中小企業退職金共済制度

【2012年11月21日更新】

新聞記事などによると、厚生労働省は、中小企業退職金共済制度(中退共)で、退職金を減額する検討を始めたそうです。

  • 予定運用利回りの引き下げや
  • 運用実績が想定を上回った場合の付加退職の減額

などを検討するようです。

運用難などで、積み立て不足が発生しているためとのことで、注意が必要です。

経営資源に乏しい中小企業にとって将来を考えて退職金の制度を準備することは引き続き非常に重要な取り組みです。中退共のような制度を利用することや、個人の運用を前提とした「確定拠出年金」の検討など選択肢はいろいろありますので検討しましょう。

中小企業の退職金

中小企業においては退職金制度のない会社もあるのではないでしょうか。統計は少ないのですが、東京都が都内の中小企業を対象に調査した資料を見ますと、規模の大きめな企業(100人超~299人)ですと、9割超の企業が退職金制度を持っていますが、それより小さな規模になると制度を導入していない企業が増えてきます。
退職金制度を導入する以上は、退職金規定の整備、退職資金の確保・積み立てなどが必要ですので、資金的に余裕のない中小企業にとって負担は軽くないでしょう。
しかしながら、最近の景況の悪化や、将来の年金に対する不安などを考慮すると、中小企業であってもしっかりとした退職金制度があるのは、従業員にとっても安心ですし、企業に就職する人にとっても心理的な効果があると考えられます。

中小企業に適した退職金制度

中小企業に適した退職金制度として、中小企業退職金共済制度(中退共)という制度があります。これは国により、「中小企業退職金共済法」により定められた制度であり、規模の小さな企業にとって様々なメリットのある制度であります。メリットを最大限に利用できれば、経営改善にもつながりますね。

制度の仕組みは以下のようなものです。
・独立行政法人勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部と「退職金共済契約」を結びます
・事業主は毎月掛け金を納付します
・従業員が退職したら、その従業員の請求に基づいて、中退共から直接従業員に退職金が支払われます

加入できる企業は、以下のような企業です。
・一般業種(製造業・建設業など) : 従業員300人以下 または 資本金3億円以下
・卸売業: 従業員100人以下 または 資本金1億円以下
・サービス業: 従業員100人以下 または 資本金5千万円以下
・小売業:  従業員50人以下 または 資本金5千万円以下
従業員と資本金の条件はどちらか片方が該当すれば、加入できますので多くの企業が対象となるでしょう。

加入することで、国からの助成や税制の優遇など様々なメリットがあります。それについては、次回にまとめます。

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