀損であったり、機密情報の漏洩であったり、違法行為であったり。今回の事件では生命にかかわる事態になったということが非常に大きなことなのです。
中小企業の経営でも同様で、企業の活動には、何らかのリスクが潜んでいるはずです。食品関連の製造業であれば、今回のように衛生管理上のリスク、販売であれば、賞味期限・消費期限・保管上のリスクがあるでしょう。食品でなくても顧客や従業員に対する安全確保上のリスクがあるかもしれませんし、品質保持上のリスクもあるでしょう。
第一歩としては、事業活動上のどこにリスクがあるのか、それはどのようなものかを認識することです。このようなことは従業員個人にまかせきりになってはいけません。企業の取り組むべきリスクから目を背けることになるからです。
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中小企業の経営改善 - 個人情報保護における情報取り扱い

個人情報の取り扱いのルールを守ることの大切さ

中小企業の経営においても、個人情報保護の体制を取り、推進していくことが求められてきております。しかしながら、それは簡単なことではなく、「個人情報を大切にせよ」という言葉だけでは実効力がありません。
ソニーの取り扱う個人情報が大量に漏洩した事件においては、子会社にも影響が広がっており、サーバーの古いデータベースに削除されずに残っていた個人情報も漏洩しているようです。本来古いデータベースは使用していないのであれば、データは削除すべきでしょうが、それも行われていなかったということになります。

この事件において、悪いのはあくまで、サーバに進入し、情報を漏洩させた人あるいはグループであるわけですが、企業側においても、もっと厳重な保護ができたのではないか?という視点で考える必要もあります。
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中小企業の経営改善 - 個人情報保護・セキュリティ対策

中小企業でもできる個人情報保護・セキュリティ対策

先日のソニーで起きた大量の個人情報の流出事件については、まだまだ影響範囲が特定されておらず被害が大きくなる可能性も残っておりますね。クレジットカード情報が漏れていたとすると、個人に対する金銭的な被害が発生する可能性もあります。それに加えて今後ソニーには訴訟のリスクや賠償の問題、それに対する費用の問題等様々な課題が出てきます。
本来セキュリティを破って個人情報を流出された「何者」かが悪いのでありますが、このような事故が起きてしまうと具体的な責任を負うことになるのは企業側です。理不尽に感じる面もあるかもしれませんが、お客様の個人情報や機密情報を預り、それを利用している以上、しっかりとした安全対策を採るのは企業としての責務でもあります。
これは中小企業の経営にとっても同様です。
中小企業の経営では、大企業との比較において、セキュリティ対策が遅れているといわれています。セキュリティの対策には、管理面・人材面でもある程度の時間・コストがかかるわけで、中小企業の経営にとって重荷になるという側面もあるでしょう。それでも個人情報や機密情報は重要な資産という位置づけで守る体制をとる必要があります。
また大企業から見ると、自社の個人情報・機密情報を守るため、取引先の中小企業の経営において個人情報保護体制が取れているか、機密情報を適切に扱っているかということが、取引を継続する上での条件となる場合があります。取引先が情報を不適切に扱っている場合、そこが、セキュリティ上の「穴」になってしまうからです。

中小企業の経営において、個人情報保護の体制をとることや、セキュリティリスク対策を行うことは可能です。何もコストをかけるばかりではなく、企業の規模や実態に応じて自社に合った対策を行えばよいのです。
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