ビジョンと戦略の4つの視点を可視化
中小企業の経営改善・経営革新には明確なビジョンと戦略が必要であり、バランススコアカード(BSC)は戦略を4つの視点で捉え、バランスさせて管理できるツールとして効果的であります。財務指標だけでは視点が短期的なものになりがちですが、バランススコアカードでは長期・短期、財務・非財務の視点でのバランスをとることができ、業績管理としても扱いやすいものであることを述べてきました。
4つの視点で設定した課題や目標を可視化するためには戦略マップというものを作成します。戦略マップでは4つの視点の個別の指標の因果関係を分かりやすく整理することができます。
戦略マップで各指標の因果関係を検証する
戦略マップは4つの指標で立てた目標の関係を可視化します。バランススコアカード(BSC)の4つの視点は因果関係があり、経営改善・経営革新を達成するためにどのようにすればいいのかというストーリーを分かりやすく整理することができるツールです。逆に言うとこの戦略マップで4つの視点で立てた指標の因果関係を説明できない場合は、その戦略には問題がありそうだという判断もできます。戦略マップのイメージは以下のようなものです。
4つの視点ごとに設定した目標は矢印で関連付けられます。このように関係を可視化することで、経営ビジョン・戦略をどのように実現していくのかを分かりやすく表すことができます。
戦略マップは戦略実現のための仮説を可視化したものであり、「このようにすれば経営目標を達成できるはずだ」という企業の意思を可視化するものです。
最終的な目標は財務指標の達成ということになります。上記の例では、財務目標を達成するための顧客の視点での目標、内部プロセスの視点での目標を設定しています。そして内部プロセスの視点を実現するための前提として組織・従業員の学習と成長の視点を設定するのです。
逆に見ると情報共有と技術力の向上を実現することで、クレーム対応の短縮化と納期の短縮を実現でき、クレーム対応を短縮化し、納期も短縮化することができれば、顧客満足度の向上ができ、最終的に売上の拡大、コストの削減ができるということになります。
このような因果関係の説明に戦略マップを使うわけです。戦略マップの内容とその因果関係の説明は企業によって異なるはずで、目標実現のための仮説を企業の実態によって良く考え、実現可能な戦略目標を設定していく必要があるわけです。最終的な財務目標との因果関係を説明できない課題や目標については現時点では目標から外すという意思決定もできるでしょう。
このようにバランススコアカード(BSC)では戦略の可視化のために戦略マップを使います。中小企業の経営改善・経営革新においても戦略の可視化というのは非常に重要です。経営資源の限られた中小企業においては、戦略実現のための仮説検証を十分に行い、社内でも目標とその実現についてのイメージを共有することは非常に重要ですね。
経営の見える化という点でも非常に有効なツールと考えることができるでしょう。
戦略マップは中小企業の戦略や取り組みを文字通りの意味で可視化するものです。指標や戦略の因果関係があり、成功への仮説(想い)が込められたものです。
そこには中小企業が目標を達成するための一つのストーリーがあるはずです。戦略マップにより個々の戦略が有機的につながり、関係者にそのストーリーを語ることができるようになるでしょう。
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