電力不足から中小企業の経費対策まで。電力不足・停電への対策を
地震が発生したことにより、直接津波等の被害を受けなかった地域についても、東京電力の計画停電などによる影響を受けております。東京においても多くの交通機関の運行に変更がありますし、小売店舗や飲食店は閉店時間を早めたりなど何かと影響が出てきております。向上などでは操業を取りやめた企業も多くあるでしょう。
4月から5月にかけては一旦電力需要に見合う供給ができるまでに東京電力の発電量も回復するようです。しかしながら夏場の電力需要にはそれでも間に合わないようです。夏場の供給電力はおそらく5000万キロワット程度までは引き上げられるようですが、クーラー等の使用が増えると需要は6000万キロワットを超えることも想定されるようです。
今現在も多くの家庭や企業において節電の努力が行われていますが、これを今後も継続していくことが重要になってくるでしょう。
さて、今すぐに何ができるでしょうか?
例えば、各種家電製品の省エネ対策による効果試算というものが公開されています。家電製品ばかりでなく企業で使用している電気機器、IT機器について使用方法の見直しをするだけでも一定の効果が見られます。
もちろんそれだけでは足りない可能性があり、夏場のピークにおいては電力総量規制等も検討されているようです。
しかしながら、使用電力の抑制は、停電の回避という目的だけではなく中小企業の経営上の経費の節約にも繋がります。また電力使用量の抑制によるCO2削減という環境への負荷もていげんできるわけで、このような取り組みを前向きに検討するべきでしょう。
BCPの考え方として、事業を継続に必要な重要な部分(コア)とそれ以外に分けることを考える場合がありますが、今回の節電という点にもそのような考え方を応用することができます。例えば、事業の重要な部分を1日や一定期間の電力ピーク時期から外れるようにフローを見直すことや、事業のフローの中で電力消費の多い部分を見直し、効率化することなどです。
パソコンの使い方一つとっても、電力使用量の少ない時間帯にノートPCの充電を行っておき、ピーク時間帯には充電した電池で使用するという考え方もあるわけです。細かい取り組みではありますが、積み重ねが大きな効果に繋がっていきます。
またより効果を上げるためには自社の業務全体を見直して改善していくという経営の視点も重要になります。これは中小企業の経営改善という点からも重要になってくるでしょう。
産業界全体で見た場合の、今後の取り組みも様々考えられますし、国からの要請も多く出てくるものと想像されます。
例えば、
・夏季休暇の分散化
・サマータイムの導入
・操業の土日を含めたシフト化により平日電力の平準化
・自家発電電力の東電への供給
等など。
すでに大手の鉄鋼会社では自社の火力発電所をフル稼働して東電に電力供給しているようです。地域全体での取組みもさらに増えてくるかも知れません。
本来なら関西と関東でもう少し電力を融通できるとよいのですが、西日本・東日本では電源の周波数が異なり、直接の送電ができません。周波数変換を行う変電所の能力では100万キロワット程度の送電しかできないようです。この変電所の能力増強が増えれば助かるのですが、変電施設の増加はコスト的にも難しいかもしれません。過去に選択された周波数の違いという問題がこのような災害時に出てきてしまうのは悲しいことです。何とかならないものかと期待したいところです。
とはいえ、中小企業においては、一企業の中でできる取り組みをまずは考えて一歩前に進むことが何よりも大切です。
苦しい時期ではありますが、中小企業の経営改善という視点からも前向きに取り組みを開始していきましょう。