経営者の連帯保証が緩和された場合、何で信用をつくるか
中小企業・零細企業が借入する際には、経営者自身が連帯保証人になる場合が多々あります。その連帯保証について、経営者個人の全財産が没収されるような事を防ぐルール作りが進められるそうです。
個人的にはこのこと自体は賛成と考えています。
本来株式会社などは法人格が与えられており、出資の範囲での有限責任が原則です。その原則をはるかに超える責任が個人に課せられる可能性を考えた場合、起業や事業承継に躊躇するケースは多々あるでしょう。
もちろん単に有限責任を文字通りの意味で優先するという意味ではありません。事業を継続する以上、モラルも求められますし、借りた金は返すのが大前提であります。何らかの形で「保障」や「信用」ができないのであれば、お金が借りられないというのもまた現実だと思います。
多くの場合、「保障」を完全に行うことは困難です。事業には成功もあれば失敗もあります。ですので、「信用」をいかに醸成していくかが課題となると考えております。
中小企業・零細企業が、経営における信用を得るためにはどうすればよいか。
当然それは、
- 収益力をつけ、会社の収益構造を改善する
- 中長期的に会社の利益を確保できる経営力を付けそれを証明できる
- 毎期適切なキャッシュフローを得て、借りた金はしっかり返す
など当然と言えば当然の取り組みが求められます。
しかし考えて見ると、金融円滑化法が有効であったここ数年で、多くの企業がリスケを申請したのですが、実際は経営改善計画もしっかりと作れず再生できていない企業も多いわけです。このような状況で、個人保証のルールを緩めるということだけしてしまうと、貸し手に一方的に不利になってしまいかねません。その結果として、「貸し渋り」の傾向が出てきてしまうと本末転倒です。
中小企業・零細企業も一つの会社であれば、貸し手である銀行も一つの会社であり、お互いの信用の中で、発展していくのが理想であり、原則と考えます。
個人保証のルールを見直し、経営者の再起できる可能性を残すことは大切な考え方です。それとともに、個人保証がなくてもしっかりと資金調達できるようになるためにはどういう経営をすればいいのかという根本に立ち返って経営改善をすることも同時に求められると考えます。
そのように考えると、中小企業・零細企業においても
中長期的な経営計画、経営戦略の策定
計画を実現する行動計画策定とその管理
継続的な経営改善
といったことが求められてきます。
是非とも基本に戻って改善の一歩を踏み出していただきたいと願います。