賃金があげられる経営
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デフレ脱却、円安、株高とここ何年も苦しんできた日本の経済が少し息を吹き返す兆しが見えてきました。その中で、従業員の賃金を上げるという要請が出てきています。判断は個別の企業が行うことになりますが、景気の回復局面に入っても、個人の所得が増えなければ、消費も増えないし、景気も本当の意味で回復しないことは明白ですので、できれば個人所得も増えていく方が良いでしょう。それは従業員だけでなく本来は経営者も願っていることと思います。
しかし、中小企業の経営を考えた時に、赤字傾向であったり取引先の減少など売上の減少が続いている事も多いでしょう。そのような会社では、賃金増加はまさに「他人事」というのが実情かもしれません。
とはいえ、個人の賃金がいつまでも現状維持もしくは減少が続いていいわけではありません。経営悪化→個人所得減少→モチベーションの低下→さらなる経営悪化のスパイラルに入ってしまっては目も当てられませんね。
ですので、将来的には、個人所得をアップさせるために目標設定を行うことは必要であると考えます。
例えば、人件費率は現在どうなっているでしょうか?小売業や卸売業は低いかもしれませんし、サービス業は高い傾向があるでしょう。その中で、自社の人件費率を経営を圧迫するほど上げずに個人所得を増やすにはどうすればよいでしょうか?
- 売上をアップさせる
- コストを削減し、利益を増加させる
という取り組みが必要なのはすぐにわかります。
現状の財務的な構造を踏まえて、人件費率の目標を設定し、売上や利益の収益構造のあるべき形を探っていくと目指すべき方向が見えてきます。
そのうえで、どのように営業するか、どのように商品・サービスのマーケティングを行うかという戦略に落とし込んでいくというのも一つの経営改善の視点です。
もう一つ「労働分配率」もチェックしてみたいところです。
労働分配率=人件費 ÷ 付加価値
です。会社の生み出す付加価値に対する人件費の割合のことですが、付加価値を高めることで、相対的に人件費への配分を厚くするという考え方もできます。
会社の生み出す売上・利益を増やすことができれば従業員に還元する。
会社の生み出す付加価値を増やすことができれば、従業員に還元する。
これら二つは当たり前の取り組みでもあります。では経営で考えるべきことはやはり、売上・利益・付加価値の向上策となり、その戦略を従業員も含めて構築することが必要になります。「戦略の見える化」ともいえる取り組みであります。
小冊子もお役立てください!
所得の増加は会社にとっても働く人にとっても必要です。そのために、会社の経営を良くする必要があります。そのように考えれば、経営力向上は経営者だけでなく従業員にも必要な取り組みであることがわかるはずです。全員参加で経営戦略を構築していくという取り組みも必要になるでしょう。
当事務所では、戦略策定に役立つ小冊子も限定でお配りしておりますので、お役立ていただきたいと考えております。