中小企業の短期の返済能力の分析
中小企業の事業活動の中では短期的に買掛金としての負債を持ったり、運転資金として短期の借入を行ったりする場合があります。それらの流動負債は、短期での返済が必要でありますので、その返済の原資が必要となります。それが現金や売掛金といった流動資産になります。その流動資産と流動負債の比率を分析する指標として流動比率や当座比率というものがあります。そのような指標で自社を分析し経営改善・経営革新に活かしていきましょう。
流動比率
流動比率(%) = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
当座比率
当座比率(%) = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100
当座資産は現金・預金、受取手形、売掛金、有価証券の合計として、より確実に返済原資に当てることができる資産で計算します。
それぞれの指標は高いほど良いと考えられ、流動比率は200%以上、当座比率は100%以上あることが理想ではあります。しかしながら多くの中小企業がこの水準以下であります。単純に比率だけを見るのではなく、流動比率については、流動資産の回転期間とのバランスを見て適正かどうかを判断しましょう。例えば飲食・宿泊業は流動比率や当座比率が低い傾向があるのですが、流動資産の回転期間は短い傾向があり、それで返済資金を確保していると考えられます。自社の現状に照らしてどうかと考えることが経営改善・経営革新には大切です。
自社の数値が低い場合は、流動負債の抑制、資金の回収計画による回転期間の適正化、適正な仕入管理等の対策で経営改善を重ねる必要もあるでしょう。
中小企業実態基本調査の集計より業種別に算出した流動比率・当座比率の一覧は以下の通りです。自社の数値と比較して改善ポイントがないか検討し、経営改善・経営革新に活かしていきましょう。
流動比率・当座比率(平成19年度決算の統計より)
業種 | 流動比率(%) | 当座比率(%) |
---|---|---|
全業種 | 142.09 | 94.58 |
建設業 | 155.19 | 94.39 |
製造業 | 155.59 | 109.45 |
情報通信業 | 182.25 | 139.68 |
運輸業 | 133.24 | 104.75 |
卸売業 | 146.22 | 110.41 |
小売業 | 128.35 | 80.84 |
不動産業 | 132.61 | 47.33 |
飲食・宿泊業 | 77.05 | 51.24 |
サービス業 | 107.49 | 75.79 |