【2012年11月21日更新】
新聞記事などによると、厚生労働省は、中小企業退職金共済制度(中退共)で、退職金を減額する検討を始めたそうです。
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予定運用利回りの引き下げや
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運用実績が想定を上回った場合の付加退職の減額
などを検討するようです。
運用難などで、積み立て不足が発生しているためとのことで、注意が必要です。
経営資源に乏しい中小企業にとって将来を考えて退職金の制度を準備することは引き続き非常に重要な取り組みです。中退共のような制度を利用することや、個人の運用を前提とした「確定拠出年金」の検討など選択肢はいろいろありますので検討しましょう。
中小企業退職金共済制度にはいくつかのメリットがあります。それは以下のようなものが考えられます。
国からの助成
中退共では、新規加入時と、月額の掛け金を変更した際に国から助成を受けることができます。
・新規加入時
加入後4ヶ月から1年間の間、掛け金月額の2分の1を助成してもらえます。
(ただし、上限は5000円です)
助成を受けている期間に社員が増えた場合は、残存期間の間だけ助成を受けられます。
・月額変更時
18000円以下の掛け金月額を増額する場合、増額前と増額後の掛け金月額の差額の3分の1を助成してもらえます。
(ここでいう増額前とは、過去に納付した中で最も高い掛け金月額です。よって、過去に20000円以上の掛け金を納付したことがあれば、助成の対象にはなりません)
自治体によっては、独自に掛金補助を行っている場合もありますので、加入時には確認してみると良いでしょう。
税制面でのメリット
中退共で支払った掛け金については、全額損金参入できます。生命保険などでは、全額損金参入できない場合もありますので、この点はメリットと考えることができます。
運用面でのわかりやすさ
中退共と契約を結んだ後は、毎月金融機関に掛金を振り替える事で納付し、年に1回「納付状況」「退職金試算額」を事業主に知らせてくれます。また、従業員が退職したら事業主はその従業員に「退職金共済手帳(請求書)」を渡します。従業員はそれを中退共に送付することで、預金口座に退職金を振り込んでもらえます。このように運用の流れも簡便でわかりやすいことはメリットといえるでしょう。
また掛金も5000円~30000円までの中で、選ぶことができ、企業の実情にあった掛金で運用することができます。
従業員が転職した場合の掛金通算
従業員が退職した場合で、転職先の企業でも中退共に加入している場合は、掛金が12ヶ月以上納付されており、退職してから2年以内であれば、掛金を転職先で通算することができます。
様々なメリットがありますね。制度内容的には中小企業にとって加入しやすいものであると思います。
しかしながらメリットがあるということはデメリットも考えてみないといけませんね。次回はデメリットについて書いてみたいと思います。
退職金の制度や節税対策など、中小企業退職金共済制度にはさまざまなメリットがあるのが事実です。
その他には、「保険」の活用によって、制度にはない「保障」「リスク対策」という機能を活かしつつ、制度を作っていくという方法も考えられます。
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