価格を上げられる商品構成を考えられるか
前回は、値下げについて書きましたが、今回は値上げ(正確にいうと高価格商品・サービス)で利益を取るというお話です。
マクドナルドが初の500円超えのバーガーを出すということがニュースになっていました。長引くデフレで低価格商品を訴求していた流れを転換しようとしています。
売上・利益をアップさせるためには、客単価を上げていくことが求められます。そのための手法の一つが「値下げ」であり、値下げで客数を増やし粗利額を取っていくという考え方ですね。もう一つの考え方は、魅力ある商品・サービスの中で付加価値のより高い物を投入していくということであります。商品単価の高いものを選んでいただき客単価を稼ぐことになりますね。
マクドナルドのように一部商品の値上げや新商品の投入をしつつ、低価格品の拡充も行うことで効果的な価格政策を打つことができます。
もちろん十分な価値を提供できなければ客数も売り上げもかえって落ちることになります。十分な計画と販促が必要なことは値下げと同様の考え方になりますね。
中小企業や小さなお店の商品構成を考える場合、低価格品と高付加価値品のメリハリをつけるというのは良い考え方です。低価格品は客数確保のため、高価格品は客単価向上の可能性のために活用できますね。
高価格品の魅力の一つは、粗利の絶対額の確保ができるということにあります。
従来より2割高い客単価を実現できる場合、従来の売上を実現するには、83.3%の客数で実現できます。もちろん2割客単価を上げるために客数を2割以上落としてしまっては本も子もないわけですが、客数のハードルが下がるというのは一つの魅力ではあります。実際は客数をさらに伸ばす努力をするはずですので、客単価を商品単価向上と合わせて実現するというのは収益構造改善のために効果的な一手であります。
また、高価格品による粗利の確保の効果はとても大きな効果があります。従来商品が原価率7割だとします。これを原価を上げずに販売価格のみ2割上げることができればどうでしょうか?粗利率は、30%から42%に向上し、4割向上します。価格アップ以上の割合で利益を確保できるわけです。
実際の販売においては単純にはいかない部分もありますが、商品価値をアップさせ、価格以上の価値感覚を提供できれば粗利の確保ができますね。
これは、サービス業やBtoBビジネスにおいても大きな命題になります。
コストを下げ、低コストで売る部分と付加価値を高めて単価を上げられる領域を作ることが収益構造改善には効果的です。
お客様の財布のひもが固いから低価格品だけを提供するという考え方ではなく、価値のある商品も提供し、財布のひもを緩めてもらう努力も可能性の一つであると認識したいところでありますね。
【高価格・高付加価値戦略の留意点】
- 高付加価値化で結果として客単価が上がること
- 客数が減ってしまうような戦略にならないこと
- コスト管理を徹底し、粗利額をできる限り大きくとること
- 単なる値上げではなく、お客様にとっての価値を実感できること