中小企業の経営改善の視点としての人材と売れる仕組み
日経新聞の記事で大卒求人統計が載っていました。それによりますと、千人以上の大企業の求人倍率は0.57倍、それに対して中小企業では2.16倍もあったそうです。いかに、大卒者が大企業を志向しているかがわかる統計ですね。
中小企業の経営にとって、人材は非常に重要な業績向上の礎です。バランススコアカード(BSC)的には、財務業績と顧客に対する目標を達成するために、社内の業務プロセスと人材の改善に着手する取り組みの一つとして、優秀な人材の確保と教育がポイントになると考えられます。
そして、その人材や業務プロセスの改善の戦略を形作る中で、企業としての「売れる仕組み」の仮説が見えてくると思います。
同じ日経の記事で、「最高益更新」企業のケースが載っていました。ヤオコーにおいてはパートを有効活用して、提案型売り場を作っているそうです。これも良いケースですね。このような改善を現場主導で行っているのです。
また、イオンでは、専門店に力を入れる取り組みの中で、社内資格取得者を増やそうとしているそうです。
これは一例ですが、自社の中でどのような部分で利益を出すのか、それに対する取り組みをどうするのかを考え、戦略として取り組んでいる良いケースでしょうね。
このような取り組みを大企業だけのものとして、あきらめていないでしょうか?
中小企業だからこそ、できることやらないといけないことというものがあると考えます。
このような取り組みで、中小企業だからできることというのは、
・人数も少ないため、社員コミュニケーションが行いやすい
・規模が小さいため、ビジョンの浸透・取り組みが行いやすい
という点を挙げることができるでしょう。
もちろんやるべきことは多いです。
・企業ビジョンの策定
・経営計画の策定
・社内への戦略周知と実行
・継続的な改善
などなどの取り組みを浸透させていく必要があります。
忙しくてできない。のであれば、その原因を考えましょう。
売れる仕組みを作ること、それを将来へつなげていくことは企業にとってとても重要な取り組みであります。
それができないというのが、「する必要がない」という前向きなものであればよいのですが、やりたくてもできないのであれば、小さな一歩でも始められる努力をする価値はあります。
今の取り組みが業績の向上に役立っていないのであれば、何らかの形で取組に問題があるのかもしれません。
経営改善の取組をしている「ヒマ」がないというのであれば、業績向上に役立っていない取り組みを続ける「ヒマ」はもっとないはずです。
考え方一つで、見えてくる世界も変わります。
このような取り組みを続けることで、自社の儲けの仕組みが見えてきます。
これは顧客に対するアピールにもなりますし、前述した人材採用の際のアピールにもなります。
経営改善の取り組みが浸透していれば、そのストーリーを社外の人に語ることができるでしょう。大企業を志向する人に目を向けてもらうには自社の良い面を知ってもらい、将来への不安を払しょくしてもらう情報を提供することも大切です。
業績の改善や人材の採用は別々の課題と考えてしまうこともありますが、視点を変えるとすべてつながっているのです。
中小企業だからできるという気持ちを持ってまずは取り組みを始めたいものですね。