中小企業の経営改善 資本利益率を見る

中小企業が投下した資本がどれだけの利益を生み出すか

 中小企業の経営改善を進めるために財務分析を行うことは現状を把握するために有効な手段です。現状の問題点を見つけ、理想とのギャップを埋める取り組みは経営改善の重要な手段です。財務分析を行うための指標には様々ありますが、まずは企業が持つ総資本がどれだけの利益を生み出しているかという大きなレベルでの指標を見てみます。それは、総資本営業利益率、総資本経常利益率、総資本当期純利益率等のような指標となります。

総資本営業利益率
総資本営業利益率は企業の投下した総資本との割合を示します。投下した資本でどれだけの営業利益を出しているかという指標で、これが高いほど効率的な事業を展開できているということになります。
 総資本営業利益率(%) = 営業利益 / 総資本 × 100
営業利益は損益計算書より、総資本は貸借対照表の負債+純資産の数字で簡単に計算できます。

総資本経常利益率
総資本経常利益率は総資本営業利益率の分子を経常利益に変えたものです。
 総資本経常利益率(%) = 経常利益 / 総資本 × 100
この指標で企業の経常的な採算についての確認ができます。

総資本当期純利益率
総資本当期純利益率は、同じく分子を当期純利益としたものです。
 総資本当期純利益率(%) = 当期純利益 / 総資本 × 100
ROA(return on assets)とも呼ばれます。当期純利益は配当金の原資ともなる利益ですので非常に重視されています。

それぞれについて、指標が高いほど良いということになります。悪い場合、もしくは経年比較した場合に悪化している場合等は、経営改善が必要になってくるわけですね。営業利益に目を向けた場合、販売費や一般管理費に問題がないかやより売上に貢献する方法はないかといった視点で改善するポイントを考えていかなくてはいけません。

以下に、2008年の中小企業の各利益率を業種毎に一覧します。今回は中小企業実態調査より個人事業以外の中小企業のみで集計しています。

総資本利益率(平成19年度決算の統計より)

業種 総資本営業利益率 総資本経常利益率 総資本当期純利益率
全業種 2.8 3.1 1.4
建設業 1.5 1.7 0.3
製造業 3.8 4.1 2.1
情報通信業 3.2 4.3 0.9
運輸業 2.4 3.1 1.5
卸売業 2.8 3.2 1.5
小売業 0.8 2.0 0.7
不動産業 3.8 3.2 1.8
飲食・宿泊業 1.1 0.9 0.3
サービス業 3.2 3.6 1.2

全般的に低い数値になっていますね。建設業や飲食・宿泊業は規模の小さな企業においては厳しい現状が見えてきます。もちろんこれは平均値でありますので、優良企業も存在します。自社も平均以上の数字を出せるように経営改善していきましょう。

自社の利益率を計算するには収益性分析のページをご利用ください。

経営改善についてお悩みの事がありましたら、中小企業診断士に気楽にご相談ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です