発注事業者と下請事業者の取引の適正化による経営改善を目指して
中小企業は資本力等の体力面で大企業と比較して劣るため、営業力も小さい場合がありますね。そのよう中で昔ながらの付き合いから大企業の下請をしている中小企業も多いでしょう。そのような下請による製造やサービスは日本の経済の屋台骨を支えており非常に重要な存在であります。しかしながら、他社との厳しい競争にさらされたり、景況の悪化等の要因も重なり下請企業にとっては苦しい状況が続いています。また大企業との取引関係から、相対的に交渉力が弱く不利な取引条件を受け入れている場合もあるでしょう。
発注事業者と下請事業者の関係は一方的に発注者に有利であってよいわけではありません。あくまでWin-Winの関係でお互いが長期的に発展していける関係を築くことが大切です。そこで「下請取引適正化」が必要になってきます。
下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは
下請取引において、親事業者(発注企業)が下請企業に不利な条件で取引を行わないように、下請取引における親事業者の義務と禁止事項を定めた下請代金支払遅延等防止法が定められております。この法律の目的は下請取引における適正な取引の実現と下請事業者の利益を保護することです。親事業者が有利な地位を利用して不均衡な取引を行うことを制限するわけですね。
下請代金支払遅延等防止法では親事業者(発注企業)が守らなければならない4つの義務と11の禁止事項が定められています。
・親事業者が守らなければならない4つの義務とは
・発注時に書面を作成し、直ちに下請事業者に渡すこと(口頭発注はせずに書面が求められます)
・発注書面に支払期日を記載する
・取引完了後も取引内容を記録し、2年間保存する
・支払が遅れた場合は、遅延利息を支払う(60日を越えたら利息を払う必要があります)
・親事業者がしてはならない11の禁止事項
・受領拒否
・下請代金の支払遅延
・下請代金の減額
・不当返品
・買いたたき
・物の購入強制、役務の利用強制
・報復措置
・有償支給原材料等の対価の早期決済
・割引困難な手形の交付
・不当な経済上の利益の提供要請
・不当な給付内容の変更、不当なやり直し
下請取引は下請け企業の技術や労働力を搾取するものではなく、お互いの企業が発展し、その先にある顧客に喜んでもらえる事が重要です。
ゆえに、この法律で求められている根本の思想を理解し、適正な取引を行うことが大切です。この法律には規模等により親事業者と下請事業者の定義がありますが、その定義から外れていたとしても取引を適正に行うことは非常に重要です。お互いがWin-Winの関係になる事が経営改善につながりますね。
【参考】
中小企業庁
公正取引委員会 : 下請法