資本効率とは
企業は自社の資本を投下し、製品やサービスを提供し売上と利益を上げていきます。同じ売上を上げるのであれば、少ない資産で上げたほうが資産活用の効率が良いと考えることも出来ます。そのような分析をするため、資本効率を求めることができます。そのための指標として、総資本回転率や流動資産回転期間といった回転率・回転期間の指標を使います。中小企業は大企業と比較すると資本の総額は小さいものでは有りますが、より効率的に資本を活用していくという考え方は経営改善のためにも大切ですね。
総資本回転率
総資本回転率(回) = 売上高 ÷ 総資本
この指標が高いほど資本効率が良いと考えられます。同じ利益額なのであれば、この指標が高いほうが総資本利益率も高くなるという意味で、「効率が良い」というわけですね。総資本は期中の平均で計算する方が適切と考えられます。資本効率を高めるためには、資本の増加以上に売上を増加させること、あるいは、投下資本を売上水準を維持しつつ削減することが求められます。もちろん、額面上の売上増加だけでなく、利益率も維持・向上した上での効率改善が大切です。資本の総額を抑えるためには、適切な在庫管理や売上債権の管理等が経営改善には必要になるでしょう。
固定資産回転率
固定資産回転率(回) = 売上高 ÷ 固定資産
この指標も高いほど効率が良いと考えることが出来ます。自社で所有する固定資産がどれだけ有効に活用されているかを見ることになります。固定資産は事業活動に使われる大切な資産であり、大きいからと言って簡単に削減できるわけではありません。しかしながら固定資産の占める割合が大きすぎると資金繰りに余裕がなくなってしまう可能性があります。中小企業の場合は問題が大きいでしょう。長期的な視点に立って適切な資産の構成を検討したり、投資を行うことは経営改善をするうえで必要になりますね。
更に細かな分析をする場合は、分母を有形固定資産や無形固定資産にして分析するとよいでしょう。
流動資産回転期間
流動資産回転期間(日) = 流動資産 ÷ 売上高 × 365
回転期間が10日であれば、流動資産の水準は売上10日分に相当すると考えられます。回転期間は小さいほうが資金繰りにも余裕が出てきます。この期間が大きい場合は、売上債権の水準や棚卸資産等の水準が適正なものかを見直す必要があるでしょう。
更に細かな分析をする場合は、流動資産を売上債権や、棚卸資産の額に置き換えて計算すると各流動資産ごとの回転期間を算出できます。
回転率は大きければ、回転期間は短ければ効率が良いと基本的には考えられますが、大切なことは適正な売上と適正な利益を上げていくことです。回転率や回転期間だけを見るのではなく、利益率などの指標とあわせて検討し、バランスが取れているかを考えることが大切です。企業の活動はそれぞれが関連しています。投下した資本により売上と利益を上げていくわけです。投下資本が最終的に利益を獲得するために役立っているかどうかという視点でバランスよく指標を見ていくことが経営改善にも大切です。また他社や業界平均等の指標との比較も経営改善の視点を持つためには必要でしょう。
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また、計算はしてみて問題はありそうだが、どのように改善してよいか明確にならないなどのお悩みについてもご相談承ります。
皆様の現状に即した対応を考えていきましょう。訪問が必要となる際も初回の相談料は無料でお話を伺います(遠方の場合などで、交通費などがかかる場合は別途相談いたします)。
自社の資本効率を計算するには収益性分析のページをご利用ください。