中小企業の経営改善のための取り組みは様々あります。
しっかりしたビジョンを持つこと、しっかりした計画・目標を立て、それに向かって全社員で行動すること。適切な投資、教育、顧客へのアプローチ などなど。
そして、中小企業の経営者様においては、リーダーシップや意欲なども求められますね。
加えて大切な力としては、「計数感覚」ということもあると思います。
先ほどニュースで見たのですが、格安クーポンを売りにした、クーポンサイトで被害を被ったという訴えが起こったようです。美容室さんが訴えられているようでして、1万3200円分のサービスを2900円にするクーポンを新店の出店に伴い1500枚も発行していたそうです。
通常の7割引き(クーポンサイトへの支払いを控除すると、8割~9割引きになるかもしれません)の価格で1500名分のサービスを提供するわけです。
普通に考えたら、採算割れもいいところでしょう。しかも美容室というサービスの特質上、一度に多くの人に対してサービスを提供できませんし、予約にも限度があるでしょう。
しかしながら、現実にこのクーポンが発売されており、お店も赤字になったわけです。
ビジネス上、クーポンサイト側に落ち度があったのかどうかは不明な部分がありますが、どちらにせよ、お店側も事前に採算がどうなるかというシミュレーションを慎重に行っておくべきであったかもしれません。
このようなサイトで発売されるものですから、事前にある程度の原価や諸経費についての計算はできるはずですし、自店で受け入れられるお客様の人数もある程度想定できるはずです。この部分についての感覚を持たないままにクーポンサイトの営業のいいなりになってクーポンを販売することは非常に危険です。
もちろん、このようなことについて、お店側にのみ責任があるとは考えておりません。クーポンサイト側には、多くの実績情報などが集まっているはずで、お店ごとに、「これ以上のクーポンは経営上危険だ」という判断を行えた可能性はあると考えております。法律上の判断は別として、道義上は懸念を覚えずにはおれません。
とはいいつつも、やはり自分の会社の経営については自社でリスクや将来の利益も含めて考えるようにしたいものですね。
クーポンサイトの利用方法としては、
・新規出店等を含めた新規顧客への来店のきっかけづくり
・平日や、顧客閑散期の余裕のある範囲でのお客様の受け入れ
・新商品・新サービスのプロモーション
など、目的をしっかりと定めて活用するのが良いように感じます。
その活用目的に沿った形で、売上と費用の管理をしっかり行い、赤字にならないように経営を行っていく必要があります。
採算度外視でサービス提供するにしても、その「投資」をどこでどのように回収するのか、資金繰りに影響がないかということはシビアに検討する必要があると思います。
けっして、クーポンサイト側のルールに自社を無理やり合わせていくような考え方は避けるべきでしょう。
計数感覚はとても大切ですが、意外に苦手な経営者様も多いと思います。しかし、自社の活動から出てくる数字の情報は宝の山と考えることもできます。ぜひ活用したいものですね。