【2012年11月21日更新】
新聞記事などによると、厚生労働省は、中小企業退職金共済制度(中退共)で、退職金を減額する検討を始めたそうです。
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予定運用利回りの引き下げや
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運用実績が想定を上回った場合の付加退職の減額
などを検討するようです。
運用難などで、積み立て不足が発生しているためとのことで、注意が必要です。
経営資源に乏しい中小企業にとって将来を考えて退職金の制度を準備することは引き続き非常に重要な取り組みです。中退共のような制度を利用することや、個人の運用を前提とした「確定拠出年金」の検討など選択肢はいろいろありますので検討しましょう。
では中退共のデメリットは?
多くのメリットがある制度で退職金制度を持たない企業にとっては、経営改善にもつながる制度でありますが、メリットがある以上はデメリットもあるでしょうね。それは何でしょうか。
・退職金は従業員の講座に直接振り込まれます。わかりやすいのですが、自己都合での退職なので退職金を減額するなどということはできません。懲戒解雇などでも基本的に同様です。また、特別な事情で減額が認められても、会社に掛金が戻ることはありません。
・中退共への加入は「中小企業」であることが要件となります。途中で中小企業の定義から外れ大企業になった場合には、別の制度に変える必要があります。
・掛金納付後1年以内での退職の場合、掛金は掛捨てになってしまいます。また2年以内の場合は、掛金総額を下回る金額しか受け取ることができません。
・現状では、運用利回りは1%であり、それほど利率が良くない。
・機構自体が現状大きな繰越欠損を抱えており、利回りは当面上昇することが見込めない
等のデメリットが考えられます。機構が欠損金を抱えているというのは少々心配ですが、国の制度ですので、急に潰れることはないかもしれませんが、将来何らかの法令の改正はあるかもしれません。
また、資金繰りに問題が発生した際に、勤労者退職金共済機構より融資や貸し付けを受けるような仕組みはないということも留意が必要です。生命保険を活用している場合は、契約者として貸し付けを受けることができる場合もありますが、中退共の場合はそれができません。
これをデメリットとしてみるかどうかは企業によってことなるでしょう。全額損金算入および国からの助成を受けられるメリットを享受しつつ、資金繰りは自社でしっかり管理するという経営を貫くことも必要になりますね。
どのような制度においてもメリットデメリットがあります。そのような事を加味した上で、自社において納得のいく退職金制度を設けることができれば、従業員の皆さんも安心して働くことができるでしょう。「しっかりした退職金制度がある」ということが言えるだけでも大きいことです。これも経営改善の一つですね。
退職金既定の有無、そして、節税面からの取り組みとメリットも多くあります。
自社の退職金や節税などの取り組みについて何らかの改善を行いたい場合は、検討に値するでしょう。
「節税」という側面で見ると、保険の活用も考えられるかもしれません。保険の場合は、文字どおりの意味での病気や事故などもしもの場合のリスク対策にもなります。自社の利益状況や必要なリスク対策の一環として、これらの制度を比較検討することも良いでしょう。