経営改善・経営革新に効果的?中小企業のバランススコアカード(BSC)の4つの視点

バランススコアカード(BSC)の4つの視点

中小企業を取り巻く経営環境はまだまだ厳しい状態ですね。景気は緩やかに回復といっても内需の落ち込みは続き、政治や社会保障への不安から一般消費者の財布の紐は固くなっています。そのような状況の中中小企業が経営改善や経営革新を行うためには自社のビジョンをしっかりと持ち、目指すべき方向性を常に意識して行動していく必要があります。そのようなビジョンに対する戦略の管理ツールとしてバランススコアカード(BSC)というものがあると前回書きました。バランススコアカード(BSC)では、自社のビジョンや戦略を4つの視点で分類し、それを管理する指標を設定した上で、業績を管理していきます。4つの視点は長期と短期、財務と非財務といった幅広い概念でバランスをとるために設けられています。
ここでいう4つの視点とは、
 財務の視点・顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点
の4つになり、それぞれが関連付けられています。

財務の視点
バランススコアカードは伝統的な財務的な管理における問題点を克服するために利用されるという側面がありますが、企業にとって財務的な視点が重要であることには変わりありません。中小企業にとっても最終的な財務目標の達成こそが事業の継続にとって重要になることには異論はないでしょう。中小企業のビジョンや経営戦略は最終的には財務目標として数値化されるべきです。売上規模の拡大や利益率の改善、キャッシュフローの改善等具体的な財務目標を立てることになります。

顧客の視点
中小企業が経営改善・経営革新により財務的な目標を達成するためには、新たな顧客を獲得し、既存の顧客の満足度を向上させていくことが重要なポイントとなります。どのような顧客に対して、どのような方策で顧客の満足を向上させ、財務の目標を達成していくのかを決めるのが顧客の視点です。

業務プロセスの視点
株主や顧客を満足させるために、あるいは費用を削減するためにはどのような業務プロセスを作っていく必要があるのかを考える必要があります。プロセスの品質やかかる時間、コスト等を分析し、改善していくことが顧客の満足になり、財務目標の達成につながっていくのです。自社の強みとなる業務プロセスを特定し、改善していく為の目標を設定していく視点が業務プロセスの視点となります。

学習と成長の視点
バランススコアカード(BSC)の最後の視点が学習と成長の視点です。業務プロセスを改善し、顧客満足を向上させるために企業や従業員がどのように能力を向上させていくか、そしてどのような能力を身につけていく必要があるのかという視点で目標を立てます。従業員と組織の継続的な学習は企業の変革力の原動力になるものです。そして、従業員が仕事上の満足を得ることが将来的な企業の力になるのです。

4つの視点は因果関係を持っている

説明した4つの視点はそれぞれが関連を持っています。財務の視点による目標をどのように実現していくのかを顧客の視点、内部プロセスの視点で決め、そのためにどのような能力が必要になっていくのかを学習と成長の視点で決めることになります。つまり全ての視点が繋がっているのです。逆に4つの視点で決めた目標について関連を説明できないのであれば、その目標はバランスが取れていないと考えることができます。立てた目標について他の視点や目標との因果関係を説明できないのであれば、その目標自体に問題があると考えることができるのです。
中小企業の経営と経営判断においてはその一つ一つの活動に物語があります。脈略のない行動が価値につながる等とはなかなか考えにくいですね。4つの視点の要素で、ビジョンや戦略について物語れるかどうか、ということが中小企業の経営改善・経営革新のキーとなります。

このようにバランススコアカード(BSC)では企業のビジョンや戦略を4つの視点にブレイクダウンして説明します。それぞれの因果関係も説明できるため、関係者の理解も得られやすく、管理もしやすくなるのです。一つ一つ考え方はシンプルであり、中小企業の経営改善・経営革新に十分活かしていけるでしょう。厳しい経営環境の中で自社の業績を伸ばしていくために幅広い視点に立って目標を実現していきましょう。

4つの視点にはつながりがあり、そのつながりを説明するときに、企業の発展のストーリーが語られることになります。バランスの良い視点と戦略実現のストーリー。これがバランススコアカード(BSC)です。

中小企業・零細企業の経営においても、この考え方を活かすことができます。

経営改善・経営革新に効果的?中小企業のバランススコアカード(BSC)の4つの視点」への7件のフィードバック

  1. おはようございます。中堅企業で可視化経営に興味を持っています。本を購入し勉強し始めました。
    そこでバランススコアカードについて興味を持ちました。それについて質問させてください。

    ・導入する時に業者から既存のソフトを購入して行うのでしょうか。もしそうなら企業によってカスタマイズ
    が必要ですか。

    ・経営サイドから下部組織に4つの視点で検討するそうですが、組織によっては必ずしも4つの視点に
    あてはまらない場合があります。たとえば管理部門ですがその場合はどうするのでしょうか。

  2. 青木様。コメントありがとうございます。
    経営の可視化、業績を管理するためにも重要ですね。
    ご質問についてですが、1点目につきましては、私見ですが必ずしもソフトを導入する必要はないと考えます。もちろん目標とした指標を管理する情報を収集するためにITを活用することは効果的でありますが、これは専用ツールを使用しなくても既存の仕組みでの対応をまずは考えてみることもできます。中堅企業とのことで組織や業務プロセスの規模も大きいことが考えられますのITの活用は検討すべきところでしょうが、自社のビジョンと業績評価指標、そしてその指標を管理するためにITが必要かどうかを検討してから考えてもよいのではないでしょうか。
    2点目につきましては、一般的には4つの視点にまとめることが分かりやすいとも考えられますが、企業によっては別の視点を設けている場合もあります。例えばリコーではバランススコアカードの視点に「環境の視点」という視点を設けています。もちろん環境の視点を企業によっては、「顧客の視点」と関連付けたり「業務プロセスの視点」に関連付けることもできるでしょう。企業ごとの実態に合わせるのがよいでしょうね。
    コメントありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

  3. ご回答ありがとうございます。
    1点目ですけど、ITを使った場合は途中のモニタリングができますけど、そうでない場合は難しいですよね。
    これも費用対効果の関係から意思決定すべきですか。

    2点目に関してはどの会社でもトップは4つの視点で遂行できますが、下部層におりていくと難しくなりますね。この場合はそれを見越して事務局がこの部門は顧客視点の代わりにどういう視点でみるべきか。
    あるいはその視点は省くべきか決めるのですか。また階層をどこまでするかですね。大企業より
    中堅企業の方が向いているような気がします。

  4. 青木様。コメントありがとうございます。
    バランススコアカード(BSC)では数値管理を求められることが多いため、ITの利用が有効と考えられますが、もちろん費用対効果という視点は重要でしょうね。BSC自体のシステム化が問題でなく業績を伸ばしていくことが大切です。現状BSCの業績管理指標で何を収集する必要があるのか、その業績管理指標は既存のシステムの別情報で代替できないか?ということも検討すべきかもしれませんね。
    2点目に関しては、確かに私もBSCの初期の導入は大企業より中小・中堅企業の方が導入しやすいかもしれないと考えております。組織階層もフラットであるほうが分かりやすい可能性もあります。
    部門ごとに現状の役割があり、BSCの重要成功要因を管理するための業績管理指標も部門ごとで担当すべき指標は異なるでしょう。間接部門で顧客の視点の指標に直接関わらないという場合ももちろん有るかと思います。ただ、担当すべき重要成功要因が業務プロセス・顧客・財務と因果関係があるという前提で効果を測ることも大切でしょう。
    階層については、BSCを全社導入し、個人の目標管理・業績管理につなげる場合は全階層に導入ということになりますし、まずはミドル層までの管理に利用するという考えで事業部までの導入にすることも可能であるでしょうし、段階的に導入ということもあるでしょうね。

  5. 再度回答ありがとうございます。
    >その業績管理指標は既存のシステムの別情報で代替できないか?ということも検討すべきかもしれませんね。
    私もその通りだと思います。
    >間接部門で顧客の視点の指標に直接関わらないという場合ももちろん有るかと思います。ただ、担当すべき重要成功要因が業務プロセス・顧客・財務と因果関係があるという前提で効果を測ることも大切でしょう。
    たとえば間接部門で顧客の視点とはどういものがあるでしょうか。

  6. 青木様。コメントありがとうございます。
    「間接部門等での顧客の視点」の定義には複数の解釈が可能であると考えております。
    1.全社レベルでの顧客の視点を共有する
    例えば全社レベルでの顧客の視点で顧客満足度の向上を戦略として定義した場合、間接部門での役割は、戦略マップ上、「顧客満足度の向上」と因果関係のある、顧客満足度向上につながる業務プロセスの戦略や学習と成長の視点の業績評価指標が関連すると思われます。例えば、顧客対応マニュアルの整備やその教育、及びその成果の管理といったものです。

    2.全社レベルでのバランススコアカードとは別に間接部門用のバランススコアカードの設定
    この場合、間接部門用として準備しますので、「顧客」は本社経営層や従業員等と設定できるかもしれません。この場合間接部門以外の従業員満足度=顧客満足度と解釈できると考えます。この場合は全社や事業部等のレベルでのBSCとの整合性は取れるように留意が必要ですね。

    書籍等を読んでいてもなかなかこのレベルの考え方まではかかれていないことが多いですが、企業ごとの考え方や方針で変わる部分もあるでしょうね。

  7. 管理人さん 再度回答ありがとうございます。
    >間接部門用として準備しますので、「顧客」は本社経営層や従業員等と設定できるかもしれません
    なるほどですね。納得しました。

    これからも質問しますのでその節はよろしくお願いします。

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