中小企業の経営改善 損益分岐点分析 費用の管理

損益分岐点分析の結果から経営改善を考える

 損益分岐点分析を行うと現状の費用の構成でどのくらいの売上を上げる必要があるかの情報を得ることができます。他社や業界の平均と比較して固定比率、変動比率、損益分岐点売上高比率等を比較することで、自社の問題点も見えてくるでしょう。それでは分析の結果からどのように改善を考えていけばよいでしょうか。

同業他社等と比較して変動比率や固定比率が高い場合は、自社の費用についての見直しが出来る可能性があります。

費用構成と額を考える

損益分岐点売上高を改善していくためには以下の方法が考えられます。
 ・売上高に占める固定費の割合を低くする(固定比率を下げる)
 ・売上高に占める変動費の割合を低くする(変動比率を下げる)
上記を実現するためには、変動費・固定費の増加額以上に売上高を増加させる。もしくは売上高の増減以上に変動費・固定費を抑えることが必要になります。

変動比率の改善
変動比率を改善するためには変動費の割合を減少させる必要があります。変動費を割合を抑えるポイントとしては、
 ・原材料の購入単価の改善
 ・歩留まり率の改善
 ・製品の不良率の改善
 ・使用エネルギーの改善
 ・製品単価の向上
等が上げられるでしょう。
同業他社と比較して自社の数値が悪いようでしたら、改善の余地が考えられます。売上の向上に貢献していない費用の見直しを行うことで費用の削減は可能です。また製品品質の向上に伴って費用を削減できれば自社の競争力の向上にもつながるでしょう。品質の向上は価格の上昇が伴うばかりではありません。品質を上げることで費用を削減できると考えることもできますね。

固定比率の改善
固定費を削減するポイントは、
 ・支払利息を削減(借入金返済)
 ・広告、宣伝費の見直し
 ・研究開発費、交際費等の見直し
 ・効果的な投資を実施し、減価償却比率を抑える
 ・業務改善により人件費の抑制
等が考えられます。それぞれの費用については、単純に削減が難しい場合もあります。広告・宣伝費や研究開発費は自社の製品販売や開発に必要になってくる重要な投資です。大切なのは額を削減するのではなく、「効果を上げる」投資をするということになるでしょう。投下した資本以上の売上が上がるように改善していく必要があります。また業務プロセスを効率化することで残業抑制したり、繁閑にあわせてアルバイト等を活用して人件費の割合を抑える努力も必要になるでしょう。

製品ミックスの改善
多くの企業が単一の製品やサービスだけで収益を上げているわけではありません。多くの商品を扱っている場合があるでしょう。製品やサービス単位で見た場合、それぞれ変動費は異なってくるでしょう。その製品やサービスの組み合わせを見直すことで利益を改善できる場合もあります。
売上が一定と仮定した場合、限界利益(売上-変動費)が高い製品・サービスを多く売ったほうが利益は上がります。自社の製品構成を見直し、限界利益の高い製品の販売に注力していくことも大切です。限界利益率の高い製品の販売量を増やすには新たな投資(固定費)が必要になる等の問題がある場合はその増加分も見越して本当に利益が増えるかについての検討も必要になります。

損益分岐点分析により自社の様々な問題や課題が見えてくる場合が在ります。このような分析を自社の経営改善に役立てるようにしたいですね。
自社の状況に閉塞感がある場合等、中小企業診断士に相談いただければ親身に対応いたします。お気楽にご相談ください。

参考までに、このサイトで簡単な損益分岐点分析を行えるページを設けております。

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